介護福祉士とは何か?大介護時代を支える国家資格

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更新日:2024/04/07

介護福祉士とは社会福祉士や精神保健福祉士とならぶ代表的な国家資格です。介護福祉士は、介護における専門的な知識と技能を身につけているので、現場のリーダーとして活躍することが期待されています。通所介護事業所であれば、サービス提供体制強化加算が事業所に加算されるなどのメリットがあります。詳細について見ていきましょう。

介護福祉士とは

介護福祉士とは介護・福祉業界における三大国家資格(社会福祉士精神保健福祉士・介護福祉士)のひとつで、 もっているだけでも多くのメリットのある資格です。

今から約30年前に成立した「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく名称独占の国家資格であり、「介護福祉士」という名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他その者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、介護者やその家族に対して介護に指導を行う「介護」のプロフェッショナルです。

全国には約155万人(平成29年6月現在)の介護福祉士の資格を持った介護士(介護士全体の40%程度)がおり、超高齢社会の日本を支えるなくてはならない資格とも言えます。
一方、平成28年より介護福祉士の資格を取得するためには、最大で450時間の「実務者研修」の受講が必須条件となったため、現場で働きながら介護福祉士を目指す方にとっては資格取得が困難になってきているなどの課題もあります。

では、介護福祉士の資格を取得することは、どういったメリットがあるかについて、スタッフ側と事業所側で見ていきましょう。

介護福祉士の資格を取るメリット

  1. 資格手当を受けることができる
    介護福祉士の資格手当は平均で10,802円となっており、「手当なし」の事業所も4割超という少なくはない数字です。
  2. 役職が上がる
    知識と技術を持つ介護福祉士は介護リーダーとして役職者になる可能性が高くなります。施設によっては資格手当と役職手当がつく場合もあります。
  3. 転職が有利
    より条件のいい介護現場で働くことも可能になります。これは資格を持つだけで、事業所にもメリットが発生しているためです。
  4. キャリアアップ
    介護福祉士はケアマネージャーの試験を受験するために必要な国家資格(法定資格)と定められているので、資格を取得後、資格に基づく業務に5年(900日)以上従事すれば、ケアマネージャーの受験資格となります。

介護福祉士がいる事業者側のメリット

  1. 通所介護|サービス提供体制強化加算の算定要件
  2. キャリアアップ助成金を活用してうまく取得させることができる

厚生労働省管轄のキャリアップ助成金をうまく活用することで、施設側は優秀な介護士の育成と施設内のサービスの質をアップすることができます。

参照:平成20年に介護福祉士等現況把握調査を行った結果はこちら

介護福祉士の仕事内容とは

介護福祉士の仕事内容は、介護についての専門的な技術や知識を有しているということをベースに、要介護者や障がいのある方に対して、食事や入浴、排泄、歩行などの身体介護や生活に対するアドバイスをしたり、介護者の精神面での支えになったりたりする介護のプロとして仕事内容が主となります。

一般のケアワーカーと比べて、介護の業務内容が異なるかというと、ほとんど変わりがないのが現状です(周囲からの目は違いますが、仕事内容は変わらないと理解してください)。
大きく違う点としては医療行為の「喀痰吸引」を医師の指示の下、行うことができるようになるため、施設等の要介護度が高い方の介護を行うことができます。
詳しくは後述する「介護士と介護福祉士の違いとは」をご参照ください。
一方、介護福祉士を持っているために役職が付き、それで仕事量が増えると言う事はありえます。

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要介護者の身体介護について
介護現場での身体介護について知りたい方はこちら。

介護福祉士の受験資格とは

介護福祉士の受験資格を取得するには、以下の3つのルートがあります。

実務経験から3年以上の実務経験および実務者研修を修了すると、試験を受験することができます。
福祉系高校から福祉系高校にて定められた科目・単位を取得し、卒業後、試験を受験することができます。
養成施設から指定された養成施設等を卒業することにより資格を取得できます。

ここでは現場からどのように介護福祉士を取得するかについて見ていきましょう。
2016年度(2017年1月)より実務経験3年以上に加えて、介護福祉士試験の受験資格として介護職員実務者研修の修了が新たに義務付けらました。

実務者研修とは

実務者研修とは介護福祉の養成校を卒業した場合と同等の知識が得られるよう、研修期間を6カ月以上、450時間以上の課程が実施されます。ただし、以下の有資格者の場合は、所持している資格によってそれぞれ研修の必要時間が以下の時間に短縮されます。

