デイサービス(通所介護)のモニタリングシートとは|書き方・モニタリングを行う期間・記入例

介護保険法

基本報酬

更新日:2023/09/06

モニタリングシートとは、高齢者に提供しているサービス内容の現状把握と見直しを行うために作成する書類のことです。今回は、デイサービス(通所介護)におけるモニタリングシートの役割・項目・記載例についてまとめてご紹介します。 

モニタリングシートとは

モニタリングシートとは、デイサービスにおいて利用者に介護サービスを提供する上で、目標を達成しているかどうかをはじめとした状把握と、サービスの見直しを行うために作成する書類です。

モニタリングシートは通所介護計画書やケアプランとは異なる書類であり、モニタリング用に個別のシートを作成します。

しかし、場合によっては既存の書類にモニタリングとして必要な内容を記入することもあり、決まった形式がないのが現状のモニタリングシートのあり方です。

定期的に作成することで提供されているサービスが利用者に沿った目標の改善につながっているか、利用者が望むサービスを提供できているかなどをモニタリングシートで振り返ることができます。

デイサービスにおけるモニタリングについて

デイサービスのモニタリングは、通所介護計画書に加えて、個別機能訓練加算を算定している場合には個別機能訓練計画書に対してもモニタリングが求められます。

通所介護計画書は、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画書の内容や期間に沿って作成する必要があるので、内容変更があれば通所介護計画書も合わせて適宜変更していく必要があります。

通所介護計画書の変更時にはモニタリングを適宜実施し、その内容についてはケアマネジャーと共有しましょう。

さらに、デイサービスでは算定している加算や計画書ごとにモニタリングシートの作成が求められます。
口腔機能向上加算をはじめとした他の加算についても、それぞれモニタリングシートが必要です。

作成したモニタリングシートは、一定期間保存しておかないと運営指導(実地指導)で指摘される可能性がありますので注意しましょう。デイサービスでのサービス内容を適正化することに加え、運営指導の対策のためにも確実なモニタリングを心がけましょう。

通所介護計画におけるモニタリング期間・更新頻度について

通所介護計画におけるモニタリングには、1ヵ月や3ヵ月などの特定の期間設定はなく、ケアプランの設定期間によって変更されます。

以下に、厚生労働省より発出されている介護保険施設等運営指導マニュアルと埼玉県の介護サービス事業所における自主点検の資料を引用しますのでご参考ください。通所介護計画の期間は自治体での情報をご確認ください。

 Q.通所介護計画は、既に居宅サ-ビス計画が作成されている場合は、当該居宅サ-ビス計画の内容に沿って作成していますか。

A .通所介護計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該通所介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更してください。

引用元:【埼玉県】介護サービス事業者 令和5年度運営指導自主点検表 通所介護自主点検表(令和5年版) P20 

 ○機能訓練指導員等は、各月における評価内容や目標の達成度合いについて、利用者又はその家族及び理学療法士等に報告・相談し、理学療法士等から必要な助言を得た上で、必要に応じて当該利用者又はその家族の意向を確認の上、当該利用者のADLやIADLの改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行っている。

○個別機能訓練を行うにあたっては、開始時及びその3か月後に1回以上利用者に対して個別機能訓練計画の内容を説明している。

引用元:介護保険施設等運営指導マニュアルについて 

上記2つの資料は、共通して通所介護計画書や個別機能訓練計画書においての内容の変更やモニタリングの実施は適宜行う必要がある旨の記載がされています。

しかし、個別機能訓練加算を算定している場合、モニタリングは「3ヵ月に1回以上」行われなければいけません。

そのため、デイサービスにて個別機能訓練加算を算定している事業所では、3ヵ月に1回はモニタリングを行う必要があります。

定期的にモニタリングの結果をケアマネジャーに報告することで、より詳細で丁寧な情報共有が可能になり、円滑なコミュニケーションを取りやすくなります。 

1ヵ月に1回程度のケアマネジャーへの状況報告は、お互いの仕事を円滑にするためにとても有益ですので、それを情報提供の前提にすると良いでしょう。

また、ケアマネジャーとのコミュニケーションを図る際においても、モニタリングを用いたほうが丁寧です。状況報告をする時は、モニタリングの結果を相手にわかるように努めるほうが良いでしょう。

参照:介護保険施設等運営指導マニュアルについて

モニタリングシートの様式

上記の画像は、デイサービス向けリハビリ支援ソフトRehab Cloudリハプランのモニタリングシートです。

モニタリングを記録するシートには決まった様式はありませんが、一般的にモニタリングへ記載する内容としてはサービスの実施状況や利用者の状態変化、目標の達成状況などが挙げられます。

