通所介護のサービス提供体制強化加算の算定要件・算定方法を解説!

介護保険法

サービス提供体制加算

更新日:2022/02/25

デイサービスのサービス提供体制強化加算の「算定要件(計算)」「単位数」「申請手続き」「必要書類」「Q&A」についてまとめてご紹介します。介護福祉士有資格者を一定の割合以上雇用し、介護サービスの質が一定以上に保たれた介護事業所を評価する加算です。平成27年度報酬改定で算定要件変更と拡充があり、平成30年も有効な内容です。サービス提供体制強化加算の介護報酬は平成21年度から導入されました。

サービス提供体制強化加算とは

サービス提供体制強化加算とは

サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士の配置を特に強化して基準を満たしている事業所に対して、サービスの質が一定に保たれていると判断し、算定される加算です。

平成27年度のサービス提供体制加算の見直し

サービス提供体制強化加算は、平成21年度から設けられました。平成27年度の介護報酬改定では、介護職員の処遇改善を一層強化させる方針が掲げられ、サービス提供体制加算の区分が充実し、介護福祉士が全職員の「50%以上」配置されている事業所に対しては、1回につき「18単位」をサービス提供体制強化加算として算定することができるようになりました。

また、平成27年4月制度改正からはサービス提供体制強化加算は、区分支給限度管理対象外となり、区分支給限度額一杯まで利用していて限度額を超過した場合には加算分が全額自己負担になります。

平成30年度のサービス提供体制強化加算の算定要件

平成30年度介護報酬改定ではサービス提供体制強化加算については特に変更点はなくこちらの算定要件が継続となっています。(要支援・総合事業については各自治体により取り扱いが異なる場合があります。)

【関連記事】
平成30年度(2018年)の介護報酬改定は何が変わった?改定の経緯と今後の動向
平成12年に介護保険法が施行して以来、介護保険制度の改定が行われており、前回の平成27年度の改定では大幅なマイナス改定の年となりました。こちらでは「今までの介護報酬改定の流れ」と「平成30年度の介護保険改定」について何がどのように変わるのかを具体的にご紹介します。

対象事業所について

サービス提供体制強化加算を算定できる対象事業所は、以下の通りです。

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ(デイケア)
  • 訪問看護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問リハビリなど

通所介護のサービス提供体制強化加算の算定要件

サービス提供体制強化加算の算定要件

サービス提供体制強化加算(サービス提供体制加算)を算定するためには、厚生労働省が介護サービスごとに定めた算定要件を満たしている必要があります。

その中でも通所介護・通所リハビリでサービス提供体制強化加算を取得するためには、まず「2つの要件」をクリアしていることが条件となります。 

  • 人員基準を満たしていること
  • 定員超過がないこと

サービス提供体制強化加算の計算方法と単位数

サービス提供体制強化加算の単位数と計算方法

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ の算定要件

通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)イは、介護職員の総数のうち介護福祉士の総数の割合が50%以上であることが算定要件になっています。

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ の算定要件

通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロは、介護職員の総数のうち介護福祉士の総数の割合が40%以上であることが算定要件になっています。

サービス提供体制強化加算(Ⅱ) の算定要件

通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅱ)は、介護職員・看護職員・生活相談員・機能訓練指導員の総数のうち、勤続年数が3年以上の者の総数が30%以上であることが算定要件になっています。

サービス提供体制強化加算の常勤換算による職員数の計算式・算定方法

サービス提供体制強化加算の計算式は以下のような計算式となっています。これらの要件に該当しそうな場合には自治体等で配信している計算シートを用いて、該当する期間分の計算を行なってみましょう。計算シートの結果は、申請時に添付することもあります。

常勤加算の計算方法

月ごとの職員の勤務延時間数を、当該事業所において常勤の職員が勤務すべき時間数で除することによって算定します(小数点第2位以下は切り捨て)。

例えば、ある月の常勤職員の勤務すべき時間が160時間である場合、80時間勤務した職員の常勤換算数は80÷160の「0.5」となります。常勤換算の計算では、パートや非常勤でも該当する職種でれば含めて計算をします。

ただし、一人の職員の常勤換算数が1.0を超えることはありません。上記例の場合において、シフト等の関係により仮に時間外労働なども含めると実際の勤務時間が160時間を超えていたとしても、当該職員の常勤換算数は1.0となります。

平成30年の介護報酬体系の時点では、通所介護・通所リハビリのサービス提供体制強化加算の単位数は、以下のようの「要介護」と「要支援1」「要支援2」によって設定されています。