  • ホームヘルパー3級取得者:420時間
  • ホームヘルパー2級取得者:320時間
  • ホームヘルパー1級取得者:95時間
  • 介護職員基礎研修取得者:50時間

現在持っている資格や実務経験により資格を取るまでの時間が異なりますので、個人でもしっかりと把握しておきましょう。

また、研修の多くは通信教育で受けられますが、約45時間分の介護技術に加え、痰吸引などの医療的ケアも養成施設で学ぶ必要がある。研修は最長で半年かかり、10万~20万円の費用負担も必要であるため、厚生労働省は職員が研修を受ける際の代替職員を雇うための助成制度などを始めましたが、実施は24都道府県どまりとなり、代わりの人が見つからないなどの課題もあります。

参照:厚生労働省(2016)介護人材の処遇改善について

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実務者研修の内容と資格について
実務者研修とはより質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得を獲得する研修です。 サービス提供責任者になることができ、介護福祉士などのキャリアアップをしていくための研修として受講していきます。

介護福祉士の試験について

介護福祉士の試験について概要をさらっておきましょう。

形態年1回の試験で第1次試験には筆記、第2次試験には実技が行われます。
試験日1月下旬、実技試験については3月上旬に実施。
筆記試験(1)社会福祉概論、(2)老人福祉論、(3)障害者福祉論、(4)リハビリテーション論、(5)社会福祉援助技術(演習を含む)、(6)レクリエーション活動援助法、(7)老人・障害者の心理、(8)家政学概論 (9)医学一般、(10)精神保健、(11)介護概論、(12)介護技術、(13)形態別介護技術
問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者であることかつ12科目群すべてにおいて得点があった者であること。
実技試験課題の総得点の60%程度を基準として、課題の難易度で補正した点数以上の得点の者を実技試験の合格者とする。
合格率合格率50.2%受験者数153,811人、合格者数77,251人
受験手数料15,300円(平成29年度より)
試験地(1)筆記試験
北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県及び沖縄県
(2)実技試験
北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県及び沖縄県

介護福祉士の年収について

福祉施設で働く介護員の平均年収は39.7歳で316万円となっています。

  • 平均年齢:39.7歳
  • 勤続年数:6年
  • 労働時間:165時間/月
  • 超過労働:4時間/月
  • 月額給与:223,500円
  • 年間賞与:479,000円
  • 平均年収:3,161,000円

※本統計は介護福祉士資格取得者とは限りませんが、目安として参考にしてください。

安倍晋三首相の介護士に対する想い

介護の仕事は、本当にやりがいがある。そのことを国民の皆さんに正しく理解してもらいたい。

引用元:安倍内閣総理大臣所信表明演説(平成28年9月26日)

介護福祉士を目指す学生、小金栞さんから聞いた言葉が、私の耳から離れません。大きな希望を持って介護や保育の道を進んだ、こうした皆さんの高い使命感に、私たちはしっかりと応えていかなければなりません。

引用元:安倍内閣総理大臣所信表明演説(平成28年9月26日)

技能や経験に応じた給料アップの仕組みを創るなど処遇の改善に取り組みます。補助者の活用などにより現場の負担軽減を進めます。再就職準備金を倍増する他、あらゆる手を尽くして、必要な人材の確保に努めていきます。

引用元:安倍内閣総理大臣所信表明演説(平成28年9月26日)

今後の介護士の年収

介護職の年収が他の産業平均に比べ、抜本的に改善されるか否かは、今後の介護職員の賃金に関する法律改正がさらに行われない限り、難しい部分が大きいと思われます。
「処遇改善加算」による加算アップがあった場合でも、マイナス改定により運営事業所の基本報酬が下がってしまうと、賃金アップを行うことは難しいのです。
国も社会保障費は下げなければならないのです。

給与アップが必要な介護職、人件費を上げられない介護事業所、介護報酬を抑えたい国。この「トリレンマ」が給与アップに踏み切れない要因となっています。
 

公益財団法人社会福祉振興・試験センター厚生労働省(2015)社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果の実施概要

