腸腰筋ストレッチの4つの効果と難易度別の10種の運動方法をご紹介

最近、歩くとすぐに疲れる、つまずきが多くなったと感じる方はいませんか?特に足が重くなったと感じる方は腸腰筋の柔軟性が乏しくなっている可能性があります。腸腰筋は、姿勢や歩行との関連性が多くの論文で立証されており、ご高齢者の介護予防にも効果的であることが分かってきました。そこで今回は、運動初心者から上級者まで取り組める難易度別の腸腰筋ストレッチを厳選して10種ご紹介します。自分にあったストレッチにぜひ挑戦してみてください。

腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)とは

腸腰筋とは、大腰筋(だいようきん)と小腰筋(しょうようきん)、腸骨筋(ちょうこつきん)の3つから構成される筋肉の総称で、腰から太ももの付け根にかけ、左右対称に付着しています。大腰筋・小腰筋・腸骨筋の役割については下記に説明します。

一般的には、歩く時の立脚後期〜遊脚期に働く筋肉とされていますが、仰向けの姿勢から起き上がる時にも腸腰筋が働くといわれています。また、デスクワークやドライバーの方では長時間椅子に座った姿勢が続くため、腸腰筋が縮んでしまい姿勢が悪くなることで腰痛を引き起こしたり、歩幅が減少して足が重く感じることがあります。

腸腰筋の中でも「大腰筋」は、脊柱(背骨)を安定させる働きがあります。つまり、大腰筋が緩むことによって姿勢が崩れてしまうことがあります。そのため、ご高齢者の介護予防では極めて重要な筋肉と考えられています。


腸腰筋の役割
《大腰筋》
・主な役割:股関節を安定させる、歩く際に脚を挙げる働きをします。
・起始停止:起始部は胸椎(T12)から腰椎(L1~5)の横突起で、大腿骨の小転子に停止します。

《小腰筋》
・主な役割:小腰筋は大腰筋の中に埋もれており、大腰筋の補助的な働きをします。小腰筋は、大腰筋からの分束で約半数以下の人にしか存在しない筋肉です。
・起始停止:小腰筋の起始部は、胸椎(T12)から腰椎(L1)の椎間円板で腸恥隆起に停止します。

《腸骨筋》
・主な役割:大腰筋と異なり、背骨に付着していない為、純粋に足を挙げる働きをします。歩く際は、太ももをやや外側に捻る働きをするため、足を振り出す時に働きます。腸腰筋の中でも最も深層部に付着する筋肉です。
・起始停止:大腰筋の起始部は、腸骨窩で大腿骨の小転子に停止します。

Sportsmedicine(2015) No.169 大久保 雄「大腰筋の運動中の機能について 筋電図研究より」平成29年7月10日アクセス

腸腰筋をストレッチすると得られる効果とは

腸腰筋が硬くなったり、縮こまった状態にしていると腰の骨が引っ張られ、腰に負担がかかります。さらには、歩幅が減少して足が重く感じることがあります。これらを予防するためには腸腰筋をストレッチして筋肉を緩めることが重要です。腸腰筋のストレッチには、以下の4つ効果があります。


腸腰筋ストレッチの効果
① 姿勢が楽になる
腸腰筋は、骨盤と太ももを繋ぐ筋肉で体幹の安定性に寄与しています。腸腰筋の柔軟性を保ち軸が安定することで、運動の際に身体のブレが減るため足が踏ん張りやすくなります。

② 腰痛の予防
腸腰筋(特に大腰筋)が硬くなると腰の骨を引っ張るため腰痛を引き起こす可能性があります。特に、椅子に長時間座るデスクワーク、長距離ドライバー、ご高齢者に方は、腸腰筋をストレッチすることで腰痛を予防する効果が期待できます。さらに腸腰筋をストレッチすることで背中の張りや肩こりにも効果が期待できます。

③ 足取りが軽くなる
腸腰筋は、床から反発する力を使うことで前方に進む(推進力)に寄与しています。腸腰筋をストレッチして柔軟性を保つことで、歩幅が広くなり足取りが軽くなります。

④ つまずきの防止
腸腰筋の柔軟性が乏しい場合、足を振り出す時に腸腰筋が過剰に働きます。腸腰筋をストレッチし、柔軟性を保つことで効率良く足を振り出すことができるので、つまずきを防止する効果が期待できます。


これらの効果を得るためには、ご自分の能力や生活スタイルに合わせたストレッチに出会うことが重要です。そこで次章より運動初心者から上級者まで取り組める腸腰筋ストレッチをご紹介していきます。自分に合ったストレッチを見つけてみてください!