要介護の場合の単位数

  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(イ)の単位数
    介護福祉士が50%以上配置されている場合:18単位/回
  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(ロ)の単位数
    介護福祉士が40%以上配置されている場合:12単位/回
  • サービス提供体制強化加算Ⅱの単位数
    勤続3年以上の介護職員(※1)が30%以上配置されている場合: 6単位/回

要支援1の場合の単位数

  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(イ)
    介護福祉士が50%以上配置されている場合:72単位/月×人
  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(ロ)
    介護福祉士が40%以上配置されている場合:48単位/月×人
  • サービス提供体制強化加算Ⅱ
    勤続3年以上の介護職員(※1)が30%以上配置されている場合: 24単位/月×人

要支援2の場合の単位数

  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(イ)
    介護福祉士が50%以上配置されている場合:144単位/月×人
  • サービス提供体制強化加算Ⅰ(ロ)
    介護福祉士が40%以上配置されている場合:96単位/月×人
  • サービス提供体制強化加算Ⅱ
    勤続3年以上の介護職員(※1)が30%以上配置されている場合: 48単位/月×人

事業対象者については、計画上の週間の利用回数に合わせた要支援1・2相当、各区市町村の指針に基づいて異なる。

サービス提供体制強化加算を算定の届出申請と根拠

サービス提供体制強化加算を算定するためには

では、サービス提供体制強化加算を算定するためにはどのように届出申請して、要件を満たしている根拠を示して算定を開始したら良いのでしょうか?

ここからは、サービス提供体制強化加算を算定するために必要な届出や提出期限、書類などをご紹介します。

サービス提供体制強化加算の届出申請について

サービス提供体制強化加算の算定には届出の提出が必要です。直接もしくは郵送で介護支援課へ提出します。郵送の場合は、封筒の表に「サービス提供体制強化加算の算定に係る届出」と記載します。届出の計算用紙・届出に合わせて提出する書類は管轄自治体によって若干異なるので、ご確認ください。

提出期間について

サービス提供体制強化加算の提出期限は、原則として、職員の割合の前年度実績により翌年度1年間の算定の可否が判断されることから算定されている事業所においては、毎年3月に職員の割合を計算し、所定の届出を行います。

サービス提供体制強化加算の計算シート

通所介護で算定できるサービス提供体制強化加算の計算シートは、各自治体でエクセルファイルなどで配布していることが多いです。

提出先について

サービス提供体制強化加算の届出先は、各事業所所定の市区町村の介護支援課へ申請すること。

必要書類について

サービス提供体制強化加算を算定するための必要書類は以下の4つです。

  1. 介護給付費(介護予防日常生活支援総合事業費)算定に係る体制等に関する届出書
  2. 介護給付費(介護予防日常生活支援総合事業費)算定に係る体制等に状況一覧表
  3. サービス提供体制強化加算に関する届出書と添付書類
  4. サービス提供体制強化加算算定に係る職員割合算出シート(計算シート)

▼サービス提供体制強化加算の届出については、こちらの資料のように自治体のサイトをご覧ください。

参照:サービス提供体制強化加算の届出について|松戸市

サービス提供体制強化加算を算定する場合の注意点

通所介護・通所リハビリにおいてサービス提供体制強化加算を算定する場合の注意点についてまとめてご紹介します。
 

  1. 地域密着型通所介護かつ介護予防・日常生活支援総合事業指定事業所(介護予防通所介護相当サービス(独自指定/みなし指定))の指定も併せて受けている事業所が、年度の途中から新たに算定を開始する場合は、指定区分ごとにそれぞれ届出が必要となります。
  2. 勤続年数を計算する場合は、各月の前月末日時点の勤続年数を計算します。平成29年4月において勤続年数が3年以上の場合は、平成29年3月31日時点で勤続年数が3年以上の方となります。
  3. 勤続年数の算定は、当事業所の勤続年数に加えて、同法人の経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等においてサービスを利用者に直接提供する職員として勤務した年数を含めることができます。
  4. スタッフの割合の計算は、常勤換算方法で3月を除いた前年度の平均を使用します。
  5. 新規や再開など前年度の実績が6カ月に満たない通所介護・通所リハビリに関しては、届け出より3ヶ月前に常勤換算方法より算出した平均を用いる。
  6. 新たに事業を開始、または再開した通所介護・通所リハビリについては、4ヶ月目以降の届出が可能となります。
  7. 介護福祉士または介護職員基礎研修課程修了者については、各月の前月の末日時点で資格を取得しているまたは研修の過程を修了している者とする。
  8. 前号のただし書きの場合は、届出を行なった月以降においても、直近3ヶ月の職員の割合につき、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。
  9. この割合については毎月記録し、所定の割合を下回った場合については、直ちに加算の廃止届を出さないとならない。

