栄養や姿勢など高齢者の食事で気をつけるべき注意点について解説!

ご高齢者が食事をする場合に気をつけておかなければならないことを知っていますか?ご高齢者は、加齢により食事量が少なくなり、低栄養を起こしたり、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうリスクも高くなります。今回は、そんなご高齢者の食事で気をつけておきたいポイントについてまとめてご紹介します。ご高齢者のからだの特徴と食事への影響を理解して介護のスペシャリストを目指して行きましょう。

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高齢者の「からだの特徴」と「食事への影響」とは

ご高齢者は、歳をとるにつれて心身の機能低下・能力低下により食事量が少なくなったり、食事が上手に食べれなくなくなるなど、食生活に影響を及ぼすことも多くなります。

そこで、まずご高齢者の食事で気をつけるポイントをご紹介する前に、ご高齢者のからだの特徴食事への影響についてご紹介します。

高齢者の特徴と食事への影響

■口が渇く

ご高齢者は様々な病気やその予防のために服薬をされており、その副作用の影響によって唾液の分泌が少なくなることがあります。また、加齢による噛む力の低下することによっても唾液の分泌量が減少します。唾液は、噛み砕いた食べ物をまとめ、飲み込みやすくする効果があるので、その分泌自体が少なくなると誤嚥を引き起こす可能性が高くなります。

■噛む力・飲み込む力が弱くなる

ご高齢者は年を重ねるにつれて、歯が欠損したり、舌や喉の筋力が衰えてしまいます。そのため、食事を噛む力が弱くなったり、飲み込みが難しくなり誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高くなります。

■頻尿になる

ご高齢者は頻尿になりやすく、頻回にトイレに置くことを気にするあまり水分を控えることも脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。食事での水分摂取だけでは十分な水分が補給できないため高血圧を助長する原因にもなりかねません。

■便秘になる

便秘の原因には病的なものもありますが、加齢にともなう消化酵素の減少や、腸の蠕動運動の低下、腹筋の筋力低下の影響により便秘を引き起こしやすくなります。運動不足により筋肉が不活性化を起こすと内臓温度も低くなり便が出にくくなります。また、食事量が減ることで水分や食物繊維が不足することも便秘の原因になります。

■食欲が低下する

歳を重ねるにつれて、疲れやすくなったり、何をするにもやる気が出なくなったり、不眠から生活リズムが崩れてしまったりします。こうなると運動不足の影響もあり食欲が低下し、食事量が極端に減ってしまう原因になります。


▼ご高齢者の唾液の分泌を促す方法に唾液腺マッサージがあります。唾液腺マッサージの方法についてはこちらの記事をご覧ください。

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高齢者の食事で気をつけたい5つのポイント

ご高齢者は、「口が渇く」「噛む力・飲み込む力が弱くなる」「頻尿になる」「便秘になる」「食欲が低下する」などのカラダの変化により、食事の摂取量が低下したり、誤嚥性肺炎を引き起こしたりと悪影響を及ぼします。そのようなご高齢者に食事を提供する場合はどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?

ご高齢者の食事で気をつけたいポイント

1)低栄養に注意する

2)誤嚥性肺炎に注意する

3)食事の姿勢に注意する

4)食事制限に注意する

5)食べやすさに注意する

低栄養

高齢者の食事で気をつけておきたいポイントに「低栄養」があります。

筋量は、40歳前後から徐々に減少していきますが、ご高齢者においては年間に「5%以上」も減少するとも言われています。実は日本の75歳以上のご高齢者の「約22%」は、低栄養(サルコペニア)状態です。低栄養とは、食欲の低下や食事が食べにくくなどという理由から徐々に食事量が減り、身体を動かすために必要なエネルギーや筋肉や皮膚、内臓などをつくるたんぱく質が不足した状態のことをいいます。

 

低栄養になるとからだに以下のような悪影響を及ぼします。

■筋肉量や筋力の低下する

■免疫力や体力が低下する

■脱水症状を引き起こす

■骨量が減少する

■病気や感染症にかかりやすくなる

■傷が治りにくくなったり、褥瘡(床ずれ)をおこす

ご高齢者の低栄養を防ぐためのポイントを4つご紹介します。

1)必要エネルギーを摂取する

70歳以上のご高齢者の場合、1日の推奨エネルギー必要量は「男性2,200kcal」「女性1,750kcal」です。食事量が入らない方は、高栄養の食事を摂取したり間食を進めましょう。

