高齢者の口腔ケアの目的と効果【介護スタッフの基礎知識】

口腔ケアの目的は、口の中の粘膜や歯、舌などの汚れを取り除く「器質的な口腔ケア」と、舌や頬などの筋肉、飲み込みの力などの機能維持を目的とする「機能的な口腔ケア」の2つがあります。特に、ご高齢者への口腔ケアは2つのケアを行うことでその効果が高まります。今回は、口腔ケアの目的と効果についてかんたんに解説します。介護スタッフの基礎知識として理解しておきましょう。

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口腔ケアの主な目的

口腔ケアの主な目的は、ご高齢者がいつまでも自分の口で食事を食べれることでQOL(生活の質)を高め、日常生活の満足感を得たり、口から栄養を摂取して体の健康を維持することにあります。

実際に論文を調べてみると、伊勢崎ら(1999)は以下のように報告しています。

生活満足感にはADLの食事動作が強く影響しており、各因子の影響を考慮したとき、食事動作ができるほど生活満足感が高かった。

さらに、家族や親戚、親しい友人と楽しく会話ができ、食事をとる場があることも充実した日常生活を送る上でとても重要となります。

そのため、私たちスタッフが口腔ケアに取り組むことで、お口のトラブルを防ぎ、いつまでもその人らしい生活が送れるようにお手伝いをすることができます。

 

口腔ケアの具体的な効果・目的について

口腔ケアの具体的な効果・目的には、主に「4つ」があります。

医療現場や介護現場で口腔ケアに取り組む場合は、この目的を明確にし。「看護計画」や「サービス計画」に記載しておかなければなりません。そのため口腔ケアの目的をしっかりと理解しておきましょう。

 

口腔ケアの効果・目的

1)だ液の分泌を促進する

2)誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を予防する

3)口臭を予防する

4)虫歯・歯周病の予防する

では次章より、口腔ケアの効果・目的別に詳しくご紹介していきます。


▼舌や頬などの筋肉、飲み込みの力などの機能維持を目的とする「機能的な口腔ケア」である「口腔体操」の方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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ご高齢者の誤嚥を予防する口腔体操のノウハウをまとめてご紹介します。

だ液の分泌を促進する

口腔ケアの効果・目的の1つに「だ液の分泌を促進」があります。

通常、食べ物を噛む動作を繰り返すことで、だ液の分泌を促してくれます。しかしながら、ご高齢者の多くは入れ歯になったり、柔らかい食事が中心となっているため噛む力が衰えてしまいます。こうなると噛む回数が少なくなり、唾液の分泌量が著しく低下してしまいます。また、口の中に食べ残しがあったり、細菌で覆われているとだ液が出にくくなり口腔内が乾燥します。

 

そこで、口腔ケアに取り組むことによってお口の中を清潔に保ったり、だ液腺を歯ブラシや刺激する、口腔体操に取り組むことでだ液の分泌を出やすくする効果が期待できます。ただし、糖尿病などの病気や降圧剤などの内服薬の副作用が原因で、だ液の分泌が低下し、口の中が乾いてしまうこともあります。このような場合はかかりつけ医に相談することをお勧めします。

 

▼だ液の分泌を促す方法に唾液腺マッサージがあります。唾液腺マッサージの方法については下記の記事をご覧ください。

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唾液の分泌を促し誤嚥予防や口腔内の洗浄作用、乾燥の予防に取り組んでいきましょう。

誤嚥性肺炎を予防する

口腔ケアの効果・目的の2つ目に「誤嚥性肺炎を予防」があります。

ご高齢者においては、食べ物が誤って気管に入ってしまったり、寝ている間に唾液を誤嚥してしまうことで誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こす可能性が高くなります。実際にご高齢者の死亡原因の第4位に「肺炎」があり、そのうち一番多いのが誤嚥性肺炎です。このような誤嚥性肺炎を予防する目的に行われるのが口腔ケアです。

 

口腔ケアは、口の中の細菌を減らすことで誤嚥性肺炎を引き起こす可能性を減らす効果が期待できます。また、日頃から歯磨きやうがいをすることで嚥下反射を促すことで誤嚥を予防することができます。

