- 1.高齢者向けの体操は「椅子に座ったまま」が基本!
- 2.高齢者向けの体操はストレッチが効果的!
- 3.高齢者向け体操の注意点
- 4.高齢者向け体操には「体幹」のストレッチがオススメ!
- 5.高齢者向け体操|胸のストレッチ
- 6.高齢者向け体操|腰のストレッチ
- 7.高齢者向け体操|脇腹のストレッチ
- 8.高齢者向け体操|背中のストレッチ
- 9.高齢者向け体操には「太もも」のストレッチがオススメ!
- 10.高齢者向け体操|太ももの裏のストレッチ
- 11.高齢者向け体操|内もものストレッチ
- 12.高齢者向け体操|内もものストレッチ Part2
- 13.高齢者向け体操|お尻のストレッチ
- 14.高齢者向け体操|お尻・太もものストレッチ
高齢者向けの体操は「椅子に座ったまま」が基本!

介護施設で開催される高齢者向けの体操では、筋トレやストレッチ、バランス、転倒予防、口腔体操など様々な集団体操がありますが、数名〜数十名の集団で行うことがほどんどです。
ご高齢者の多くは、加齢に伴う様々な身体能力の低下や病気を抱えています。中には車椅子の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのため高齢者に向けた体操を行う場合は、「転倒の危険性が少なく」「過剰な負担をかけない」体操が求められています。
これらを踏まえると車椅子の方や運動習慣のない方でも安全に取り組める「椅子に座ったまま」の姿勢が基本となります!
高齢者向けの体操はストレッチが効果的!

ご高齢者においては若い頃と比べて運動量が少なくなったり、運動習慣も乏しくなります。ましてや、車椅子の方は体を動かす機会が激減するので全身の血行の循環が悪くなったり、筋肉自体が凝り固まってしまうこともあります。そのようなご高齢者にはストレッチがオススメです。
【ストレッチの効果】
1.血行循環の改善
2.筋肉の萎縮の予防
3.筋肉の柔軟性の向上
4.神経機能の正常化
また、運動習慣がないご高齢者に対して急に運動を提案しても、負担が大きく抵抗もあります。そのため、まずは比較的簡単に取り組める「ストレッチ」から体を動かす習慣をつけてもらうこともできます。
さらに介護現場だけでなく、自宅でもストレッチを続けることで、生活習慣病の予防やメタボリックシンドローム、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、フレイル、サルコペニアの予防にも効果が期待できます!
高齢者向け体操の注意点

ご高齢者においてはストレッチを行うことでのリスクも伴う場合があります。体操を行う場合は以下の疾患・疾病には注意して運動を実施しましょう。
【高齢者向けストレッチ体操の注意点】
1.静脈瘤を患っている方
2.心疾患を患っている方
3.重度の感覚障害を患っている方
4.骨粗鬆症を患っている方
高齢者向け体操には「体幹」のストレッチがオススメ!

高齢者向けの体操としてオススメするのが「体幹」のストレッチです。
体幹は姿勢を保ったり、手足を振って歩く際に体の軸となる役割があります。高齢者の凝り固まった体幹の筋肉をほぐして体を動かす準備をして行きましょう!
【体幹の役割】
1.姿勢を維持する役割
姿勢を保持・支持する役割として体幹の深層筋が働いています。
2.土台の役割
歩く時に手足をスムーズに動かすために、土台となる体幹が働いています。
3.軸の役割
不安定な場所でバランスを保つために、軸として体幹が働いています。
勝平 純司,介護予防トレーニング前後における歩行能力の比較
平成29年7月22日アクセス
高齢者向け体操|胸のストレッチ


ではまず、ご高齢者向けの体操として椅子に座ってできる「胸」のストレッチを2種類ご紹介します。
上半身を①前に倒す(屈曲)、②後ろに倒す(伸展)のストレッチ方法です。ご高齢者の胸の柔軟性を高めることで、猫背・円背の予防や呼吸機能を高める効果が期待できます。さらに、日常生活では高いところに手を上げたり、着替えで腕を通したりする場合に肩をスムーズに動かすために重要な部位になります。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|腰のストレッチ