2)タンパク質を摂取する

タンパク質は、筋肉にもっとも影響する栄養素です。70歳以上のご高齢者の場合、1日の推奨タンパク質必要量は「男性60g」「女性50g」です。ちなみに、タンパク質が多く含まれる食事は、しらす(40.5g)やささみ(23.0g)です。栄養補助食品などで必要栄養素を補うこともできるので参考にされてみてください。

3)ビタミンDを摂取する

ビタミンDは、筋力と筋力との関係性が高い栄養素です。タンパク質とビタミンDは低栄養を防ぐ栄養素として覚えておきましょう。ちなみに、ビタミンDは食品100g当たり、きくらげ(440μg)鮭(25.6μg)や秋刀魚(11.4μg)に多く含まれています。

4)水分を摂取する

1日に1〜1.5リットルの水分を摂取することも必要です。
※必要摂取量の数値は「日本人の食事摂取基準2015年版」より

▼低栄養(サルコペニア)の評価方法と栄養について以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はこちらをご覧ください。

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誤嚥性肺炎

高齢者の食事で気をつけておきたいポイントの2つ目に「誤嚥性肺炎」があります。

厚生労働省によると、80歳以上のご高齢者の死亡原因の第3位は肺炎、その中でも最も多いのが誤嚥性肺炎とされています。ご高齢者は年を重ねるにつれて、歯が欠損したり、舌や喉の筋力が衰えてしまいます。そのため、食事を「噛む力」が弱くなったり、「だ液の分泌量が低下」したり、「飲み込みが難しくなる」ことで誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高くなります。

 

ご高齢者の食事での誤嚥性肺炎を防ぐための方法に「口腔体操」があります。

口腔体操は、舌や口周りの筋肉を動かす運動を長期的に取り組むことで、食べ物を咀嚼(そしゃく)して飲み込むまでの一連の働きがスムーズになる効果が期待できます。また、「食事前」の体操として取り組むことで食事を食べ始める際にもスムーズに飲み込めるようになります。また、食べ物や飲み物が誤って気管へと入り込んでしまった場合でも、日頃から咳き込む力を鍛えておけば誤嚥を予防する効果も期待できます。

1)パタカラ体操

「あ・い・う・え・お」と大きく口や顎、唇、舌を動かすトレーニングです。発声の運動は、誤嚥の予防や表情が乏しい方の表情筋トレーニングとして効果が期待できます。また、大きな声を出すことで腹圧が高まり、誤嚥しかけた時に咳き込む力が強くなります。

2)頬の運動

食べ物を噛むときは、舌と頬が協調して働いたり、口を閉じるために口輪筋が働くことで食べこぼしを防ぐことができます。

3)舌の運動

舌を前後・左右に動かす能力は、食べ物を嚙める位置に移動させたり、口腔内残渣(こうくうないざんさ)を少なくするなど非常に重要な動きがあります。さらには、発語の舌の動きを保つことができるので必ず取り組むことをオススメします。

▼口腔体操のやり方については以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はこちらをご覧ください。

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食事の姿勢

高齢者の食事で気をつけておきたいポイントの3つ目に「食事の姿勢」があります。

ご高齢者が安心・安全に食事するためには誤嚥に注意する必要がありますが、噛む力や飲み込む力が低下しているご高齢者の誤嚥に注意するためには正しい姿勢を保つことが重要です。

 

ご高齢者の食事での誤嚥を防ぐための正しい姿勢についてご紹介します。


1)椅子と机で食事をする場合

椅子に座って食べるときは、両足を床につけてつま先に体重がのるように意識すると自然に姿勢がよくなります。なお、食事介助中に姿勢が悪くなり顎が上がってしまうと咽頭と気管の角度が少ない為、食物が気管に入りやすくなるため要注意です。顎が引けているか確認しましょう。

2)車椅子で食事をする場合


スタンダード車椅子やリクライニング車椅子を使用している場合は、椅子の背もたれの角度を90度近くにすることが理想的です。本人の身体状況によっては60~80度程に保ちます。基本的には、床に両足が着くようにすることをお勧めします。難しい方はフットレスト(足置き)に足を置いたり、背中や頭にクッションを入れて姿勢を整えましょう。

3)ベッドで食事をする場合

ご高齢者がベッドで食事をする場合は、リクライニングの角度を60~80度程に保ちます。膝が軽く曲げれるように膝の下にクッションを挟んだり、首や体幹を安定させるために腰や頭の後ろにクッションを入れて姿勢を整えましょう。