リハプランのモニタリングシートでは上記で説明した内容のほか、利用者と家族の希望や解決すべき課題、今後の方針などの項目があります。

モニタリングは計画書に沿ったサービスの提供内容や変更すべき点を定期的に確認する大切な業務です。要点を押さえて有効なモニタリングを行うためにも、記入しやすいモニタリングシートの様式を選択しましょう。

具体的なモニタリングの記載例については次項にてご紹介しますのでご参考ください。

通所介護計画書のモニタリング項目

  • 通所介護計画書に沿ったサービスが行われているか
  • サービスの利用目標(長期・短期)が達成されているかどうか
  • サービス提供内容が適切かどうか
  • 事業所内での過ごし方で変わったことはないか
  • 利用者またはその家族の満足度はどうか
  • 新しい希望や要望はないか

【記載例】
デイサービス内では、他者との交流も良好で笑顔も多く見受けられています。食事も残すことなく摂取されており、レクリエーションへも積極的に参加されています。当初目標としていた「デイサービスへの定期的な外出を通して、他者交流や活動への参加を通し活気的な生活を営む」ことは達成できてきているように思われます。

ご本人より、「夏場は長くお風呂に入りたくない」といったことが聞かれましたので、状況に応じて短時間の入浴やシャワー浴で対応させて頂くこともあります。ご本人やご家族は、希望に応じた短時間の入浴に満足している様子です。引き続き、季節に応じて快適に入浴サービスを受けて頂けるよう、ご本人様の要望もお聞きしながら支援して参ります。

個別機能訓練計画書のモニタリング項目

  • 個別機能訓練計画書に沿ったサービスが行われているか
  • 利用者の身体機能や活動、参加の面での変化はないか
  • 事業所での機能訓練の様子についての記載があるか(意欲的に取り組まれているか、歩行状態に変化はないかなど)
  • 機能訓練のメニューに変更はないか
  • 長期目標、短期目標が達成されているかどうか

【記載例】
長期目標である「トイレの立ち上がりが見守りでできるようになる」に向けて、機能訓練メニューとして「下肢筋力強化練習」「立ち上がり練習」「乗り移り動作練習」を行っています。短期目標である「車椅子からの立ち上がりが手すりを使用して見守りでできるようになる」については徐々にできるようになってきています。

しかし、トイレ動作では手すりの位置の違いにより立ち上がり動作が不安定になり易く、まだ一部介助を要している状態です。引き続き既存のメニューを実施し、車椅子からの立ち上がり動作の安定性向上を図ります。

モニタリングシート記載における注意点

モニタリングの結果をシートへ記載する際には、注意点がいくつかあります。

以下に、注意点とその理由についてご紹介しますのでご参考ください。

  1. 正確な日付を記入すること:正確な日付の記録は、事実を明確に示すために重要です。日付が間違ってしまうと、介護の進捗や変化についての情報が不正確に捉えられてしまいかねません。
  1. 具体的な行動や状態を詳細に記述すること:曖昧な表現では評価やモニタリングの基準が不明瞭になります。具体的な行動や状態を詳細に記録することで、的確な評価につながります。
  1. 客観的な観察結果を記録すること:主観的な意見や予測ではなく客観的な事実を記録することで、信頼性のある情報が伝えられます。
  1. 変化や進捗が見られた場合には具体的に記録すること:介護プランの修正や改善の判断材料となるため、変化や進捗が見られた場合には具体的に記録することが重要です。
  1. 利用者や関係者とのコミュニケーション内容を記録すること:実際の会話内容や利用者の発言を抜粋して記録することで、利用者や関係者の要望や意見を正確に反映した適切なサービスの提供につながります。
  1. 関連する医療情報や連絡事項を記録すること:利用者の健康状態や医療情報はサービス提供に影響するため、関連する情報や連絡事項を記録することが重要です。
  1. 記録の不備や漏れがないように注意すること:記録の不備や漏れがあると、正確な評価やサービスの提供が難しくなります。常に注意して記録することが必要です。

これらの注意点を押さえてモタリングシートの記載を行い、正確かつ有益な情報共有のツールとなるよう意識していきましょう。

モニタリングを通じて個別性のあるサービスの提供へ

デイサービスにおけるモニタリングの重要性と記載方法について、詳しくご紹介しました。

良質なサービス提供を実現するためには、継続的な評価と改善が欠かせません。

モニタリングは利用者の健康状態や目標達成度を把握し、個々に適した支援を行うための重要な手段と言えます。

さらに、モニタリングを通じて利用者や家族に加えケアマネジャーとも円滑に情報共有が行えるようになれば、個別のニーズに応じた柔軟なサービスの提供へとつながります。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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