生活リハビリテーションとは 効果的に実践する方法や内容の具体例を解説

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更新日:2024/04/09

生活リハビリテーションについて具体例が知りたいですか?生活リハとは着替えやトイレなど利用者様が日常を生活する上で行う活動内容(ADL)をリハビリと捉え、日常生活動作を自力でできるように効果的に支援する方法のことです。介護する場面で、自立支援の姿勢で最小限の介助を行い、できるADLとしているADLの差を生活環境上で埋めていくため効果的に訓練できます。本稿では、生活リハビリをする上で重要なポイントと効果測定について解説します。

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生活リハビリテーションとは

生活リハとは

生活リハビリテーションとは、リハビリの専門家が直接的に筋力アップや柔軟性アップを目指した機能訓練を実施するのではなく、着替えやトイレ、入浴など利用者様が日常を生活する上で行う活動(ADL)をリハビリと捉え、日常生活動作を自分の力でできるように支援することを指します。

※なお、生活リハビリテーションという言葉はよく耳にしますが、特定の定義はありません。

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生活リハビリが重要な場所・生活環境とは

日常生活動作がリハビリという考え方の「生活リハビリ」は、リハビリテーションの専門家(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)だけでなく、ケアスタッフ(介護士)やナース(看護師)もその実施者としての役割を担っています。特に、日常生活の場となる住宅型の高齢者施設などでは、この「生活リハビリ」という考え方は重要になります。

ご高齢者は加齢に伴い、体力や筋力などが落ちていきます。集団体操や運動などで体力維持を目標としてもなかなか続きません。そこで日常的に毎日行う活動をできるだけ自分の力で取り組む「生活リハビリ」を行うことで筋力や体力、バランスなど日常生活を営む上で重要な身体機能(基礎体力)が低下しないように維持する効果が期待できるのです。

運動習慣がない方々に無理に運動を提案しても長続きしません。

そこで私たちスタッフが、生活リハビリの知識をつけて、入浴やトイレなどの生活の中でリハビリを行い、住み慣れた場所(自宅)での少しでも長く楽しく過ごしていただけるように支援していきましょう!

▶︎生活リハビリの考え方の中には生活の質を指す「QOL」の考え方があります。生活リハビリに役立つQOLの考え方について詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

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生活リハビリに役立つQOLの考え方と評価方法をご紹介します。

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生活リハビリと個別・集団リハビリの違いとは

生活リハビリと個別リハビリ・集団リハビリ

生活リハビリ」と類似する言葉に「個別リハビリ」と「集団リハビリ」があります。これらは、特に定められた定義はありませんが、以下のような違いがあります。

生活リハビリとは

  • 内容
    生活リハビリは、日常生活において、適切な介助量の支援を行うことで生活機能を維持・向上を目指す
  • 主な場面
    実際に生活を送っている場所での生活リハビリ(機能訓練

個別リハビリとは

  • 内容
    個別リハビリは、スタッフと利用者様がマンツーマンでリハビリ (機能訓練)を行うことで身体機能や生活機能の維持・向上を目指す
  • 主な場所
    リハビリ室や機能訓練室、実生活場面での個別リハビリ(機能訓練)

集団リハビリとは

  • 内容
    集団リハビリは、スタッフと数名の利用者様が集団でリハビリ (機能訓練)を行うことで身体異能や生活機能の維持・向上、集団でのコミュニケーション能力や心の回復などを目指す
  • 主な場所
    リハビリ室や機能訓練室、フロアでの手段リハビリ(機能訓練)

生活リハビリは実際に生活を送っている場所で、必要な生活動作を訓練することであり、介護に関わるスタッフみんなで共通した目標・方法で介助をするというてんでは個別的なリハビリの一種です。生活リハビリは利用者様にとっても負担のない訓練となるのかもしれません。

生活リハビリの種類と内容

生活リハビリの種類

では、生活リハビリにはどのような種類があり、内容はどのようになっているのでしょうか?