引用元:厚生労働省「平成27年 賃金構造基本統計調査」

介護福祉士養成校の定員割れ

介護福祉士養成校は今、非常に厳しい状態にあります。というのも、「日本介護福祉士養成施設協会」による調査では、今年(2017年)の日本人の入学者数は6667人で、前の年度から11%以上減り、定員の45.7%にとどまり、これまでで最も少なくなりました。

「仕事として介護」を選択しない若者。高い使命感を抱く「仕事として介護」を選択する若者。

「人の役に立つ仕事がしたくて介護の仕事に就きました」このような若者を肯定するためにも、社会システムとして「若者には働く仕組みを、要介護者には満足のいくサービスを。」事実論ベースで再構築が必要です。

認定介護福祉士とは何か

2017年4月。認定介護福祉士認証・認定機構(機構)は、日本全国で初めて「 認定介護福祉士」が誕生したと発表した。「 認定介護福祉士 」となったのは11人。

認定介護福祉士とは「居住・施設系サービスを問わず、多様な利用者・生活環境、サービス提供形態等に対応して、より質の高い介護実践や介護サービスマネジメント、介護と医療の連携強化、地域包括ケア等に対応するための考え方や知識、技術等を認定介護福祉士養成研修で修得した介護福祉士」としている(一般社団法人 認定介護福祉士 認証・認定機構)

認定介護福祉士になるには

認定介護福祉士になるには養成校にて実技及び研修を受講する必要があります。養成研修には認定介護福祉士養成研修Ⅰ類と認定介護福祉士養成研修Ⅱ類があり、これらの2つの研修(600時間)の全過程を修了した介護福祉士のみ、機構に対し認定申請を行うことができます。機構による審査の後、「認定介護福祉士認定証」が発行されます。

このようにして介護キャリアパスの中で最上位資格を取得することができます。今年に始まったばかりの資格ではありますが、大介護時代の「介護資格のトップ」として期待しています。

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類とは

介護福祉士養成課程では学ばない新たな知識(医療、リハビリ、福祉用具と住環境、認知症、心理・社会的支援等)を修得し、他職種との連携・協働を含めた認定介護福祉士としての十分な介護実践力を完成させる。
利用者の尊厳の保持や自立支援等における考え方にたった介護過程の展開を、介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダーに対して指導するために必要な知識を獲得する。

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類とは

Ⅰ類で学んだ知識をもって、根拠に基づく自立に向けた介護実践の指導をする力を獲得する。
認定介護福祉士に必要な指導力や判断力、考える力、根拠をつくりだす力、創意工夫する力等の基本的知識に基づいた応用力を養成する。
サービス管理に必要なツールを整理、改善し、それらから根拠を導きだし、その根拠に基づいた指導をする力を獲得する。
生活支援の視点から、地域の介護力を高める力を獲得する。 介護サービスという特性のもと、チーム運営、サービス管理、人材育成等について必要な専門的な理論に基づき、チーム、 サービス、人材マネジメントを実践し、利用者を中心とした地域づくり(地域マネジメント)に展開できる力を獲得する。

参照:一般社団法人 認定介護福祉士 認証・認定機構ホームページより

介護士と介護福祉士の違いとは

介護士という名称は一般用語であり、ヘルパーや通所介護スタッフ、老人ホームスタッフなど介護に携わっているすべての人を介護士と呼びます。他方、「介護福祉士」は国家資格であり、知識と技術面を国が認めているという証明になります。

キャリアについて介護士と介護福祉士を比較して見てみると、介護福祉士の資格を有しているからといって、主任や部長、施設長にすぐに抜擢されるということはありませんが、資格手当として給与面が上がることが大きな違いになります。しかし、上図の通り施設によっては資格手当を支給していない事業所も40%程度と厳しい状況となっています。

介護士と介護福祉士の技術面の差(介護福祉士の資格を持っていないとできない)を比較して見てみると、介護福祉士は看護師などが行う医療行為の「喀痰吸引等」を医師の指示の下に行うことが許されています。資格を持っていない介護士は、してはいけない業務ですので、技術面の差があることを理解しておく必要があります。

参照:公益財団法人社会福祉振興・試験センター厚生労働省(2015)社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果の実施概要

介護福祉士と社会福祉士の違いとは

(出典) 公益財団法人社会福祉振興・試験センター厚生労働省(2015)社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果の実施概要