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初心者向けの腸腰筋ストレッチ|仰向け編

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それではまず、運動初心者や高齢者にオススメの腸腰筋のストレッチ方法からご紹介します。こちらのストレッチは、膝をお腹につけるように抱えることでお尻やハムストリング(太ももの裏側の筋肉)の柔軟性を高めることができますが、反対側の鼠径部に付着する腸腰筋のストレッチとしても効果が期待できます。

腸腰筋の柔軟性は、70代以降のご高齢者では成人の40%後半まで低下するとされています。50〜60代の方は今のうちから腸腰筋のストレッチに取り組み柔軟性を高めていきましょう!

【ストレッチのポイント】
① 膝を抱え込む際に、背中を丸めないようにしましょう。
② 反対側の足が浮き上がらないようにしましょう。

【目標回数】
15〜30秒程度×5回を目安に行いましょう。
 

初心者向けの腸腰筋ストレッチ|仰向け×テニスボール編

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テニスボールを活用した腸腰筋のストレッチです。先ほどの膝抱えのストレッチに非常に似ているストレッチですが、股関節の付け根にテニスボール挟んでいます。股関節の付け根には縫工筋や恥骨筋、腸骨筋と言われる筋肉が存在します。特に恥骨筋と腸骨筋は比較的深層部に付着しているので膝を抱きかかえながらゆっくり深部まで押し当てストレッチします。

【ストレッチのポイント】
① テニスボールのような弾力性のあるボールを活用しましょう。
② 股関節の付け根にボールを固定しましょう。

【目標時間】
90〜120秒程度かけてゆっくり行いましょう。

また、テニスボールを使った方法では、うつ伏せで行うことも可能です。上記画像と同じ位置にテニスボールをあてて、そのままうつ伏せになります。うつ伏せで行うことにより、自分の体重を利用してストレッチすることが可能となります。

以下に、ストレッチポールを使ってうつ伏せで行う方法も説明していますので、合わせて確認してみてください。

但し、この方法は痛みを増強させる可能性もあるので、痛みが強くなる・翌日に痛みが残るといった場合は無理せずに中止してください。
 

中級者向けの腸腰筋ストレッチ|立位編

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ここからは中級者向けの腸腰筋ストレッチをご紹介していきます。まずこちらの運動は、立ってできる腸腰筋のストレッチです。片足を後方に引くことで鼠径部に付着する腸腰筋の柔軟性を高めることができます。運動前の準備体操として取り組むことで怪我の予防やパフォーマンスの向上の効果が期待できます。

【ストレッチのポイント】
① 膝をしっかりと伸ばしましょう。
② 背中が丸くならないように背筋を伸ばしましょう。

【目標回数】
10〜15秒×6セットを目安にストレッチしましょう。
 

中級者向けの腸腰筋ストレッチ|座位編

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次にこちらの運動は、椅子に座ってできる中級者向けの腸腰筋のストレッチです。椅子に座る時間が長いデスクワーカーや猫背や円背などの姿勢が気になる方にオススメのストレッチです。椅子に座ったままできるのでデスクワークの合間や自宅でのストレッチとして取り組んでいきましょう!

【ストレッチのポイント】
① 足をできる限り後方に下げましょう。
② 太ももの付け根を意識して伸ばしていきましょう。

【目標回数】
左右共に30秒×3〜5回を目安にストレッチしましょう。
 

上級者向けの腸腰筋ストレッチ|ストレッチポール編

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ここからは日頃からスポーツをされていたり、運動習慣がある方にオススメの上級者向けの腸腰筋ストレッチをご紹介していきます。

こちらの運動は、ストレッチポールを使った腸腰筋のストレッチです。ストレッチボールを鼠径部から太ももに動かすことで、主に大腿四頭筋や腸腰筋の筋・筋膜を緩めることができます。バランス能力や体幹の筋力も必要となる運動のため運動に自信のある方は挑戦してみてください。

