セラバンドトレーニング上半身編|高齢者におすすめのリハビリ運動【11選】

機能訓練

上肢

更新日:2024/03/14

セラバンド体操は、低負荷で怪我もしにくい高齢者にお勧めの筋力トレーニング道具です。セラバンドのトレーニング方法は他にも複数ありますが、今回はセラバンドを使用した上半身の体操を部位別にご紹介します。音楽をかけながらリズムに合わせて体操して行くと楽しく取り組むことができますよ。

セラバンド体操の効果とは

セラバンドを活用した体操は様々な種類がありますが、今回は「立ったままできるセラバンドの体操」をご紹介します。

セラバンドはアウターマッスルだけでなく、肩や腹部、背中のインナーマッスルを効果的に鍛えることができるアイテムでもあります。

運動習慣の乏しいご高齢者の場合は、自分にあった負荷量のセラバンドを選択したり、長さを調整することでも不可量を調整することができるので便利です。運動方向、姿勢など十分に考慮しながら実施してみてくだい。

セラバンドは、戻す際に強い負荷(張力)が働きますので、力を抜かずゆっくりと3秒程度かけて戻すように意識して運動を行なって行きましょう。

下半身の引き締めや筋力アップに効果が期待できるセラバンドを活用したトレーニングについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎セラバンドの筋トレ特集|下半身の効果的な鍛え方【12選】

高齢者向け「胸」を鍛えるセラバンド体操


こちらのセラバンド体操は、ボクシングを行うようにリズムよく行います。セラバンドは背中から脇に通すようにしましょう。ご高齢者の場合はセラバンドを握る力がない場合もあるため、手首に一周巻きつけるようにしましょう。

【効果が期待できる部位】
上下に腕の角度を動かすことで「大胸筋」の筋力アップに効果が期待できます。

【目標の回数】
左右共に10回×3セットを目安に行いましょう。

高齢者向け「腹筋」を鍛えるセラバンド体操


こちらのセラバンド体操は、先ほどご紹介した胸のトレーニングとよく似ている運動ですが、さらに体に捻りを加えたボクササイズの運動です。体幹の安定性を鍛えたいご高齢者の方は、上半身だけでなく体幹の運動も踏まえたダイナミックな体操に取り組みましょう。
運動は無理をせず、段階的に難易度をあげていきましょう。

【効果が期待できる部位】
体幹の回旋を加えることで「腹斜筋」を鍛えることができます。

【目標の回数】
左右共に10回×3セットを目安に行いましょう。

高齢者向け「肩」を鍛えるセラバンド体操


こちらの3種類の運動は、肩に付着する三角筋を鍛えるセラバンド体操です。運動の際は、体を固定した状態で行うように意識しましょう。肩の筋力が弱いご高齢者の方は、肩をすくめてしまうなどの代償動作が入りやすくなるため注意して取り組みましょう。

【効果が期待できる部位】
三角筋の前・中・後の3つの繊維をそれぞれ鍛えることができます。

【目標の回数】
筋力増強は10回×3セットを目安に行いましょう。

参照:代償運動と代償動作(平成28年10月17日アクセス)

高齢者向け「二の腕」を鍛えるセラバンド体操


こちらの運動は二の腕の筋肉を鍛えるセラバンド体操です。二の腕の筋肉は加齢に伴い筋力が落ちやすく、脂肪が溜まりやすい部分でもあります。ご高齢の女性においても気になる部位ですので意識的にトレーニングしてみてはいかがでしょうか。

【効果が期待できる部位】
肘を伸ばすことで二の腕に付着する「上腕三頭筋」を鍛えることができます。

【目標の回数】
10回×3セットを目安に行いましょう。

高齢者向け「力こぶ」を鍛えるセラバンド体操


腕の中でも力こぶ(上腕二頭筋)を鍛えるセラバンド体操です。セラバンドは、引っ張る力だけでなく、戻す際にも強い負荷が働きます。元の位置に戻す際は、急に力を抜かずゆっくりと3秒程度かけて戻すように意識するとより効果的です。

