特定施設入居者生活介護の介護報酬改定のポイント(平成30年度)

介護保険法

通所介護以外

更新日:2022/02/25

特定施設入居者生活介護における平成30年度介護報酬改定では、入居者様の医療ニーズにより的確に対応できるように「退院時連携加算の創設」や「医療的ケア提供加算の創設」「入居継続支援加算」「機能訓練指導員の資格要件の緩和」などが行われます。そこで今回は、介護付き有料老人ホームや軽費老人ホームなどの特定施設の介護報酬改定についてまとめてご紹介します。

特定施設入居者生活介護の介護報酬改定(12のポイント)

特定施設入居者生活介護および地域密着型特定施設入居者生活介護における平成30年度の介護報酬改定のポイントは「入居者様の医療ニーズへの対応」であり、主にこちらの12の改定が行われます。

平成30年度の介護報酬改定の12のポイント

  1. 退院・退所時連携加算の創設
  2. 入居継続支援加算の創設
  3. 生活機能向上連携加算の創設
  4. 機能訓練指導員の資格要件の緩和
  5. 若年性認知症入居者受入加算の創設
  6. 口腔衛生管理体制加算の新設
  7. 栄養スクリーニング加算の新設
  8. 利用者数の上限の見直し
  9. 身体拘束廃止未実施減算を創設
  10. 運営推進会議の開催方法の緩和
  11. 医療機関併設型の特定施設へ転換する場合の特例
  12. 介護職員処遇改善加算の見直し

介護報酬改定の主軸とは

特定施設入居者生活介護の介護報酬改定の主軸は、「自立支援・重度化防止」です。

  • リハビリニーズに対応するための「生活機能向上連携加算」「機能訓練指導員の資格要件の緩和」
  • 医療から介護へのシームレスな連携を目的とした「退院時連携加算の創設」
  • 痰吸引など医療的ケアの提供を行う特定施設に対する評価として「医療的ケア提供加算の創設」
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特定施設入居者生活介護の介護報酬改定の内容について

特定施設入居者生活介護の平成30年度の介護報酬改定では、どのような改定が行われるのでしょうか?それぞれの改定内容について詳しくご紹介します。

退院・退所時連携加算の創設

医療から介護へのシームレスな連携を図るため、平成30年度介護報酬改定より病院等を退院した方の受け入れを評価する「退院・退所時連携加算」を新たに創設が決定しました。

単位 30単位/日 ※入居から30日以内に限る
算定要件医療提供施設を退院・退所して特定施設に入居する利用者を受け入れること

入居継続支援加算の創設

医療的なニーズを満たし入居者様が安心して生活を継続できるように、痰吸引などの医療的ケアの提供を行う特定施設に対する「入居継続支援加算」を新たに創設することが決まりました。

単位数36単位/日
算定要件介護福祉士の数が、利用者の数が6又はその端数を増すごとに1以上であることたんの吸引等を必要とする者の占める割合が利用者の15%以上であること

生活機能向上連携加算の創設

平成30年度介護報酬改定より「自立支援・重度化防止」を推進し、入居者様のリハビリニーズに応えるため、外部のリハビリテーション専門職等と連携する「生活機能向上連携加算」を創設する方針となりました。

※介護予防特定施設入居者生活介護を含みます。

単位数200単位/月個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月
算定要件訪問リハビリテーション若しくは通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施 している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚 士、医師が、特定施設入居者生活介護事業所等を訪問し、特定施設入居者生活介護事業所等の職員と共同で、アセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること。機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他職種の者が協働して、当該計画に基づき、計画的に機能訓練を実施すること。

機能訓練指導員の資格要件の緩和

平成30年度介護報酬改定より入居者様のリハビリニーズに応えるべく、これまでの機能訓練指導員(PT、OT、ST、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師)に、6ヵ月以上の実務経験を持つ鍼灸師(はり師・きゅう師)を追加となりました。

※介護予防特定施設入居者生活介護を含む

算定要件 一定の実務経験を有するはり師、きゅう師とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復 師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、機能訓練指 導に従事した経験を有する者とする。

若年性認知症入居者受入加算の創設

平成30年度介護報酬改定より若年性認知症の入居者様やその家族を支援するため、若年性認知症の人を受け入れを評価する「若年性認知症入居者受入加算」を創設する方針となりました。

単位数120単位/日
算定要件受け入れた若年性認知症入居者ごとに個別の担当者を定めていること。

口腔衛生管理体制加算の新設

平成30年度介護報酬改定より歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士による介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を評価した「口腔衛生管理体制加算」を特定施設入居者生活介護等が新設されることとなりました。

単位数 30単位/月
算定要件歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っている場合

栄養スクリーニング加算の新設

平成30年度介護報酬改定より入居者様のサルコペニア対策を行うべく、管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有することとで「栄養スクリーニング加算」を新たに創設することになりました。

