サテライト型通所介護とは 人員基準やメリットをご紹介

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更新日:2024/04/25

デイサービス(通所介護)のサテライト(出張所)とは、指定を受けた指定通所介護事業者が本体事業所から20 分以内で相互支援が行える体制で、管理者、生活相談員など兼務可能な基準で設置できる仕組みです。人員基準やメリットを活用した事例をご紹介。利益の確保のためにサテライト型を活用する例、介護予防通所介護(要支援・事業対象者)をサテライト型に切り離した例、リハビリ特化型を運営する例など。

サテライト型通所介護とは

小規模な通所介護事業所は、同一法人の通所介護(大規模型・通常規模型)事業所のサテライト型事業所という施設形態で運営することができます。サテライト型通所介護事業所の職員と、本体の通所介護事業所の勤務体制が一元的に管理されているなど一定の要件を満たす場合に、一体的なサービス提供の単位として出張所等を事業所に含めて指定が可能となっています。本体事業所とサテライト型事業所を別々に指定するのではなく、一体的なサービス提供の単位として指定することとしています。

平成28年4月1日から介護保険改定で小規模型は地域密着型かサテライト型通所介護に移行

平成28年4月1日から、介護保険法・関係政省令の一部改正により、小規模な通所介護(利用定員が厚生労働省令で定める数未満(19人の予定))については地域密着型サービス、もしくは、サテライト型事業所への移行となりました。サテライト型という施設形態は平成28年より前からありましたが、平成28年の介護保険改定で再度そのメリットや利便性が見直されてきています。

平成28年の時点では小規模型事業所はほぼ自動的に地域密着型かサテライト型へ移行しましたが、近年、通常規模型以上の通所介護を運営している法人では、人員面などのメリットから経営戦略的にサテライト型通所介護を出店するケースも出てきており、改めてサテライト型通所介護事業所の基準やメリットの概要を紹介します。

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サテライト型通所介護の運営に関する基準

  • 利用申込に係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること
  • 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所の従業者が急病等でサービスの提供が出来なくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要因を派遣できるような体制)にあること
  • 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること
  • 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること
  • 人事、給与、福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
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サテライト型の営業日及び営業時間は、どのように定めるのか

主たる事業所の営業日、営業時間にかかわらず、出張所ごとに定めることができる。

サービス提供中に、主たる事業所と出張所との間で利用者を行き来させることは可能か

サービス提供中に、主たる事業所と出張所とを移動させないと必要なサービスを提供できない状態は認められない。 したがって、①又は②のいずれかで対応すること

① 主たる事業所と出張所それぞれで提供するサービスに必要な設備、人員等を揃えること。

② 計画に基づいた利用者個々のサービス内容を踏まえて、主たる事業所又は出張所のどちらで利用者を受け入れるか日々適切に調整を図ること。

主たる事業所が出張所を設置する場合の要件

サテライト型事業所を設置できる要件については、指定する自治体によって表現が異なっています。概ね以下のような要件を定めていることが多いですが、実際の設置計画にあたっては管轄する行政に確認をしてください。

  • 本体事業所とサテライト事業所間の距離が、一体的に運営することについて支障のない距離であること。(車での交通手段を利用して、おおむね20分以内で移動できる距離) ※本体事業所と同一建物以外
  • 主たる事業所と出張所の所在地は、同一区市町村であること

サテライト型通所介護の人員に関する基準

主たる事業所及びその出張所において、必要な配置職種は以下です。

職種員数
管理者原則として常勤かつ専従の管理者を1名
生活相談員サービス提供日ごとに、サービス提供時間数に応じて1以上必要となる数
看護職員単位ごとに1以上確保されるために必要と認められる数
介護職員主たる事業所及びその出張所において、それぞれ単位ごとに利用者数に応じて人員基準上必要となる数
機能訓練指導員1以上
  • 本体事業所単独で、通所介護事業所の人員基準を満たすものとされています。
  • サテライト型事業所は、本体事業所との密接かつ適切な連携が図られるものであることを前提として、看護職員はサテライト型事業所にも従事可能で、利用者に対する処遇等が適切に行われることを要件として、管理者、生活相談員、機能訓練指導員は本体事業所とサテライト型事業所における同職との兼務可能です。なお、介護職員については、本体事業所とサテライト型事業所でそれぞれ配置が必要です。
  • サテライト型事業所を設置する場合の利用定員については、原則として、本体事業所とサテライト型事業所との合算で定めることとされています。
  • 生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤でなければならない(常勤の従業者は事業所 ごとに確保されれば足りる。)。

※ 指定通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供させる指定通所介護をいうものであることから、主たる事業所と出張所は別の単位として扱われる。

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主たる事業所と出張所の移動に要する時間は、勤務時間に含めることが可能か

