デイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておくべき「パーキンソン病」の概要とリハビリの基本

デイサービスに通われる利用者さんの中で多い病気に「パーキンソン病」があります。パーキンソン病は神経難病の1つですが、病態の理解をしておくことでどのようにケアをしたらいいのかなど、介護スタッフの方々のサービスの質が変わってきます。この記事では、パーキンソン病の基本的な概要とリハビリの知識を理学療法士がご紹介していきます。

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パーキンソン病は神経難病疾患でも非常に多く、比較的耳慣れた病気かもしれません。デイサービスに通われる利用者さんは皆さんご高齢ですが、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、腰椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折などの整形外科疾患など、様々な病気や障害を抱えた方が通所されていると思います。

そんな中、神経難病疾患の1つである「パーキンソン病」の方がデイサービスへ通所されているというケースも比較的多いと思います。

パーキンソン病は進行性疾患であるため、その経過に応じて対応することが望まれます。

今回この記事では、デイサービススタッフの方が理解しておくべきパーキンソン病というテーマでお伝えして参ります。

※パーキンソン病とパーキンソン症候群は違うものとなります。ここでは、パーキンソン病についてご説明します。

 

パーキンソン病とは?

パーキンソン病という名前の由来は、ジェームスパーキンソンというイギリス人医師によって発見され、名前がついたとされています。

パーキンソン病を簡単に説明すると、"中脳にある黒質(こくしつ)から放出されるドーパミンが減少してしまう病気"となります。

ドーパミンは神経伝達物質なのでドーパミンが減少すると、運動の命令がうまく伝わらなくなり、体が思うように動かなくなります。具体的にどう動きにくくなるのかというと、
 

・姿勢調整が困難になる

・運動の速度調節が困難になる


ということになります。つまり、時間の経過とともに体の動きが鈍くなってくるのがパーキンソン病だとご理解ください。

 

パーキンソン病の症状

パーキンソン病に代表される症状として4つの症状が挙げられます。

①振戦

②固縮

③無動

④姿勢反射障害


振戦は、指先で何かを丸めるような動きをし、安静時に起こるのが特徴です。

固縮は、筋肉が固く縮こまった状態になります。似たような症状に※拘縮がありますが、拘縮と固縮は違うものなので、理解しておく必要があります。固縮はパイプを曲げ伸ばしするイメージで表現されることが多いことから「鉛管様現象」と呼ばれます。

無動は、いくつかの症状をまとめた状態を言いますが、代表的な例としては「すくみ足」「小刻み歩行」です。パーキンソン病の方は、足がすくんでしまい、歩き出しがうまくいかないケースが多く、歩幅が狭い歩き方をされます。

姿勢反射障害は、歩いていたり立っていたりするところから振り返るのが難しくなったり、歩いていて突進してしまうような現象が起こります。この後後述しますが、姿勢反射障害が起こると「ヤールの分類Ⅲ」という判断になります。

 

ヤールの重症度分類

パーキンソン病 ヤール分類

画像出典:リハビリテーションコンサルタント
 

ヤールの分類でポイントとなるのが、歩行障害と姿勢反射障害です。この2つの症状が現れてくとヤール分類の中間である「ヤール分類Ⅲ」となります。

デイサービスで勤務するスタッフの方は、このヤール分類Ⅲを覚えておくと非常に便利です。ヤール分類Ⅰ・Ⅱであればそれほど日常生活レベルで支障がでることは少ないですし、Ⅳ・Ⅴであれば日常生活への影響も大きくなってきます。

スタッフ間での共通言語としても活用できますし、個別機能訓練計画書を書く必要がある場合も計画書に反映させて書くことができます。

 

機能訓練指導員が理解すべきパーキンソン病に対するリハビリの考え方

ここまでパーキンソン病のことをご説明してきましたが、リハビリの進め方としては基本的に"ヤール分類に応じて進める"ことが基本となります。

また、何より重要なのは今後起こりうるであろう症状に向けて、事前に"予防的に機能訓練やADL訓練をしておく"ということです。

パーキンソン病は進行性疾患です。ですが、どんな症状が出てくるかはある程度予測することもできます。症状が現れてから対応することももちろん必要ではありますが、なるべくなら予防的な関わりができると利用者さんにとっても非常に有効だということが言えます。
 

■ヤール分類Ⅰ・Ⅱ
この時期はそれほど日常生活影響はありません。今後起こりうる状況を考慮して「予防的な介入」が必要になります。

この時期に必要なのは「体力を蓄えておくこと」「貯筋をしておくこと」が重要です。屋外や中長距離の歩行やエアロバイクなどを利用した有酸素運動が有効です。

■ヤール分類Ⅲ
この時期は姿勢反射障害が起こる時期ですので、バランスを考慮した運動が大切です。また、すくみ足や小刻み歩行が出現してきますので、パーキンソンステッキや床に印をつけて歩く練習をすると効果的です。

この時期になると体も少し固くなってくるので、呼吸機能も落ちてきやすくなります。ですので、腹式呼吸などの練習やアドバイスも有効です。

■ヤール分類Ⅳ・Ⅴ
この時期になると日常生活に大きな影響が出てきます。

立つ・歩くといったことも困難となり、Ⅴはほとんど寝たきり状態となってしまいます。ですので、この時期はなるべく体が固まらないように予防することや、筋力を少しでも維持することが重要です。

在宅生活では、環境設定・環境調整が非常に重要なので、デイサービススタッフの方は居宅訪問チェックを行う際は十分に配慮しながらチェックをするようにしてください。
 

【関連記事】
個別機能訓練加算の基礎知識!居宅訪問のチェックポイントを解説!

 

まとめ

デイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておくべき「パーキンソン病」の概要とリハビリの基本ということでご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

病態がどんなものなのか。これを理解するだけでもだいぶ質の違うケアができると思います。デイサービスを利用される方にパーキンソン病の方は非常に多いですので、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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