単位数5単位/回※6月に1回を限度とする
算定要件サービス利用者に対し、利用開始時及び利用中6か月ごとに栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養 状態に係る情報(医師・歯科医師・管理栄養士等への相談提言を含む。)を介護支援専門員に文書で共有した場合に算定する。

利用者数の上限の見直し

短期利用特定施設入居者生活介護の利用者は、当該特定施設の入居定員の10%以下とされており、入居定員が10人に満たない事業所で、利用者様を受け入れられない状況から、短期利用特定施設入居者生活介護の利用者数の上限を見直すことが決まりました。

※介護予防特定施設入居者生活介護は含まない。

算定要件短期利用特定施設入居者生活介護の利用者数の上限を、現行の「定員の10%まで」から「1又は定員の10%まで」と変更する。

身体拘束廃止未実施減算を創設

平成30年度介護報酬改定より身体的拘束等の適正化を図るため、身体拘束廃止未実施減算を創設することになりました。

単位数10%/日減算
算定要件身体的拘束等の適正化を図るため、以下の措置を講じなければならないこととする。・身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること。・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、 介護職員その他従業者に周知徹底を図ること。(※) 地域密着型特定施設入居者生活介護においては、運営推進会議を活用することができることとする。・身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。・介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。

運営推進会議の開催方法の緩和

平成30年度介護報酬改定より地域密着型特定施設入居者生活介護のみを対象に、複数の事業所の合同開催について、以下の要件を満たす場合にのみ認めることになりました。

利用者及び利用者家族については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること。
同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。
合同して開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと。

療養病床等から医療機関併設型の特定施設へ転換する場合の特例

平成30年度介護報酬改定より介護療養型医療施設又は医療療養病床から、「特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 (有料老人ホーム等)と医療機関の併設型」に転換する場合の特例を設けることになりました。※介護予防特定施設入居者生活介護を含む

サービスが適切に提供されると認められる場合に、生活相談員、機能訓練指導員、計画作成担当者の兼任を認める。
サービスに支障がない場合に限り、浴室、便所、食堂、機能訓練室の兼用を認める。

介護職員処遇改善加算の見直し

平成30年度介護報酬改定における処遇改善加算の見直し

平成30年度介護報酬改定では介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については廃止となります。理由は要件の一部を満たさない事業者に対し、減算された単位数での加算の取得を認める区分であることや、当該区分の取得率や報酬体系の簡素化を行うためとされています。ただし、一定の経過措置期間を設けることされています。

算定要件介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、別に厚生労働大臣が定める期日(までの間に限り算定することとする。※ 平成30年度予算案に盛り込まれた「介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業」により、加算の新規の取得や、より上位の区分 の取得に向けて、事業所への専門的な相談員(社会保険労務士など)の派遣をし、個別の助言・指導等の支援を行うとともに、本事業の実施状況等を踏まえ、今後決定。

「介護離職ゼロ」を掲げる政府方針として、介護福祉士を確保することは1億総活躍社会の理念にとされています。過去に「処遇改善加算」として介護士の給与を実質1~2万円アップなどの改定が行われてきましたが、高齢者数の延伸による介護士不足の打開に向け、今後は8万円相当の賃上げを行う方針で調整が進んでいます。

具体的には、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行うとされています。ただし、実施時期については平成30年度介護報酬改定4月ではなく、2019年10月で調整中です。

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特定施設入居者生活介護における基本報酬の見直しについて

特定施設入居者生活介護における平成30年度の介護報酬改定では、有料老人ホームを中心とした特定施設の基本報酬が若干の引き上げ方向で調節されました。

 改定前改定後
特定施設入居者生活介護要介護1|533単位
要介護2|597単位
要介護3|666単位
要介護4|730単位
要介護5|798単位
要介護1|534単位
要介護2|599単位
要介護3|668単位
要介護4|732単位
要介護5|800単位
地域密着型特定施設入居者生活介護要介護1|533単位
要介護2|597単位
要介護3|666単位
要介護4|730単位
要介護5|798単位
要介護1|534単位
要介護2|599単位
要介護3|668単位
要介護4|732単位
要介護5|800単位
介護予防特定施設入居者生活介護要支援1|179単位
要支援2|308単位
要支援1|180単位
要支援2|309単位

まとめ

平成30年度介護報酬改定において特定施設入居者生活介では、基本報酬は現状維持とし、「自立支援・重度化防止」を軸に様々な加算の創設・新設が行われることになりました。

特定施設では、入居者様の「医療ニーズ」に応えるべく、改定後は様々な加算算定を行い、より質の高い生活支援が求められるようになり、特定施設という入居様が生活する場をより住みやすくそして健康を支える場として、これからの運営のあり方を踏まえ大転換が迫られるようになります。

リハプランでは、特定施設のリハビリニーズに応えるための「個別機能訓練加算」をサポートしています。これから初めて算定する看護師さまでも、直感的な操作感とリハビリ専門家の安心のサポートで簡単に機能訓練を実施できます。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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