足関節戦略・股関節戦略の違いとは|高齢者のリハビリ・バランストレーニング

機能訓練

下肢

更新日:2024/03/13

バランストレーニングは、転倒予防に良いって聞くけど「どんな練習をすればいいの」「どこにポイントを絞れば良いの」といった悩みを持つ方は必見です。今回は、バランス感覚を鍛えるポイントと様々なトレーニング方法の自重編をご紹介します。  

バランス感覚をトレーニングするポイントとは

バランストレーニングをご紹介する前に、バランス感覚を鍛えるポイントを簡単に理解していきましょう。

人が立っている姿勢でバランスを保つ(姿勢制御)場合は、足関節・股関節・ステッピングの3つでバランスを取ろうとします。

  1. 足関節戦略(ankle strategy)
    足関節でバランスを保つ役割。少し動揺刺激が加わった時に働く役割。
  2. 股関節戦略(hip strategy)
    股関節でバランスを保つ役割。大きい動揺刺激が加わった時に働く役割。
  3. ステッピング戦略(stepping strategy)
    バランスを崩した時に、一歩足を踏み出しバランスを保つ役割。

参照:下肢の運動戦略とFunctional Reach Test 足 · 股 · 踵上げ運動戦略の違いがFunctional Reach距離,重心の前後移動、重心動揺面積に及ぼす影響(平成28年12月4日アクセス)

高齢者のバランストレーニングで重要な場所は?

一般的には、高齢者は「足関節」でバランスを保つことが難しいため、「股関節」を多く使用しています。

そのため、腰や股関節に痛みが出る場合が多くあります。

腰や股関節への負担を軽減する為にも「足関節」でバランスを保つトレーニングをしていくことが重要と考えられます。

※その他のバランスに関わる機能は、他の記事でもご紹介しているので参考にしてみてください。

「足関節」でのバランストレーニング

それではまず、高齢者に最も重要な「足関節」でバランスを保つトレーニング方法をご紹介していきます。

こちらの運動では、立った姿勢で爪先立ちや爪先上げを行うことで、足関節で姿勢を保持しようとします。

頭の位置が前後左右にブレないように注意してください。

回数:10回×3セット

「股関節」でのバランストレーニング

次に「股関節」でバランスを保つトレーニング方法をご紹介していきます。

こちらの運動では、腰を回したり、前方や左右に手を伸ばす(リーチ)ことで股関節で姿勢を保持しようとします。

手は真横(床と水平)に伸ばすように意識することが重要です。

回数:10回×3セット

「ステッピング」でのバランストレーニング

続いては「ステッピング」のトレーニング方法をご紹介します。

ステッピングは本来、とっさに出る動きですので、1人で練習することは難しいと言えます。
ペアになり、後方から押してもらうなど行うとより良いでしょう。

ただし、高度かつリスクを伴うトレーニング方法になりますので、転倒には十分注意しましょう。

回数:10回×3セット

「片脚立位」でのバランストレーニング

その他のバランストレーニングには、「片脚立ち」があります。

片脚立位は、バランス能力の評価としても使用されることが多いので、カットオフ値(基準値)を確認しておくと良いでしょう。

〜片脚立位のカットオフ値〜
※以下の数値が基準値となります。値以下ではバランス能力が低下していると判断されます。また、15秒未満は運動器不安定症と診断される可能性があります。

【平均基準】
40歳以上  180秒 
60歳代前半 70秒
80歳代前半 10秒

バランストレーニング|番外編

高齢者の転倒の原因の1つに、二重課題(Dual Task)が苦手ということがあります。

二重課題とは、複合的な課題に対し、注意を分散させ歩く際の遂行能力、安全性・安定性を高める目的で行われるものです。

例えば、以下のような運動課題と認知課題などがありますので試してみてください。

  1. 運動課題(例:水を入れたコップを持って歩くなど)
  2. 認知課題(例:簡単な計算をしながら歩くなど)

最後に

今回は、バランストレーニング「自重編」として、大きく5つに分類するトレーニング方法をご紹介しました。
その他にも、道具を使用した「道具編」「歩行編」もご紹介していますので、参考にしてみてください。

リハプランでは、今回紹介した運動以外にも様々な道具を使用した運動を多数ご紹介しております。

あなたの毎日を充実した、輝くものにするためのご協力が出来ればと思っています。
何かご相談などがありましたら、連絡お待ちしています。

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→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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