4)その他

ご高齢者が食事を食べる際は、「一口量を守る」「飲み込みを確認する」「食べ物の溜め込みがないか確認する」などもあります。

▼ご高齢者の食事介助の方法についてはこちらの記事がオススメです

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食事制限

高齢者の食事で気をつけておきたいポイントの4つ目に「食事制限」があります。

ご高齢者においては、糖尿病や高血圧などからだの内部の病気を抱えていることが多くあります。食事制限は、体の状態に合わせて食事内容に制限を加えることで病状の悪化を防いだり、間接的に病状を改善する効果が期待できます。

ご高齢者の中で食事制限が必要な方には、以下のような場合があります。

■糖尿病で「血糖コントロール」が必要な方

■腎臓病で「タンパク質」の制限がある方

■高血圧や心臓病で「塩分」の制限がある方

■膵臓病などで「脂質」の制限がある方など

【糖尿病の食事制限について】

糖尿病とは、インシュリンの働きが弱まることにより、血糖値が高くなる病気です。この血糖値を安定させるためには、「食事の量」と「時間」を一定に保つことです。そのため、1日3食を規則正しい時間に食べ、医師から指示された1日あたりの摂取カロリーや糖質量を守りバランス良い食事をします。糖尿病の食事制限の場合は、過食や偏食に注意したり、おやつにおいても糖質の多いものは控えるようにしましょう。配色サービスを利用すると糖尿病食など偏食を避け食事もありますのでチェックしてみてください。

【腎臓病の食事制限について】

腎臓病では、腎臓への負担をできるだけ軽減することが重要です。そのため、食事では腎臓の負担が大きくなる「タンパク質」と「塩分」の摂取を控えます。減塩食や腎臓食などと医師からの指示がないか確認しておくようにしましょう。ただし、タンパク質は、からだの必須となる栄養素なので良質なタンパク質を取るようにしましょう。

【高血圧や心臓病の食事制限について】

ご高齢者の2/3人が高血圧と診断されている病気です。高血圧は、脳梗塞や心臓病を引き起こすリスクを増加させてしまいます。この高血圧の予防には「減塩」や「運動」などが有効とされています。高血圧のガイドラインでは、塩分は1日6g未満を推奨されています。そのため、ハムや漬物などの塩分の多いものは避け、食事を薄味にしたり、減塩しょうゆ、減塩ソースなどを使用して調理するもの良いでしょう。

食べやすさ

高齢者の食事で気をつけておきたいポイントの5つ目に「食事の食べやすさ」があります。

ご高齢者の多くが歯が欠損しているために入れ歯になったり、舌や喉の筋力が衰えてしまっています。そのため、食事を噛む力や飲み込む力が弱くなります。そこで重要なのが「食事の食べやすさ」です。

 

ご高齢者には、食べやすい食事と食べにくい食事があることを理解しておきましょう。

食べやすい食事

・ミンチ状: 軟らかいミートボールなど

・まとまり状:バナナ、ヨーグルトなど

・トロミ状:おかゆ、コーンスープなど

・プリン状:プリン、ムース、卵豆腐、茶碗蒸しなど

・ゼリー状:水ようかん、煮こごりなど

食べにくい食事

・弾力が強いもの:パン、うどん、こんにゃくなど

・噛みにくいもの:厚みのある肉、揚げ物の衣、パンなど

・繊維が多いもの:ごぼう、たけのこなど

・喉に詰まりやすいもの:もち、わかめ、きなこ、こんにゃく

・むせやすいもの:酸味の強いレモン、グレープフルーツなど

 

また、食事自体を食べやすく・飲み込みやすくする工夫も合わせてご紹介します。

食べやすくする工夫

・柔なくなるまで火を通す

・茹でてから炒める

・隠し包丁を入れから焼く

・刻みや一口大になるように切る

・柔らかくなるまで叩く

・粘り気が出るまですり身する

・皮を剥く

飲み込みやすくする工夫

・すりおろす

・裏ごしする

・ミキサーにかける

・片栗粉やゼラチンでとろみをつける


まとめ

今回は、ご高齢者に介助(ケア)を行うスタッフに向けて、食事で気をつけておきたい5つのポイントをまとめてご紹介しました。

ご高齢者は年を重ねるにつれてからだの変化が起きてきます。そのため、私たちスタッフが「身体の変化」と「食事への影響」を理解しておくことがもっとも重要となります。さらに、今回は、これらを予防する方法もご紹介しているのでぜひご高齢者のみなさんと取り組んでみてください。

介護のスペシャリストを目指して行きましょう。

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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