ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは|簡単なロコモ体操の方法とポイント

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更新日:2022/02/17

デイサービスで行うプログラムとして取り組んでいただきたいロコモ体操をご紹介します。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいいます。 今回は、そんなロコモの概要、ロコモ度テスト、介護予防を目的とした簡単で効果的なロコモ体操のやり方や実例、ポイントを解説して行きます。通所介護の個別機能訓練加算Ⅰの運動プログラムとしてもご参考になるかと思います。  

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、平成19年に日本整形外科学会が「運動器の障害による移動機能の低下した状態を表す」として新たに提唱した言葉です。

運動器の障害が起こると必然的に要介護になるリスクが高くなります。そのため各地域の健康教室などではロコモを予防する「ロコモ体操」などの取り組みをされています。
ロコモ体操は、筋肉や骨、関節などの運動器障害により歩く能力が低下しないように予防するエクササイズのことをいいます。

ロコモティブシンドロームの原因とは

ロコモティブシンドロームは、運動器の障害によって歩行や立ち上がりが行いにくくなった状態、リスクが高い状態を指します。

そんなロコモを引き起こす原因にはどのようなものがあるのでしょうか?ロコモの原因と原因病をご紹介します。

【ロコモの原因】

  1. 筋肉の低下
  2. バランスの低下
  3. 全身の体力の低下
  4. 骨・関節がすり減る、痛む

ロコモに関連する「3大原因病」

  1. 骨粗相症
  2. 変形性膝関節症
  3. 脊柱管狭窄症

参照:長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ロコモティブシンドロームとは」(2016年11月22日アクセス)

ロコモティブシンドロームはどれくらいの人が抱えている?

では、どれくらいの人がロコモティブシンドロームを抱えているのでしょうか。

3大疾患のうち、変形性膝関節症は2,530万人、骨粗鬆症は1,740万人にのぼるとされています。

ロコモティブシンドロームは、その予備軍も含めて「 4,700 万人」が相当すると推定されています

つまり、3人のうち1人以上がロコモを有していることになります。

参照:公益社団法人ヒューマンサイエンス振興財団「ロコモティブシンドロームの将来動向」(2016年11月22日アクセス)

ロコモをチェック!ロコモ度テストとは

ロコモをチェックする方法としてロコモ度テストがあります。

ロコモ度テストとは、「立つ」「歩く」「走る」「立ち上がる」「座る」などの移動機能に必要な要素を確認する3つのテストから構成されています。

【ロコモ度テスト】

1.立ち上がりテスト
測定方法
40cm、30cm、20cm、10cmの4種類の高さの台から両脚または片脚で反動をつけずに立ち上がり3秒間保持できるかを評価します。両手は胸の前に組んで行います。

2.ステップテスト
測定方法
できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます。最初に立った位置のつま先から到着点のつま先までの距離を測定します。2歩幅の値から以下の計算式で2ステップ値を算出します。
※測定は2回実施して良い結果を参考にします。

「2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値」

3.ロコモ25
測定方法:痛みや日常生活などについて25個の質問に答える問診テストです。問診用紙は公式サイトにてダウンロードください。


「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」の各テストを実施したらロコモ度を判定します。

【ロコモ度判定方法】
※3つのテストで1つでも当てはまる場合はロコモ度1や2と判定されます。


○ロコモ度1
移動機能の低下が始まっている状態です。筋力やバランス機能が落ちてきているのでロコモ体操を始めとする運動習慣をつける必要があります。

→立ち上がりテストでは、どちらか一方の片足で40cm台の高さから立ち上げれない場合
→2ステップテストでは、2ステップ値が1,3未満の場合
→ロコモ25では、7点以上の場合


○ロコモ度2
移動機能の低下が進行している状態です。自立した生活ができなくなるリスクが高くなっています。痛みが伴う場合は、整形外科専門医の受診をお勧めします。

→立ち上がりテストでは、両足で20cm台の高さから立ち上げれない場合
→2ステップテストでは、2ステップ値が1,1未満の場合
→ロコモ25では、16点以上の場合

▼下記の公認サイトにて3つのテストをダウンロードできます。興味がある方はこちらへ。

参照:日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモチャレンジ「ロコモ度テスト」平成27年5月1日アクセス(平成27年5月1日アクセス)

