デイサービススタッフ(看護・介護従事者)が理解しておきたい『ボディメカニクスの8原則』について

介護に従事する方で腰痛持ちの方は非常に多いです。厚生労働省の調査によると、医療介護にあたる保健衛生業では腰痛が増加傾向となっています。腰痛は離職の原因ともなりますので、ボディメカニクスの理解が非常に重要です。この記事では、ボディメカニクスの概要と8原則についてお伝えして参ります。

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介護従事者の腰痛は非常に多く離職の原因となるため、介護事業者にとっては死活問題です。しかし、自分の身は自分で守らなければなりません。そのために「ボディメカニクス」という概念を理解しておくことが必要です。

今回この記事では、ボディメカニクスの概要とよく言われる8原則についてお伝えし、理学療法士という立場から言える情報を加えてお伝えしていきます。

 

厚生労働省による腰痛調査

腰痛調査

労働による腰痛の発生において、医療福祉・商業・運輸交通業の腰痛は非常に多いとデータから分かっています。

少し古い情報ではありますが、2000年に介護保険制度ができて以来、介護労働者は1.7倍に増加しています。しかし、それ以上に腰痛発生者が増加しています。ここでは介護にフォーカスをあてていますが、病院でも看護師の腰痛は非常に多いです。

腰痛の多くは予防をすることで防ぐことができます。痛くなってからどうするか。よりも、痛くならないためにどうするか。これがとても重要なのですが、そのためにはボディメカニクスの理解がとても重要です。

それでは、以下にボディメカニクスについてご説明していきます。

 

ボディメカニクスとは?

ボディメカニクスは、

・Body:身体

・Mechanics:力学

となり、「身体力学」のことを言います。簡単に言うと、最小の力で最大の力を発揮することです。骨や関節、筋肉を動きに応じてうまく使うことで身体への負担を最小にすることができます。

ボディメカニクスには8つの原則があり、以下に8原則をご説明していきます。

 

ボディメカニクスの8原則

①重心を近づける

②対象者を小さくまとめる

③支持基底面を広くする

④重心を低くする

⑤身体を捻らない

⑥大きな筋肉を使う

⑦水平移動する

⑧テコの原理を利用する

 

この8つが原則となります。

1つの例(単座位から車椅子への移乗)をご紹介します。

利用者さんと自分自身との距離を近くする。

利用者さんの関節を極力曲げて(遺体のない範囲内で)、コンパクトにする。

自分自身の支持基底面を広くして重心を低くする。

ベッドの高さと車椅子の座面の高さを同じにする。

身体と車椅子の距離を極力近くにセットし、水平移動できる位置に設置する。

自分の支持基底面を広くし、大きな筋肉を使って水平移動させて車椅子へ移乗させる。

言葉だけだとイメージしにくいかもしれませんが、利用者さんをコンパクトに、移動距離を少なく、自分の支持規定面を広くして水平移動させる。これを常に頭に入れておくと非常にスムーズ且つ体への負担を少なく行うことができます。

自分が楽な形で介助ができるというのは、利用者さんにとっても楽だということを覚えておいてください。自分がきついなと思うような介助方法は必ず力みにつながり、利用者さんへの負担も増えます。

 

大きな筋肉を使うとは?

ここまでの説明で、大きな筋肉を使うとはどういうこと?と思われた方もいらっしゃると思います。理学療法士としての立場からご説明をしていきます。

ここで言う大きな筋肉とは、大腿四頭筋大臀筋を言います。大腿四頭筋は前側太ももの筋肉のことで、大臀筋はお尻の大きな筋肉を言います。

この2つの筋肉に加えて、やはり腹筋をうまく使えるということはとても大事で、腹筋のインナーマッスルが効果的に使えることでより、大腿四頭筋・大臀筋を効果的に使うことができます。相乗効果が見込めます。

一方で、腹筋がうまく使えないと腰痛の原因となりますし、大腿四頭筋や大臀筋の負担も増えます。

腹筋を鍛える運動をご紹介しますので、自分自身の腰痛予防及び、適切なボディメカニクスを使うために腹筋を時々トレーニングしておくことをおすすめします。



【大腿四頭筋:運動方法】
・椅子に腰掛けて膝の後ろに手を置いて少し持ち上げます。
・膝の裏で手を押し当てるように膝を伸ばしていきます。


【大臀筋:運動方法】
・仰向けになり、両膝を立ててお尻を持ち上げます。
※写真ではボールを挟んでいますが、特別ボールを挟まなくても問題ありません。


【腹筋:運動方法】
・仰向けになり、両膝を立て頭を持ち上げます。
・両手を膝に近づけていくように意識して行なってください。

 

必要に応じて福祉用具を活用する

介助量が多い方などの場合は、無理せずに福祉用具を活用するようにしてください。

例えば、ベッド上の体を移動させるにはゴミ袋をよく利用したりしますが、福祉用具では「スライディングシート」などを活用すると良いでしょう。

また、車椅子への移乗などには「トランスファーボード」を活用するのもおすすめです。

 

まとめ

この記事では、介護従事者が覚えておきたい「ボディメカニクス」の基本的な部分に触れてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

「介助をする」ということになると、どうしても過介助となりがちです。ですが、本来であれば「残存機能」をうまく活用してもらうための介助が一番ベストです(ケースバイケースではありますが…)。

文中にも書きましたが、介助者が楽な姿勢で行うことは利用者さんへの負担が減ります。逆に、介助者がきつい姿勢で行うと利用者さんの負担も増えることになります。

この辺りを意識しながらボディメカニクスに準じた介助をするようにしてみてください。

それでは、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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介護をしていると腰痛になりやすい!腰痛予防ストレッチ【10種】

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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