社会福祉士介護福祉士は同じ「国家資格」ですが、勤務先が大きく異なります。社会福祉士は高齢者福祉施設で働くこともありますが、その他にも障害者施設や医療期間、福祉施設で勤務されている方も多くいらっしゃいます。一方、介護福祉士の勤務先は高齢者福祉施設が中心となっています。

現場レベルでは社会福祉士は主に相談業務を中心に行い、利用者(その家族)の生活上の相談や自立した生活を送るための支援方法についての援助計画や評価、見直しを行います。また、必要に応じて利用者に関わる施設や行政機関に連絡をとり、必要な公的手続きの代行や、公的な支援を利用者(家族)に情報提供します。
一方、介護福祉士の職務は要介護者への食事や入浴などの身体介護や買い物や掃除などの生活援助などの直接的な介護業務に従事しています。

そのため、介護福祉士と社会福祉士とでは学ぶカリキュラムも異なり、社会福祉士では福祉関係全般の幅広い知識(福祉関係の法律や制度、カウンセリングを行うための心理学など)を学び、介護福祉士では痰吸引や認知症高齢者への対応など現場に即した技術も含めて学んでいます。

試験の内容については介護福祉士よりも社会福祉士の方が合格率は低く、難易度も高くなっています。そのため、まずは現場叩き上げで資格取得を目指す場合は「介護福祉士」を選択し、キャリアップを図ることも良いのではないでしょうか。

介護福祉士に必要な実務者研修とは

(出典)厚生労働省(平成23年)実務者研修よ

介護福祉士になるためには、平成28年度より実務者研修が必須となりました。では、実務者研修とはどういったものかについて復習していきましょう。

実務者研修とは、より質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得を目的とした研修であり、
資格なし|450時間
ホームヘルパー3級|420時間
ホームヘルパー2級|320時間
介護職員初任者研修|320時間
ホームヘルパー1級|95時間
介護職員基礎研修|50時間
の研修を終えた後、修了が認められます。

介護福祉士の受験資格を得られるだけでなく、訪問介護事業所のサービス提供責任者としての要件を満たすことが可能となります。

一方、

「実務経験ルート(3年間の実務経験)」の要件に、最大で450時間の「実務者研修」が新たに加えられたため、昨年度(平成28年度)の受験者数が一昨年度から半減(平成27年度15万人→翌年7万5千人)しました。現場で働きながら実務者研修、そして介護福祉士の資格取得を目指す介護士の条件は厳しいのが現状でしょう。

【関連記事】
実務者研修の内容と資格について
実務者研修とは、より質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得を獲得する研修です。詳しくはこちら。

介護福祉士の難易度と合格基準について

区分第25回第26回第27回第28回第29回
受験者数(人)136,375154,390153,808152,57376,323
合格者数(人)87,79799,68993,76088,30055,031
合格率(%)64.464.661.057,972.1

介護福祉士の資格を取得するための難易度を考える上では2つのポイントがあります。1つ目は介護福祉士の試験内容そのものの難易度。2つ目は「実務者研修」の時間をつくる難しさです。ではそれぞれを分解して考えていきましょう。

介護福祉士の難易度|試験編

上図にもある通り介護福祉士の合格率は70%を超え、介護福祉士資格試験は合格率が高いと感じる方も多いのではないでしょうか。実際、合格率だけを見てみると他の国家資格よりは高いように感じます。

 合格率
介護福祉士72.1% (2017)
ケアマネージャー13.1%(2016)
社会福祉士26.2%(2016)

受験資格や形式によって異なるため、合格率だけで取得難易度を測ることはできませんが、介護福祉士は国家資格の中では取得しやすい資格と言えるでしょう。

介護福祉士の難易度|時間捻出編

上述の通り現場から介護福祉士の国家資格を取得する場合には「実務経験3年以上」に加えて「実務者研修の受講が必須」となります。そのため、働きながら資格取得を目指すためには通信などを活用し、なるべく身体的拘束を最小限に資格取得に望むのが適切なやり方ではないでしょうか。

一方、ワークライフバランスを重視した職場であっても、書類業務や行事、または突発的な仕事があるのが介護現場です。また、主婦の方であれば子育てや食事の準備など、プライベートな時間もあるでしょう。
働きながら、資格を取得するということは、職場の理解だけでなく、家族の理解も必要であり、本当に大変なことなのです。