【効果が期待できる部位】
力こぶに位置する「上腕二頭筋」の筋力アップが期待できます。

【目標の回数】
左右共に10回×3セットを目安に運動を行いましょう。

参照:筋収縮形態 Type of muscle contraction(2016年9月6日アクセス)

高齢者向け「肩の付け根」を鍛えるセラバンド体操


肩こりや首こりの原因の1つである僧帽筋を鍛えるセラバンド体操です。僧帽筋を鍛えることで肩周りの血行の循環を良好にしていく効果が期待できるので肩こりに悩むご高齢者にもお勧めです。運動のポイントとして、手首を内側に捻り肘を伸ばしたまま肩をすくめるようにしましょう。

【効果が期待できる部位】
肩と首の付け根に付着する「僧帽筋」を鍛えることができます。

【目標の回数】
3秒間×10回を目安に行いましょう。

高齢者向け「肩甲骨周囲」を鍛えるセラバンド体操


こちらの運動は、肩甲骨周辺を鍛えるセラバンド体操です。両肘にセラバンドを巻き付けて、両肘を開いていきます。ご高齢者の中でも円背姿勢など背中が丸まった姿勢をしている方は、肩甲骨の周囲の筋肉を刺激して姿勢改善に取り組むことをお勧めします。

【効果が期待できる部位】
肩甲骨の内側に付着する「菱形筋」の筋力アップが期待できます。

【目標の回数】
10回×3セットを目安に運動を行いましょう。

高齢者向け「インナーマッスル」を鍛えるセラバンド体操


こちらのセラバンド体操は、肩の筋肉の中でも棘上筋と呼ばれるインナーマッスルを鍛えることができます。肩のインナーマッスルを鍛えることでご高齢者の悩みでもある五十肩や肩関節周囲炎を予防することができます。肩が上がりにくくなる前にセラバンドを活用して鍛えていきましょう。

【効果が期待できる部位】
肩のインナーマッスル「棘上筋」を鍛えることができます。

【目標の回数】
低負荷で10回×2セットを目安に行いましょう。

高齢者向けセラバンド体操のまとめ

今回ご紹介した「立ってできるセラバンド体操」は、立った姿勢が安定している比較的アクティブなご高齢者を想定しています。

セラバンドは、軽く折りたたんで持ち運びができるので屋外での活動や自宅でのエクササイズとしても活用しやすい道具です。また、セラバンドの色や長さによって運動初心者〜上級者まで簡単に負荷量を調整することができ、ご高齢者においては事故や怪我が起こりにくい便利な道具です。
 

高齢者にセラバンド体操を続けてもらうにはどうしたらいいの?

私たちスタッフはご高齢者に「いつまでも元気でいてほしい」と想い、地域の健康教室や集団体操などで運動を提案しています。しかしながら、運動習慣がなかったり、体力の衰えを感じている方々に「自宅でも運動する習慣をつけましょう」と提案してもなかなか継続できません。

そこで、自宅でもセラバンド体操を続けてもらう秘訣をご紹介します。

  1. パンフレットを準備しましょう
    ご高齢になると目が見えにくくなったり、物忘れが多くなってしまいます。そこで、パンフレットを作成しお渡しすることで、いつでも確認できるようにしましょう。
  2. 回数を自分で決めてもらいましょう
    他人から言われたことはなかなか継続しません。「何回ならできそうか?」「何時ならできるか?」などご自身の能力や生活リズムに合わせて設定してもらいましょう。
  3. 仲間やスタッフと声かけをしましょう
    友人やスタッフと声を掛け合うと運動を継続する励みになります。その言葉かけ一つで、「次も頑張ろう」と思えるのです。ポイントは、声かけの内容よりも声かけの回数を増やすことです。

運動習慣が身につくことで生活習慣病の予防や転倒予防、廃用予防など防げる病気も沢山あります。「いつまでも今のまま元気で生活していただけるように」その想いをパンフレットとして届けてみませんか?

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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