【ストレッチのポイント】
① 股関節の付け根までゆっくりとストレッッチポールを転がします。
② 無理に押し込むのではなく、一定の圧をかけてストレッチしましょう。

【目標回数】
前後に10回を目安にストレッチしましょう。
 

上級者向けの腸腰筋ストレッチ|片膝立ち編

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こちらの運動は、片膝立ちでできる腸腰筋のストレッチです。片膝を立て、前方に体重を乗せることで後ろ足の鼠径部に付着する腸腰筋の柔軟性を高める効果が期待できます。膝に負担がある方は、マットや座布団の上でストレッチすることをお勧めします。

【ストレッチのポイント】
① 背筋を伸ばし、両手は骨盤に添えるように意識しましょう。
② おへそを突き出すように前方に体重を乗せましょう。

【目標回数】
左右共に10〜15秒×6回を目安にストレッチしましょう。
 

上級者向けの腸腰筋ストレッチ|片膝立ち×手挙上編

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こちらの運動は、膝立ちで行う上級者向けの腸腰筋ストレッチです。先ほどご紹介した膝立ちでのストレッチに、上半身の動きを加えることでより効果的に腸腰筋をストレッチすることができます。バランスを崩しやすい姿勢でもあるのでゆっくりと姿勢を意識しながら取り組みましょう。

【ストレッチのポイント】
① 片腕を天井方向に上げましょう。
② 太ももの付け根や脇腹を意識して伸ばしていきましょう。

【目標回数】
左右共に10〜15秒×6回を目安にストレッチしましょう。
 

上級者向けの腸腰筋ストレッチ|膝立ち編

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こちらの運動は、上級者向けの腸腰筋ストレッチです。膝立ちの姿勢から上半身を後方に反らすことで腹筋や腸腰筋をストレッチすることができます。腰へのストレスも大きいストレッチですのでスポーツをされている方などのクールダウンとしてオススメです。後方にバランスを崩さないように注意して行いましょう。


【ストレッチのポイント】
① 両手を腰にあてておへそを突き出すように意識するとより効果的です。
② 息を吐きながら行いましょう。

【目標回数】
10秒間×6回を目安にストレッチしましょう。
 

上級者向けの腸腰筋ストレッチ|ベッド編

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こちらの運動は、ベッドを使用した腸腰筋のストレッチです。太ももの付け根から脚を下ろすことで足の重さを利用して腸腰筋の柔軟性を高めることができます。就寝前やスポーツ後に取り組むストレッチとしてオススメです。

【ストレッチのポイント】
① 下ろした足はリラックスして、力を抜くように意識しましょう。
② お尻が落ちないようにベッドは固いものを準備し、腰の下にタオルを固定しましょう。

【目標回数】
左右共に10〜20秒×5回を目安にストレッチしましょう。
 

プロ向けの腸腰筋ストレッチ|難易度MAX編

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こちらの運動は、難易度MAXの腸腰筋のストレッチです。四つ這い姿勢から後方の足を伸ばし、上半身を起こしていきます。こちらのストレッチは、簡単そうに見えますが、股関節の柔軟性だけでなく骨盤や腰椎の柔軟性が高くないとできません。柔軟性に自身のある方はこちらの腸腰筋ストレッチにも挑戦してみてください。

【ストレッチのポイント】
胸を張り、ゆっくりと上半身を起こしていきます。

【目標回数】
30秒×3回を目安にストレッチしましょう。
 

まとめ

今回は、運動初心者から上級者まで取り組める難易度別の10種類の腸腰筋トレーニングをご紹介しました。

腸腰筋は、骨盤と太ももを繋ぐ、からだの中心の筋肉です。ご自身の能力に合わせて腸腰筋のストレッチに取り組むことで柔軟性を保ち、力を入れずにスムーズに歩けるようになっていきます。また、うまく使えるようになると他の筋肉が働き過ぎず、腸腰筋の本来の働きができるようになります。

腸腰筋は、最近の注目の筋肉です。スポーツを楽しまれる方やご高齢者など、その人が持つポテンシャルを最大限発揮できるようにしっかりとストレッチして頂けると幸いです。

▼腸腰筋のストレッチと合わせてトレーニング方法についても学んでみませんか?腸腰筋のトレーニングについては以下の記事をご覧ください。

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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