通所介護のサービス提供体制強化加算の算定要件・計算方法

介護保険法

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更新日:2024/04/09

【令和3年報酬改定対応】サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士の資格を有する職員の割合や勤続年数から、サービスの質が一定以上に保たれた事業所を評価するための加算です。「質の高いサービスの提供」と「職員のキャリアアップ促進」を図るために創設されました。最新の介護報酬改定で見直された算定要件や職員数の計算式などを解説します。 

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サービス提供体制強化加算とは

サービス提供体制強化加算とは、人材やサービスの質を確保した事業所を段階的に評価する加算です。

令和3年の介護報酬改定にてサービスの質向上、職員のキャリアアップの推進などの観点から、要件が見直されています。

主な変更点として、加算が「(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)」の3種類に再編されたことがあげられます。

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サービス提供体制強化加算の算定要件と単位数

デイサービスにおける、サービス提供体制強化加算の算定要件と単位数を以下の表にまとめました。

(Ⅰ)(Ⅱ)(III)
単位数22単位/回(日)18単位/回(日)6単位/回(日)
算定要件・介護職員のうち介護福祉士の割合が70%以上
・勤続10年以上の介護福祉士が25%以上
※以上のいずれかに該当
・介護福祉士の割合が50%以上・介護福祉士の割合が40%以上
・勤続7年以上の介護職員が30%以上
※以上のいずれかに該当

令和3年で変更されたサービス提供体制強化加算では、種類や算定要件、単位数が大きく変更されました。

とくに算定要件では介護福祉士の割合だけでなく、勤続年数も大きく関わるようになっています。

そのため、加算を算定するには職員の勤続年数もよく確認する必要があるでしょう。

参照:令和3年度介護報酬改定における改定事項について (2023年5月6日確認)

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常勤換算による職員数の計算式

サービス提供体制強化加算は介護職員や介護福祉士の割合を参照するため、計算ミスが起こりがちです。

ここでは、職員の計算方法の際におさえておきたいポイントを解説します。

ポイント1:常勤換算で介護職員の総数を計算する

介護職員の割合を把握するために、「常勤換算」で介護職員の総数を計算しましょう。

常勤換算とは、事業所で働く介護職員の平均人数を抽出するための計算方法です。

以下の計算式で常勤換算を導き出します。

計算式

勤務時間総数(勤務延時間数)÷常勤職員が勤務すべき時間数

たとえば、常勤の介護職員の勤務時間が月で168時間(21日稼働)だとします。
常勤が2名の他に、勤務時間が月で100時間の非常勤が2名いた場合、計算式は以下の通りです。

(168 + 168 + 100 + 100)÷ 168 = 3.19

上記の条件では、常勤換算が3.19という結果になりました。
常勤換算を活用すれば、介護職員の割合を確認する際の指標となるでしょう。

一方で、非常勤の従業者の有給休暇や出張による時間は勤務時間総数に反映されない点には注意しましょう。

ポイント2:勤続年数の算出方法

次に、勤続年数の算出方法をおさえておきましょう。
勤続年数は、同一法人でどのくらいの年数働いているのかを示すものです。

同一法人とは、わかりやすく言い換えると「現在働いている職場」のことです。
資格取得後の年数、別の法人を含めて働いた年数とは異なる点に注意しましょう。

勤続年数として通算が可能となるケースの例は、以下の通りです。

  • 同一法人での異なるサービスの事業所、あるいは異なる雇用形態で勤務した際は、勤続年数は通算される
  • 事業所が合併する、あるいは他の法人によって事業が継承された際でも、以前までの職員で通常通り勤務している場合は勤続年数は通算される

ポイント3:産休・介護休業など休業の取扱い方

産休・介護休業による対応もおさえておきましょう。
産休・介護休業を利用した場合でも、週30時間以上の勤務をしていた場合は、常勤換算で「常勤1名」として扱うことが可能です。

また、常勤の職員が上記の休業を利用している期間は、勤続年数に含まれます。

算定の対象となる期間

サービス提供体制強化加算の対象となる期間は、前年度の平均値であることをおさえておきましょう。
3月以外の残りの11ヵ月間の介護職員の割合を、常勤換算して平均値を調べます。

平均値の出し方がよくわからない方は、各自治体で用意されている「サービス提供体制強化加算シート」を活用してみましょう。
たとえば、東京都武蔵野市の場合は下記のサイトに加算の参考計算書が紹介されています。

サービス提供体制強化加算 参考計算書 – 武蔵野市 (2023年5月3日確認)

事業所の運営実績が3ヵ月以上、6ヵ月未満だとしたら、算定対象期間の計算方法が変わる点には注意しましょう。
このケースでは、加算を申請したい月の前3ヵ月間の平均値が算定対象期間となります。

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必要な書類と申請方法

サービス提供体制強化加算に必要な書類は、おもに以下の通りです。

  • サービス提供体制強化加算に関する届出書、サービス提供体制強化加算計算書
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
  • 算定要件確認表

各自治体によって提出すべき書類が異なるため、事前に自分の所属している地域のホームページをチェックしてみましょう。

必要な書類が揃ったら自治体に提出をします。

デイサービスの場合、提出期限は算定を開始する前の月の15日なので、余裕を持って準備をしましょう。

サービス提供体制強化加算におけるQ&A

ここでは厚生労働省が発表した、サービス提供体制強化加算に関係するQ&Aについてみていきましょう。

問124 共生型介護保険サービス事業所についても、サービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算の算定要件を満たすことができれば、同加算を算定してよいか。(答)貴見のとおり。

引用 :「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A (Vol.3)(令和3年3月 26 日)」 の送付について  

問125 共生型介護保険サービスを提供する障害福祉サービス事業所においては、人員配置基準上、介護職員の配置は求められていない。このため、共生型介護保険サービス事業所がサービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算を算定するにあたっては、当該障害福祉サービス事業所のホームヘルパーや生活支援員等の「福祉・介護職員」を介護職員とみなすこととして差し支えないか。
(答)差し支えない。

引用 :「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A (Vol.3)(令和3年3月 26 日)」 の送付について  

問126 「10年以上介護福祉士が30%」という最上位区分の要件について、勤続年数はどのように計算するのか。
(答)
・サービス提供体制強化加算における、勤続10年以上の介護福祉士の割合に係る要件については、
介護福祉士の資格を有する者であって、同一法人等での勤続年数が10年以上の者の割合を要件としたものであり、 介護福祉士の資格を取得してから10年以上経過していることを求めるものではないこと。

・「同一法人等での勤続年数」の考え方について、同一法人等(※)における異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数
- 事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数は通算することができる。
(※)同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれる。

・なお、介護職員等特定処遇改善加算において、当該事業所における経験・技能のある介護職員の「勤続年数10年の考え方」とは異なることに留意すること。

引用 :「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A (Vol.3)(令和3年3月 26 日)」 の送付について  

職員のキャリアアップ・介護の質向上につながる加算

サービス提供体制強化加算は事業所の成長や介護職員のキャリアアップなどに関わる重要な加算です。
それぞれの加算は複雑であり、実際に算定する際は計算方法に悩まされることもあるでしょう。

しかし、計算式のポイントをおさえておけば、その後もスムーズに算出できます。

スタッフのスキルや介護サービスの質向上を図りたいと考えている事業所は、ぜひサービス提供体制強化加算を積極的に取りにいくことをおすすめします。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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