続いての体操は、腰の柔軟性をアップしてくれる高齢者向けのストレッチ方法です。
椅子に座ったまま、お腹の下にタオルを固定し、包み込むように上半身を倒します。腰の柔軟性は、ご高齢者が座ったまま靴下や靴を履く場合に重要となります。前方に転落しないように注意して取り組んでください。
【回数】
10秒間×5〜6回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|脇腹のストレッチ
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続いての高齢者向け体操は、体幹の中でも上半身を横に倒す(側屈)ことで脇腹や腰の柔軟性を高めてくれるストレッチ方法です。
ご高齢者の方は加齢とともに胸郭の動きが乏しくなってしまいます。そこで脇腹のストレッチを取り入れ柔軟性を保つことで、呼吸機能や声量アップにも効果が期待できます。車椅子に座っている方は足を広げず、バランスを崩さない程度にストレッチして行きましょう。
【回数】
左右ともに10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|背中のストレッチ

続いての高齢者向け体操は、上半身を左右にひねることで、腰から背中に付着する筋肉や肩甲骨周囲の筋肉の柔軟性を高める効果が期待できます。
上半身をひねる運動は、ご高齢者がベッドや椅子に座ったままズボンやベルトの着脱など着替えをする時に重要な動きになります。日常生活の動作がスムーズにできるように背中をしっかりとストレッチするようにしましょう。
【回数】
左右ともに10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操には「太もも」のストレッチがオススメ!

次に、高齢者向けの体操としてオススメするのが「太もも」のストレッチです。
太ももは、立ち上がりや階段、歩きなどご高齢者が日常生活を送る上でありとあらゆる場面で働きます。そのため、疲れが溜まった太ももの筋肉を柔らげてあげることで、疲労を回復しやすくし、動きやすい体づくりを応援することができます。
【太ももの役割】
1.脚を動かす役割
階段や立ち上がり、歩く際に働きます。
2.体重を支える役割
上半身の体重を支えており、歩く時には体重の約3~4倍の負荷を支えています。
3.バランス・安定感の役割
筋肉や腱で全体を覆われており、安定性を保ったままいろいろな方向に体を動かす働きをします。
高齢者向け体操|太ももの裏のストレッチ


続いての高齢者向けの体操は、椅子に座ってできる太ももの裏のストレッチです。
太ももの裏に付着するハムストリングスは、腰や膝との関係性が強く、ご高齢者に多い腰痛やひざ痛の予防としての効果が期待できます。足首まで手が届かない方は膝上からスネに沿ってできる範囲で伸ばしていきましょう。運動の際は、必ず膝が伸びていることを確認しておきましょう。
【回数】
左右ともに10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|内もものストレッチ

続いての高齢者向け体操は、椅子に座ってできる内もものストレッチです。
内ももに付着する内転筋が硬くなると血液やリンパの流れが鈍くなり、足のむくみを引き起こす可能性があります。特に車椅子や椅子に座る時間が長くなるご高齢者の方には、お尻の筋肉が弱り、内ももの筋肉が常に緊張していることがあります。ご高齢者の足のみくみ改善目的に内ももをストレッチして行きましょう。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|内もものストレッチ Part2


こちらの体操は、高齢者が椅子に座ってできる膝の裏、内もものストレッチです。
太ももの裏に付着する「ハムストリングス」や内ももに付着する「内転筋」の柔軟性を高める効果が期待できます。腰のひねりを加えることで腰や腹筋のストレッチ効果も期待できます。こちらの体操も日頃椅子に座っている時間が長いご高齢者にオススメです。
但し、椅子に浅く座るため転落や転倒には十分に注意して取り組んでください。
【回数】
10回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|お尻のストレッチ

こちらの体操は、ご高齢者が椅子に座ってできるお尻のストレッチです。ご高齢者の女性に多い変形性膝関節症(外反膝)の予防として取り組んでいただきたい体操です。
但し、高齢者は足を組むことができない方も多いため、対象者には十分配慮して実施してください。
【回数】
左右ともに10秒間×5〜6回を目安に行いましょう。
高齢者向け体操|お尻・太もものストレッチ

こちらの体操は、ご高齢者が椅子に座ってできるお尻と太もものストレッチです。
椅子に座ったまま、片膝を抱え込むことでお尻や太ももの裏をストレッチして行きます。このお尻の筋肉は、歩いたり走ったりする時に働く重要な筋肉です。しっかりと柔軟性を高めておきましょう。
【運動のポイント】
① 胸を張り、背中を丸めないようにします。
② 転倒リスクがある場合、背もたれや壁を使用しましょう。
【回数】
左右共に15秒程度×3セットを目安に行いましょう。
【終わりに】
いかがでしたか。今回は、リハビリテーションで理学療法士・作業療法士が取り入れている、高齢者が安全に取り組めるストレッチ体操を10種類ご紹介させて頂きました。デイサービスや介護施設での体操として参考にしていただければ幸いです。
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