生活リハビリには、主に「日常生活動作(ADL)」「手段的日常生活動作(IADL)」などがあります。また、付随して「趣味活動」や「社会参加」も日常生活の一環として生活リハビリと考えられています。

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日常生活動作とは

手段的日常生活動作とは

  • IADL (Instrumental Activities of Daily Living)と言います。
  • 日常生活を送る上で必要な動作のうちADLより複雑で高次な動作で、この動作ができるだけ自分でできるように支援していくことも生活リハビリの1つです。
  • 具体的な動作
  • 料理、買い物、洗濯、掃除などの家事全般、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、電話の応対など

▼生活リハビリに重要なIADLについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

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生活リハビリであるIADLの意味や評価方法について簡単に解説していきます。

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生活リハビリをする上で重要なポイントと効果測定について

生活リハビリをする上で重要なポイントと効果測定

生活リハビリでは、日常的に毎日行う活動をできるだけ自分の力で取り組むことが重要です。そこで重要になるのが、日常生活動作で本人が能力的に「できそうなこと」と実際に「していること」を見極めることです。

本人が日常生活上で「できそうなこと」「していること」を把握せず、全て介助してしまうと日常生活機能や身体能力が低下してしまいます。つまり、介助量が過介助になってしまいます。

適切な介助量は、高齢者の身体機能の改善を促進し、生活範囲を広げていくことにも繋がります。生活リハビリをする上では、本人の能力を見極め、適切な介助量で生活を支援するように心がけていくことが重要なポイントとなります!

実際に、日常生活の能力が「どれくらいできるのか」を把握する方法に「FIM」という評価法があります。FIMは、患者様や利用者様の日常生活動作(ADL)にどれくらいの介護量が必要なのかを評価することができ、ADL評価の中で最も信頼性と妥当性があるといわれています。

生活リハビリをする上では、事前にFIMの評価を行ない「しているADL」を把握しておきましょう!定期的にしているADLとできるADLを評価することで生活リハビリの効果が出ているかを確認していきます。

生活リハビリのポイントはできるADLとしているADLの差を埋めることにあります。

▼生活リハビリで重要な「しているADL」を把握する方法「FIM」についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がオススメです。

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生活リハビリを効果的に行う方法と具体例について

生活リハビリを効果的に行う方法と具体例

では、実際に高齢者施設などで生活リハビリに取り組む場合は、どのように行えばよいのでしょうか?ここでは、日常生活動作の中でも「トイレ」にて生活リハビリをする方法について具体例を踏まえてご紹介します。

まず、生活リハビリでは、2つのステップに沿って取り組むようにしましょう。

STEP1. できる動作を把握する

トイレ動作の生活リハビリを行う場合は、まずトイレの「どこに介助が必要なのか?」「実際にできそうなことはないのか?」を以下の7つの項目から把握します。

【トイレ動作の手順】

  1. ドアの開閉
  2. 方向転換
  3. 下衣の着脱
  4. 便座への立ち座り
  5. 便座に座っておく
  6. 清拭(お尻を拭く)
  7. 水を流す

STEP2. 最小限の介助量で支援する

トイレで「実際にできそうなこと」「していること」をできるだけご自分の力でできるように介助量を最小限にしていきます。

プロフラムの具体例について

ある高齢者が「4. 便座への立ち座り」が手すりを使用すれば見守りでできそうだとします。この便座の立ち座りを生活リハビリとしてできる限りご自分の力で行なっていただけるように最小限の介助量で取り組みます。この自立支援的な見守り介助については、実際に介護に関わるスタッフ間で十分に認識を共有します。捕まる手すりの場所の促しなど、より安全に安定してできる方法があるならば、それを生活リハのプログラム内容としてさらに介護スタッフで周知します。

立ち座りの動作そのものの安定のために、「大腿四頭筋の筋力強化」や「下腿三頭筋の筋力強化」「背筋の筋力強化」「足底の感覚の促通」「前方への重心移動」「バランス感覚の促通」などのプログラムの選択肢がありますが、これらのどれが効果的であるかは個別リハビリで理学療法士や作業療法士が評価をして見極めていきます。

下腿三頭筋の筋力強化など、集団リハビリでできるものは集団リハビリで行うこともあります。

まとめ

まとめ

生活リハビリはその名の通り、着替えやトイレなど日常生活の環境下でリハビリを行います。そのため、日常生活に必要な基本的な能力(筋力や関節可動域、バランスなど)の維持・向上だけでなく、環境に合わせた体の使い方や道具の使い方など感覚受容器を刺激する機会ともなり得ます。

生活リハビリのポイントは、「適切な介助量」です!

生活リハビリをする上では、本人の能力を見極め、適切な介助量で生活を支援するように心がけていくことが重要なポイントとなります!ご高齢者の方々がいつまでも住み慣れた環境で自立した生活が営めるよう、皆さんも生活リハビリに取り組んでいきませんか?

【最後に筆者より】
リハプラン では、医療・介護現場に役立つ評価方法や機能訓練プログラムについてご紹介しています。ぜひその他の体力測定の方法もご覧下さい。

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科学的介護ソフト「Rehab Cloud(リハブクラウド) 」』なら、そういった状況を変えることができます!

ぜひ、これまでの介護ソフトとの違いをご覧頂ければと思います。



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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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