清拭の手順と注意点について解説!

清拭の正しいやり方は知っていますか?私たち介護スタッフは、病気やケガで入浴やシャワー浴ができない方に対して全身の清潔を保持するために清拭(せいしき)を行います。今回は、清拭の目的や各部位ごとの清拭の手順・注意点についてまとめてご紹介します。看護・介護の介助の基礎知識として把握しておきましょう。

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清拭とは

清拭(せいしき)とは、入浴やシャワー浴ができない方に対して、適度の温度に温めたタオルで身体を拭くことで、全身の清潔保持や血液循環と新陳代謝の促進、爽快感やリラックス効果も期待できるケアの方法です。


清拭には、全身を拭く「全身清拭」と、手と足などの身体の一部を拭く「部分清拭」があります。さらに、手浴や足浴、陰部浴など身体の一部分をお湯にいれる「部分浴」などもあります。


▼入浴やシャワー浴が可能な場合は以下の記事をご覧ください。

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清拭の目的と効果について

身体を拭く清拭(せいしき)は、どのような目的・効果があるのか知っていますか?

清拭の手順についてご紹介する前に、目的と効果についてご紹介します。

清拭の目的

・全身状態の観察

・皮膚に付着する細菌、汚れを落とし、清潔を保持する

・皮膚機能を円滑に保ち、血液循環を良くする

・褥瘡などの皮膚トラブルの早期発見

・感染の予防

・ストレスの緩和、気分転換

・QOLを高める

清拭の効果

・皮膚の清潔を保持する効果

・皮膚トラブルの早期発生・悪化を予防する効果

・入浴での疲労感を最小限にする効果

・リラクゼーション効果

【参考論文】

宍戸 穂 Japanese Journalof Nursing Art and Science Vol. 15, No. 2, pp 172-182, 2016「清拭の統合的文献レビュー 」

【参考論文】

野村志保子, et al. "看護技術を支える知識に関する一考察: 全身清拭の文献を通して." 順天堂医療短期大学紀要 3 (1992): 1-12.

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清拭に必要な準備物品について

ではここからは、実際に清拭(せいしき)を行う場合の必要物品注意点清拭の手順についてご紹介していきます。まずは、清拭を行う前に以下の物品を準備しておきましょう。

清拭で準備する物品

●バスタオル
清拭中に身体を隠したり冷めないように身体を覆うため使用します。

●身体用タオル
腕や身体を拭くために使用します。

●フェイスタオル
顔を拭くために使用します。

●陰洗用タオルまたはガーゼ
陰部の清拭のために使用します。

●バケツ(洗面器)とお湯
随時、タオルを温めるための50~55℃のお湯をバケツに入れておきます。

●陰洗ボトル
陰部を洗い流すときに使用します。

●石けん
タオルに石鹸をつけて洗う場合に使用します。

●手袋とビニールエプロン
感染予防のためにスタッフが使用します。

●着替え(下着・上着、スボンなど)
清拭の際に着替えを行う際に使用します。

●保湿剤や塗り薬
清拭後に必要に応じてオイルやパウダーなどの保湿剤や医師から処方されている塗り薬をつける際に使用します。

清拭をする場合の注意点について

清拭(せいしき)を行う場合は、以下のポイントに注意しながらケアしていきましょう!

清拭の注意点

●清拭前に体調の確認、バイタルチェックをする
少なからず体力を消耗したり、寒さ・暖かさから血圧の変動がある場合があるため必ず確認しておくようにしましょう。

●食事の前後1時間は避ける
血糖値や血圧の変動が起こりやすい食事前後は清拭を避けるようにしましょう。

●室温は22~24℃程度に保つ
特に全身の清拭を行う場合は温度の差が出ないように室温も調整しておきます。

●プライバシーを意識する
特に胸や陰部の清拭は恥かしい部分です。拭く場所以外はバスタオルで隠すようにしましょう。

●必要物品を整えておく
必要物品が整っていないと温めたタオルが冷めたり、ご利用者を薄着のまま待たせることになります。事前に物品が整っているか必ず確認しましょう。

●清拭の手順を把握しておく
基本的な清拭の手順を理解していないと汚い部分を拭いたまま他の箇所を拭くことになるため手順を把握しておきましょう。また、タオルで拭く際は、円を描きながら拭く方法とらせんに拭く方法を理解しておきましょう。

●皮膚を傷つけないように注意する
ご高齢者は褥瘡や皮膚が弱くなっていることがあります。清拭を行う場合は、皮膚を傷つけないように関節を持ちゆっくりと持ち上げたり、優しく拭くようにしましょう。