サービス提供体制強化加算におけるQ&A

サービス提供体制強化加算におけるQ&A

ここからは、サービス提供体制強化加算を算定する場合における疑問について、Q&Aをまとめてご紹介します。

厚生労働省より

まずは、厚生労働省の「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A」を参考に、サービス提供体制強化加算のQ&Aについてご紹介します。

【質問】サービス提供体制強化加算の新区分の取得に当たって、職員の割合については、これまでと同様に、1年以上の運営実績がある場合、常勤換算方法により算出した前年度の平均(3月分を除く。)をもって、運営実績が6月に満たない事業所(新たに事業を開始した事業所又は事業を再開した事業所)の場合は、4月目以降に、前3月分の実績をもって取得可能となるということでいいのか。
【回答】貴見のとおり。なお、これまでと同様に、運営実績が6月に満たない場合の届出にあっては、届出を行った月以降においても、毎月所定の割合を維持しなければならず、その割合については毎月記録する必要がある。
【質問】サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イとサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロは同時に取得することは可能か。不可である場合は、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イを取得していた事業所が、実地指導等によって、介護福祉士の割合が60%を下回っていたことが判明した場合は、全額返還となるのか。
【回答】サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イとサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロを同時に取得することはできない。 また、実地指導等によって、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件を満たさないことが判明した場合、都道府県知事等は、支給された加算の一部又は全部を返還させることが可能となっている。 なお、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件を満たしていないが、サービス 提供体制強化加算(Ⅰ)ロの算定要件を満たしている場合には、後者の加算を取得するための届出が可能であり、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの返還等と併せて、後者の加算を取得するための届出を行うことが可能である。

参照:厚生労働省 「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)」

総合事業ガイドラインより

次に、介護予防・日常生活支援総合事業ガイドラインのQ&A「平成27年8月19日版」を参考に、サービス提供体制強化加算のQ&Aについてご紹介します。
 

【質問】通所介護と、緩和した基準によるサービス(通所型サービスA)及び従前の介護予防通所介護に相当するサービスを一体的に行う場合、サービス提供体制強化加算を算定する上で、職員の割合はどのように算出すればよいのか。
【回答】 サービス提供体制強化加算の算定に当たっては、常勤換算方法により介護福祉士が50%以上配置されていること等が要件とされており、通所介護と緩和した基準によるサービス(通所型サービスA)及び従前の介護予防通所介護に相当するサービスを一体的に行う場合、通所型サービスAの職員は含めず、従前の介護予防通所介護に相当するサービスの職員は含めて、職員の割合を算出する。この場合、通所介護と従前の介護予防通所介護に相当するサービスの双方においてサービス提供体制強化加算を算定可能である。

参照:介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン「Q&A 平成27年8月19日版」

まとめ

今回は、通所介護・通所リハビリにおけるサービス提供体制強化加算の算定要件から単位数申請書類算定する上での注意点についてまとめてご紹介しました。

平成27年度の介護報酬改定において通所介護の基本報酬が減算され、特に小規模デイサービスの運営の打撃が緩和される加算でもあるのではないでしょうか?

そのような介護時代の中で、サービス提供体制強化加算は「安定的な介護報酬を取得するために必要な加算」です!

特に、サービス提供体制強化加算Ⅱでは、要介護・要支援のどちらも勤続3年以上の介護職員が30%以上配置されている場合に算定が可能であり、比較的多くの通所介護事業所で算定されやすい条件となっています。今回の記事を参考に、みなさまの介護事業所でもこちらの加算が算定できるようになれば幸いです。

【最後に筆者より】

リハプランでは、通所介護の運営に必要な様々な加算・減算の算定要件についてご紹介しています。平成30年度の介護報酬改定に向けて、介護サービスの様々な加算・減算について知っておきましょう。

● 栄養スクリーニング加算とは
● ADL維持等加算とは
● 生活機能向上連携加算とは

加算について

● 通所介護の加算・減算の種類について
● 個別機能訓練加算とは
● 運動器機能向上加算とは
● 口腔機能向上加算とは
● 介護職員処遇改善加算とは
● 若年性認知症利用者受入加算とは
● 認知症加算と中重度者ケア体制加算の違いとは
● 入浴介助加算とは
● 延長加算とは
● 特定地域加算と中山間地域等に居住する方へのサービス提供加算とは
● 生活機能向上連携加算とは

減算について

● 送迎減算とは
● 人員基準欠如減算とは
● 定員超過利用減算とは

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事