ご高齢者との関わり方について|介護スタッフの基礎知識

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2022/02/16

私達スタッフはご高齢者にどのような「関わり方」ができるのでしょうか?「そばに寄り添う姿勢で耳を傾ける」などコミュニケーションに関してのノウハウをよく耳にします。今回はデイケア・デイサービスの介護現場で働く方のために、ご利用者様との関わり方について作業療法士(リハビリ職)の視点からご説明していきます。介護現場の基礎知識アップとして是非読んでいただきたいと思います!

通所介護・通所リハでのご高齢者との関わり方とは

医療や介護のスタッフは、ご利用者様に「その人らしい生活」「その人が望む生活」が送れるためにサービスを提供しています。

作業療法士が考えるご利用者様との関わり方は「人・環境・作業」の相互関係という視点を取り入れています。

「人・環境・作業」とはどういった考え方なのでしょうか?それぞれについて解説していきましょう。

  • 「人」とは個人を指しています。私達スタッフはご利用者様を尊重したコミュニケーションはもちろんのこと、お身体や心の状態に配慮した行動をしていきます。
  • 「環境」とは場所や文化、制度など個人を取り巻く環境を指しています。個人が住んでいるお家や通っているデイサービス、病院、行きつけのお店などがあります。
  • 「作業」とは目的のある活動を指しています。髭剃りやお化粧、掃除や家事などの役割活動、園芸などの趣味活動などが含まれます。

この「人」「環境」「作業」の3つを総合的に捉えてサービスを提供することが、ご利用者様との関係性を構築する上での糸口となってくれるわけです。

山内 寿恵「クライアント中心の作業療法における叙述データの有用性」
2016年10月20日アクセス

ご利用者様にサービスを提供する上でのポイントは「自己効力感」

ご利用者様との関わり方のポイントとして「自己効力感(Self-efficacy)」という考え方があります。

自己効力感とは、ある具体的な状況において適切な行動を成し遂げられるという予期および確信のことをいいます。

つまり、ご利用者様に「よしやってみよう」と思わせることができるかどうかがポイントとなるのです!!

参照:自己効力感,不安,自己調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証(平成28年11月17日アクセス)

自己効力感を高める4つのポイントとは

自己効力感を高める、以下の4つのポイントをご紹介します。

  1. 成功体験:自分自身で行動して、「成功できた!」という体験
  2. 代理体験:他者が達成している様子を観察することによって、自分にもできそうだと予期する体験
  3. 言語的説得:達成可能性を言語で繰り返し説得すること
  4. 生理的情緒的高揚:苦手だと感じていた場面で、落ち着いていられたり、赤面や発汗がなかったりすること

つまり、ご利用者様が課題を達成できることを「言葉で説明」し、同様な課題を「他者が達成」したり、「自身で達成」したりすることが重要と言えます。

介護の現場では、集団体操やレクリエーションの時間にこのような場面が想定できませんか。

介護のプロは「環境づくり」がうまい!

ご利用者様が自分でやれる、できると言った環境づくりを提案することが介護のプロと言えるのではないでしょうか。

声掛け(ご利用者様が課題を達成できることを言葉で説明)や代理体験、成功体験ができる環境づくりはご利用者様との関わり方として重要です。

例えば、運動やレクリエーションであれば、ご利用者様にとって難しすぎず、簡単過ぎない「活動」を選定することがポイントとなります。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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