以上の2点が介護福祉士の難易度を考える上では重要な要素となります。

介護福祉士国家試験の合格ライン

介護福祉士の国家試験は筆記試験と実技試験の2部構成となっています。筆記試験については第29回(2017年1月29日実施)から出題科目の追加により出題数【 医療的ケア 5問 】が追加され、総出題数も全125問となりました。それでは合格基準について見ていきましょう。

筆記試験の合格基準

合格するには2つの条件を満たす必要があります。
1.総得点125点(1問1点)に対し、得点75点以上
2.「11科目群」すべてで最低1問は正解すること

毎年総得点の60%程度を基準に、その年の問題の難易度によって補正されます。

実技試験の合格基準

合格条件|点数のみ
1 総得点100点に対し、得点53.33点以上

※毎年総得点の60%程度を基準に、その年の問題の難易度によって補正されます。

介護福祉士が喀痰吸引を行うためには

介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等は一定の条件の下にたんの吸引等を行うことができます。

まず喀痰吸引等研修について見ていきましょう。

喀痰吸引等研修とは、「たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)」と「経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)」を行える介護福祉士を養成するための研修です。
喀痰吸引等研修には第1号研修、第2号研修、第3号研修があり、第1号研修・第2号研修は特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、居宅サービス事業、医療施設を除く障害者施設などに従事している介護福祉士を対象としています。
第3号研修は特定の方に「痰吸引」と「経管栄養」を行うための研修となっており、特別支援学校の教員、保育士等が必要な措置のみを学ぶ研修になります。

次に喀痰吸引等を実際に行うための手続きを見ていきましょう。

喀痰吸引等を現場で行うためには、上述した研修を修了後に、都道府県の認定を受ける必要があります。実際に利用者様の痰吸引や経管栄養を行う場合は、医師の指示書が必要となり、看護師との連携体制を整え、実際に「痰吸引」や「経管栄養」が実施できるようになります。また、計画書等の作成も必要となりますので、合わせて注意が必要となります。

介護福祉士などの医行為拡大についての議論

介護福祉士の医療行為について、厚生労働省は2月7日に「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」を開催しています。そこで、現在一定の研修を修了した介護福祉士は喀痰吸引と経管栄養業務を医療的ケアとして実施可能となっていますが、今後、地域包括ケアシステムの構築を進めていくにあたり、医療と介護の連携や役割分担をさらに推進していく上で、介護福祉士等による医療的ケアのあり方について検討する必要があるのではないかという論点で議論がされています。
 同省は昨年12月22日に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を開催し、介護人材における業務範囲の拡大を行い、医療と介護の幅広い分野で活躍できる人材の育成が提案されました。
 これを受け同省は2月7日の福祉人材確保専門委員会で、介護福祉士などが業務として実施可能な喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアの範囲拡大は重要な検討事項であるとして議題にあげました。

全国老人福祉施設協議会副会長の阿比留志郎氏
「現場の問題として、医療的ケアが必要になっている」

日本介護福祉士養成施設協会副会長の井之上芳雄氏
「医療的ケアは介護職員の専門領域ではない」

日本介護福祉士会会長の石本淳也氏
「まずは質の担保ができているのか現状を把握したうえで、課題を解決するのが先ではないか」

第6回福祉人材確保専門委員会
地域包括ケアシステムの構築にあたり、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が住み慣れた地 域で自分らしい暮らしを続けることができるようにするためには、医療と介護の連携をよりいっそう推進していく必要がある。
○ 現在、介護福祉士等がその業務として実施可能な医療的ケアは、喀痰吸引と経管栄養となっている が、医療と介護の連携を推進していくにあたっては、医療従事者との役割分担は重要な課題であり、介 護人材の専門性を高める一環としても、介護福祉士等による医療的ケアの範囲の拡大は重要な検討事項 の一つである。
○ これを踏まえ、介護福祉士等の医療的ケアの範囲については、喀痰吸引や経管栄養の実施状況について、その実態を把握し、検討することとしてはどうか。


専門性の向上や質の高いケアの提供という観点から、日常生活を支援する中で必要なものについては担っていかなければならない。 日常生活に関わるもので、継続的に行う必要があるものについては、介護職が支援することについて検討の余地があるのではないか。 関係者の意見を聞きつつ丁寧な検討が必要。


このように高齢社会における介護現場のニーズと質の担保をどのように解決していくかを検討していく運びとなっている。

参照:新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師 等の働き方ビジョン検討会での議論について

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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