さらに、口腔体操や嚥下体操に取り組み、舌や頬の筋肉を鍛えることで飲み込む力を維持していくことも重要です。実際に食事を食べる際には、食事介助の方法や姿勢を注意することで誤嚥を予防することができます。


▼食事介助の方法について詳しく知りたい方はこちらの記事がお勧めです。

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口臭を予防する

口腔ケアの効果・目的の3つ目に「口臭の予防」があります。

口臭の原因は、口の中に歯周病菌などの細菌が大量に発生し、糖を分解する時に匂いが発生します。また、歯周病などの影響で出血がや膿がある場合に匂いが強くなります。口臭を予防する目的に行われるのが口腔ケアです。

 

口腔ケアを行い、口の中の歯周病やむし歯、舌の汚れ(舌苔)など綺麗にすることで歯周病菌を減らし、口臭を予防していくことができます。

虫歯・歯周病の予防する

口腔ケアの効果・目的の4つ目に「虫歯・歯周病の予防」があります。

口腔ケアの基本ですが、歯磨き・うがいを行うことで虫歯や歯周病を予防することができます。

 

ご自分では歯磨きができないご高齢者の場合、口腔ケアがしっかりとされていないと歯ぐきや舌に歯石が溜まってしまうことがあり、歯周病菌が多くなり炎症を引き起こします。また、歯周病は年齢とともに悪化しますが、痛みがないため気づいたときには症状がかなり進んでいて、歯を失う人も多くいます。

そのため、早期から正しい口腔ケアに取り組んでいくことで歯周病を予防し、ご高齢者がいつまでも自分の歯で食事を食べれるようにしていきましょう。

その他の口腔ケアの効果・目的とは

口腔ケアは、様々な研究でその効果が示唆されています。

 

口腔ケアの目的

▶︎ 認知症の予防

歯が20本以上ある人、食べ物を噛める人は認知症の発症率が低いとされています。最近では、歯周病がアルツハイマー病の悪化の因子となるといった研究結果も出ています。高齢者の口腔ケアは、認知症の予防目的として自分の歯でしっかりと食べ物を噛めるようにしておきましょう。

▶︎ 心臓病の予防

口の中の出血や粘膜に傷がつくと歯周病菌が血中に入り込み、動脈硬化の原因になるとされています。症状が悪化すると心筋梗塞や狭心症など心臓病を引き起こすリスクが高まります。心臓病の予防目的に口腔ケアに取り組み、歯周病菌を減らすように心がけましょう。

▶︎ 糖尿病の予防


歯周病菌が血中に入り込むことで血糖値を下げるインスリンの障害になる、炎症が糖尿病を悪化させることが示唆されています。糖尿病の予防目的に口腔ケアを行い、歯周病菌を減らしていきましょう。

九州大学広報室「歯周病菌のアルツハイマー様病態誘発に関与する原因酵素を特定〜歯周病によるアルツハイマー病悪化メカニズムの解明に期待〜」

平成29年11月7日アクセス

口腔ケアのやり方(手順)

これまでご紹介したように口腔ケアは、虫歯や歯周病の予防の目的だけでなく、だ液の分泌を促し、誤嚥性肺炎を予防するためにもとても大切なケアになります。

しかしながら、歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士など専門家から口腔ケアを正しく指導されたことがある方は少ないのではないでしょうか?
 

基本的な口腔ケアの手順

1)うがい

2)入れ歯や歯の清掃

3)粘膜の清掃

4)舌の清掃

5)歯磨き

6)うがい

口腔ケアをこれらの手順に沿って行います。より具体的な口腔ケアの方法について知りたい方はこちらの記事がオススメです。

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まとめ

これまでご紹介したように、口腔ケアはむし歯や歯周病の予防だけでなく、唾液の分泌、口臭の予防、如いては誤嚥性肺炎の予防をする効果が期待できるご高齢者の健康を守るために大切なケアの1つです。

ご高齢者がいつまでもご自身の口で食事が食べれること、お友達やご家族とお話ができることは「その人らしい充実した生活=QOL」を送るために重要な生活の動作です。

そのため、私たちスタッフが正しい口腔ケアの手順や効果・目的を理解して、介護状態になる前から口腔ケアに取り組んで行けるようにして行きましょう!

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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