福祉用具専門相談員とは?仕事内容と資格について理解しよう

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2022/02/21

病気や怪我に伴う「障害」が障壁となって何かが「できない」ことを福祉用具により「できる」ことに変え、その生活をサポートします。その方にあった福祉用具を介護保険サービスの専門職と連携しながら行うスペシャリストです。それでは詳細について見ていきましょう

福祉用具専門相談員の資格と取得方法

福祉用具専門相談員とは介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に2名以上の配置が義務付けられている専門職です。
資格を取得するためには都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」による50時間のカリキュラム、修了評価(筆記の方法による)によって「福祉用具専門相談員」の資格が与えられます。

受講資格は年齢や経験に関係なく、どなたでも受講できます。

尚、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士の国家資格をお持ちの方であれば、福祉用具専門相談員の業務にあたることができます。

【注意点】
平成27年4月1日より介護職員基礎研修課程や1級課程、2級課程の修了者、介護職員初任者研修課程の修了者は「福祉用具専門相談員」の業務を行うことはできなくなっていますので、注意が必要です。

福祉用具専門相談員の仕事内容

福祉用具専門相談員の主な仕事内容は相談業務と計画書作成、モニタリングです。その詳細について見ていきましょう。

相談業務サービス担当者会議などに参加し、他職種と連携しながらご利用者の心身状況や生活環境などに最適な福祉用具の選定を行います。
計画書の作成業務担当者会議等で選定した福祉用具の利用計画を立て、ご利用者様に提案を行います。
適合取扱説明ご利用者様の身長や体重、使用環境に合わせて福祉用具の微調整をおこないます。また、認知機能や性格、環境に合わせ、福祉用具を安全かつ有効に使っていただけるよう、ご利用者様とその家族にしっかりと説明を行います。
モニタリング定期的にご利用者様宅を訪問し、福祉用具の点検や使用状況の確認を行います。

このように福祉用具専門相談員の仕事内容はヒアリングから計画、フォローを定期定期に行います。また、杖などの日常生活用品についてはレンタル(貸与)ではなく、購入をされる方もいらっしゃいます。

福祉用具専門相談員の講習

福祉用具専門相談員の指定講習

福祉用具専門相談員の指定講習は計50時間となっており、その内訳は以下のとおりのカリキュラムとなっています。

❶福祉用具と福祉用具専門相談員の役割

  • 福祉用具の役割 (1時間)
  • 福祉用具専門相談員の役割と職業倫理 (1時間)

❷介護保険制度等に関する基礎知識

  • 介護保険制度等の考え方と仕組み (2時間)
  • 介護サー ビスにおける視点 (2時間)

❸高齢者と介護・医療に関する基礎知識

  • からだとこころの理解 (6時間)
  • リハビリテーショ ン(2時間)
  • 高齢者の日常生活の理解 (2時間)
  • 介護技術 (4時間)
  • 住環境と住宅改修 (2時間)

❹個別の福祉用具に関する知識・技術

  • 福祉用具の特徴 (8時間)
  • 福祉用具の活用 (8時間)

❺福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識

  • 福祉用具の供給の仕組み (2時間)
  • 福祉用具貸与計画等の意義と活用 (5時間)

❻福祉用具の利用の支援に関する総合演習

  • 福祉用具による支援の手順と福祉用具貸与計画等の作成 (5時間)

参照:【福祉用具専門相談員についてもっと知りたい方はこちら】
福祉用具専門相談員の質の向上に向けた調査研究事業

福祉用具専門相談員指定講習の受講資格

受講資格は年齢や経験に関係なく、どなたでも受講できます。ただし、研修機関によっては、指定講習に定められる到達目標に達することが困難な方の受講をお断りするケースがあるようですので注意が必要です。

福祉用具専門相談員のスキルアップ

福祉用具専門相談員のスキルアップには以下のような資格もありますので、合わせてチェックすることをお勧めします。

福祉用具プランナー公益財団法人テクノエイド協会
福祉用具関連事業に2年以上従事した経験があり、現在も従事している者
福祉用具選定士社団法人日本福祉用具供給協会
福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験を有する者
福祉住環境コーディネーター東京商工会議所
実務経験必要なし
福祉用具供給事業従事者現任研修会一般社団法人シルバーサービス振興会
福祉用具供給事業従事者研修を修了して5年以内の方。
一定の条件を満たせば、ケアマネジャーの受験資格取得も可。

福祉用具専門相談員の給与

福祉用具専門相談員の給料は、介護事務や介護職員とさほど変わらない水準だと言われおり、新卒の入社1年目の初任給は約17万円前後で、年収は200万円程度が相場です。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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