清拭の基本的な手順について

清拭(せいしき)の手順は、各病院・施設によっても多少異なりますが、基本的には心臓に向けて拭いていきます。つまりは胸、お尻、肘、おへそ周りに関しては円を描くように拭いていくことになります。

清拭の手順

全身の清拭の手順は、以下の通りです。

▼上半身
①顔(顔・首)
②腕(両腕・脇の下)
③身体(胸・お腹)

▼下半身
④足(太もも・足先)
⑤背中

▼陰部
⑥陰部(お尻・陰部)

「顔」の清拭のやり方

それではここから、清拭の手順に従って清拭のやり方について詳しくご紹介していきます。まず初めに行うのは「顔」の清拭(せいしき)です。

顔の清拭では、顔専用のフェイスタオルを準備します。おでこ→目→頬・口→あご→耳の順に拭いていきます。

 

顔の清拭の手順

1)おでこからこめかみに向かって拭きます。

2)目頭から目尻に向かって拭きます。

3)頬から口角に向かって拭きます。

4)顎から首に向かって拭きます。

5)最後に耳周りも忘れずに拭きます。

「腕」の清拭のやり方

続いては、「腕」の清拭のやり方についてです。

腕の清拭では、心臓より遠い指から順番に心臓に向かって拭いていきます。

 

顔の清拭の手順

1)指先から手のひらに向かって拭きます。指の間を念入りに拭きましょう。

2)手首から肘に向かって拭きます。

3)肘の内側は円を描くように拭きます。

4)肘から脇の下に向かった拭きます。

5)脇の下は汚れが溜まりやすいので念入りに拭きます。

「身体」の清拭のやり方

腕の次は、「身体」の清拭を行なっていきます。

身体の清拭では、首→胸→お腹の順番に拭いていきます。清拭中は、手足などが冷えないようにバスタオルをかけてから開始するようにしましょう。

 

身体の清拭の手順

1)鎖骨の上、下を拭きます。

2)胸から脇に向けて拭きます。

3)胸は円を描くように拭きます。女性は、乳房の下に汚れが溜まりやすくなるので忘れずに拭きましょう。

4)お腹は、「の」の字を描くように時計回りに拭きます。

「足」の清拭のやり方

身体の次は、「足」の清拭(せいしき)を行います。

足の清拭では、拭く側の膝を立てて足首→太ももの方向に拭いていきます。その後に、膝の裏→足の指→足の裏の順番に拭きます。その際、上半身にバスタオルをかけてから開始することを忘れないようにしましょう。

 

足の清拭の手順

1)足首から膝に向かって拭きます

2)膝から太ももの付け根に向かって拭きます。

3)膝の裏を拭きます。

4)足の指を拭きます。

5)足の裏を拭きます。

▼足の清拭には、足浴もあります。足浴についてはこちらの記事がおすすめです。

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足浴の基礎知識として介助手順と注意点についてまとめました。介護スタッフの基礎知識としてご覧ください。

「背中」の清拭のやり方

次いて、「背中」の清拭のやり方ついてご紹介します。

背中の清拭が必要な方は、基本的に椅子に座っておくことが困難です。そのため、横向き(側臥位)になっていただき、軽く膝を曲げて姿勢を安定させます。その後に、お尻→腰→肩の順番に円を描くように拭いていきます。

また、お尻を拭く場合は、外側→内側に円を描くように拭くことに注意しましょう。

 

背中の清拭の手順

1)お尻は、外側から内側に円を描くように拭きます。

2)腰の中心から外に向かって拭きます。

3)肩は肩甲骨から外に向かって拭きます。

「陰部」の清拭のやり方

最後に、「陰部」の清拭についてご紹介します。

陰部の清拭は、非常にデリケートな部分のためできる限りご自身で拭いてもらうように促します。また、汚れが溜まっている部位でもあるので、陰部専用のタオルを使用するようにしましょう。さらに、汚れが多い場合は、陰洗など石けんで洗い流すことも忘れずに行いましょう。

 

陰部の清拭の手順

陰部の清拭は、男性・女性によって手順が異なります。

◎ 男性の場合

1)陰茎→陰のう→肛門の順に拭きます。

2)陰茎の包皮を伸ばし、間の汚れも拭きます。

◎ 女性の場合

1)恥骨→肛門へ向けて一方向に拭きます。

2)大陰唇・小陰唇を丁寧に拭きとります。

おわりに

今回は、清拭の目的ケアの手順注意点についてまとめてご紹介しました。

清拭は、一人ではお風呂に入ることが難しい患者様・ご高齢者様に行うケアの1つで、デリケートな部分でもあります。そのため、私たち看護スタッフ・介護スタッフの基礎知識として必要物品や介助の手順を理解し、スムーズな介助が行えるようにしておきましょう。

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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