ロコモ体操プログラム | 片脚立位編


それでは、ロコモ体操の方法ご紹介します。

まずは、1つ目に片脚立位のエクササイズです。片脚立ちで体を保持することでバランス能力を鍛える効果が期待できます。

【運動のポイント】

  1. 姿勢を正して、視線は前方を見るように意識しましょう。
  2. バランスに不安がある方は机や壁を支持して行いましょう。

【運動の注意点】
バランスを保ち、転倒に注意して行いましょう。 

【関連記事】
片脚立位のカットオフ値とは|評価初心者でも分かる測定方法
片脚立位は、高齢者の転倒リスクを把握する評価方法としても有効です。片脚立位の測定方法について知りたい方はこちらの記事がオススメです。

ロコモ体操プログラム | スクワット編

2つ目にスクワットのエクササイズです。

スクワットを行うことで立ち上がりや階段昇降、歩行に必要な太ももの筋力アップに効果が期待できます。

【運動のポイント】

  1. 膝がつま先より先に出ないように行いましょう。
  2. スクワットが困難な場合は、机や壁に手をついて行いましょう。

【運動の注意点】
膝や股関節に痛みがある場合は運動を中止しましょう。

参照:日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモチャレンジ「ロコトレ」(2016年5月1日アクセス)

さらに強化したロコモ体操にチャレンジしよう!


片脚立ちやスクワットでは、物足りない方、もう少し強化した方にはこちらのエクササイズがオススメです。

段差を使用したヒールレイズです。こちらの運動はふくらはぎの筋力アッップに効果が期待できます。ふくらはぎは、歩く際に床を蹴り前方への推進力の役割や姿勢を保つ際に働きます。

【運動のポイント】

  1. 段差からかかとを出すようにしましょう。
  2. ゆっくりと大きく踵を上げ下げしましょう。

【注意点】
段差からの転落に注意して行いましょう。

強化したロコモ体操にチャレンジ!


続いてフロントランジのエクササイズです。ステップ訓練とも呼ばれるこちらの運動は、お尻や太ももの筋力アップやバランス能力に効果が期待できます。

【運動のポイント】

  1. 胸を張って、姿勢を起こしたまま行いましょう。
  2. 膝がつま先よりも前方に出ないように意識しましょう。

【運動の注意点】
大股過ぎると左右にバランスを崩しやすいため注意しましょう。

毎日続けれる運動が高齢者に一番あったモノ!

ロコモ体操では、毎日続けれることをオススメしています。簡単で効果的なロコモ体操なら続けやすいですよね。

患者様やご利用者様に運動を選ぶ際に少し難易度が高くなっていませんか?

実際に毎日続けるとなると運動の難易度が高すぎず、低すぎないものが適しています。ひとりひとりの能力や運動量、趣味を知り運動を提供するのはなかなか難しいです。

通所介護事業所で実施する個別機能訓練加算Ⅰの悩みとは

デイサービスで実施される個別機能訓練加算Ⅰでは、ご利用者様が主体的に選択でき、生活意欲を増進する複数のグループ活動を用意しなければなりません。

そのため現場の機能訓練指導員は、ご利用者様の身体状況に合わせた様々な運動メニューを提案するために日々頭を悩ませているのではないでしょうか?

個別機能訓練加算Ⅰとして「ロコモ体操」を取り入れて、ご利用者様にいつまでも元気に自分の足で歩き続けれるように、健康寿命の延伸を進めていきましょう。
 

デイサービス運営では、個別機能訓練加算の算定は売上の貢献にも非常に重要な要素だと言えます。「個別機能訓練加算・個別機能訓練計画書」に関する記事を一挙にまとめた記事をご用意していますので、必要に応じて活用していただけたら嬉しいです。

→→ 【完全保存版】デイサービス経営者必見!個別機能訓練加算・計画書まとめ|随時更新

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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