管理者、生活相談員、看護職員、機能訓練指導員が主たる事業所と出張所を行き来するた めに要する時間は、勤務延時間数に含めることができる。なお、主たる事業所と出張所の移 動については、利用者へのサービス提供に支障が生じないように行うこと。

出張所における職員の勤務状況の記録はどのように行うのか

出張所ごとに、出勤簿、タイムカード等により適切に勤務状況等が把握できる体制でなければならない。(出勤簿により出退勤管理を行う場合は、日々の勤務時間も表記すること。) また、主たる事業所と出張所で兼務する職員においては、主たる事業所のみならず出張所に赴いて確実に必要な業務を行ったことをサービス提供記録等の中で記録しておくことが 必要である。

サテライト型通所介護の設備基準

主たる事業所とは別に、サテライト型事業所において、以下の設備を備えることと施設設備基準が定められています。

食堂及び機能訓練室

食堂及び機能訓練室は、それぞれ必要な広さを有するものとし、その合計した面積は、3 平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすること

事務室

事務室は、指定通所介護の事業の運営に必要な広さを有する専用のもの

相談室

相談室は、遮へい物等の設置等により相談の内容が漏えいしないようプライバシーを確保するとともに相談を受け付けるための設備を設けること

鍵付書庫等

個人情報に関する文書等を管理するための鍵付書庫等

静養室

静養室とは、利用者の気分が悪くなった時等に利用する、プライバシーが確保された、静養のできる、備品が格納できる部屋です。

通所介護における食堂兼機能訓練室と静養室については「離れ」、「別棟」への設置は認められません。

トイレ・洗面所

提供する指定通所介護に必要な設備等(キッチン、浴室(脱衣場)等)

消火設備等

消防設備など、その他の非常災害に際して必要な設備 (※消防法令、建築基準法令等の関係法令を遵守すること)

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サテライト型通所介護の管理者の責務

管理者は、定期的に出張所を訪問し、運営・人員・設備の要件基準を満たすよう管理を徹底すること。

管理者は、出張所従業者と「通所介護計画」の内容について情報を共有し、必要があれば見直しをするなど適切な対応をすること。

管理者は、出張所従業者からサービス実施状況を報告させ把握するとともに、適切な指導をすること。

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デイサービスがサテライト型事業所を運営するメリットと具体例

平成28年の介護報酬改定で小規模型通所介護は地域密着型かサテライトへの移行となりましたが、サテライト型を運営することにはメリットも多くあります。

サテライト型の運営基準で紹介した通り、介護職員以外の管理者、生活相談員、看護職員、機能訓練指導員の職種は本体の事業所との兼務が可能であり、人件費が安く抑えられます。実際の運営戦略としては以下のような形態など柔軟に設定ができます。

短時間のリハビリ特化型デイサービスをサテライトで運営する

サテライト型事業所として運営する場合には、本体事業所と一部職種が兼務可能です。本体事業所が1日型で機能訓練指導員がいる場合、サテライト事業所を午前だけなどの営業時間に設定し機能訓練指導員が出向いて集中的に機能訓練を提供する形態もとれます。例えば、医療的な処置や、医療的管理の必要性が少ない方などで、リハビリニーズのみならばサテライト型を紹介するなど、生活相談員や管理者でそれぞれの事業所の体制やコンセプトを決めて、リスク対策も施した上で切り分けていきます。もちろん双方の業務に支障がない範囲での兼務となりますが、オペレーションを整えて実践している例もあります。

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介護予防通所介護(要支援・事業対象者)をサテライト型デイサービスに切り離した例

要支援1・要支援2・総合事業対象者が対象となる介護予防通所介護は、要介護者と違い時間区分による基本報酬でなく何時間滞在しても報酬は同じです。要支援や事業対象者は主に介護予防のニーズであり、短時間で移動能力や運動器の機能向上などのサービスを受けるという形がご利用者にとってもちょうど良いというケースも多いです。

サテライト型デイサービスの活用方法としては、例えば、サービス提供時間や曜日を限定して営業するなどして、効率的な運営をすることで高稼働率で収益源にできます。

平成30年の介護報酬改定で、通所介護費の時間区分変更が実質的には報酬減少となっており、補填するためには対策が必要です。

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効率的なサービス提供と、利益の確保のためにサテライト型を活用する例

要支援者・事業対象者については、従来の介護予防通所介護を要介護者同様の時間で提供していると利益の確保が難しい構造となっています。しかし、要支援者と要介護者に一体的にサービス提供を行なっている場合には、切り分けて提供内容を変えたり、送迎の時間をずらしたりということは運営上難しく頭を抱える経営者の方も多いと思います。

ご利用者にも施設運営にも良い形でサテライト型事業所のメリットを活かすということも選択肢の一つです。

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この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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