2021年04月09日更新

高齢者向けボール体操 全14種類【椅子に座ってできる体操編】

高齢者にとってボール体操は、身体に負担が少なく、怪我をする心配がない安全で効果的な体操です。また、子どもの頃に手毬(てまり)などで遊んでいたため、馴染みのある道具でもあります。今回は、高齢者や車椅子の方でも安全で簡単に取り組めるように、イスに座ってできるボール体操を厳選して14種類ご紹介します。デイサービスや高齢者施設の体操として参考にしていただければ幸いです。



ボール体操の効果について

ボール高齢者

ボール体操は、ボールをつぶしたり、引っ張ったり、投げたり、回したりすることができるので以下のような様々な効果が期待できます。

■ボール体操の効果

・筋力アップの効果
・柔軟性アップの効果
・コントロールする力(協調性)が身につく
・認知症の予防の効果

高齢者は怪我や病気だけでなく、若い頃と比べて運動量が少なくなったり運動習慣が乏しくなる場合も多く、身体の衰えを感じることも多くなります。そこで、定期的な運動として、ボール体操がおすすめです。

高齢者が体操を続けることで筋力アップや介護予防ができるだけでなく、生活習慣病の予防やメタボ、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、フレイル、サルコペニアの予防にも効果が期待できます。さらに、今回ご紹介するボール体操は、衰えているご高齢者の身体に負担が少なく、怪我をすることが少ない道具です。

※ボール体操の他にもバランスボールの体操もご紹介しています。こちらも要チェックです。

ボール体操のポイント・注意点

ボールの「大きさ」と「硬さ」を要確認!

ボール体操 高齢者

まずは、高齢者が使うことを前提とした、ボールの「大きさ」と「硬さ」にしておくことが重要です!
ボールの大きさは、持ちやすく、掴みやすい「直径15cm〜20cm」のものを使いましょう。さらにボールを握りやすくするために、空気少し抜いて、軽い力で掴めるようにしておくと良いでしょう。ビニール製のボールであれば、100円ショップなどでも販売しています。
 

6つの注意点

ボール体操 高齢者

高齢者は人によってさまざまなな病気や怪我を抱えていることがあるため、ボール体操を行う前に以下を注意しておきましょう!

(1)運動の制限がないか医師や看護師に確認する
心臓疾患のある人、血圧の制限がある人、人工関節で禁忌肢位がある人などを把握しておきましょう。

(2)参加者の体調を確認する
体調、痛みの確認、血圧、脈拍を測定しておきましょう。

(3)準備体操をする
準備体操で体を動かす準備をするのと合わせて、体の痛みがないか、腕や足がどれくらい動くかを確認しておきましょう。

(4)ボールが落ちても拾わないように声かけをする
ボール体操中にボールを落としてしまい、急に拾おうとして椅子から転倒しないように事前に防止する呼びかけをしておきましょう。

(5)スタッフ配置を整える
参加者の人数や状態に合わせてスペースの確保やスタッフの配置などサポート体制を整えておきましょう。

(6)動悸や息切れがある場合は運動を中止する
ボール体操中に動悸や息切れ、顔色が悪い方はすぐに運動を中止し、看護師などのバイタル測定をしてもらうようにしましょう。

 

ボール体操【上半身編】

ではここから高齢者向けのボール体操をご紹介していきます。

まずは、上半身のボール体操からまとめてご紹介します。

ボール押しつぶし体操のやり方

ボール体操 高齢者

それでは、高齢者が椅子に座って楽しめるボール体操をご紹介していきます。
まず初めに、合掌をするようにボールを押しつぶす体操方法です。ボールを両手で挟んで持ち、手のひら全体でボールを7秒間つぶします。

 

【効果】
・胸、肩、二の腕の力を無理なく鍛えることができます。

【体操のポイント】
・腕を水平に保つように意識しましょう。
・ボールは胸の前で保持するようにしましょう。

【回数】
・7秒間×6〜10回

ボール引っ張り体操のやり方

ボール体操 高齢者


続いて、ボール引っ張り体操のご紹介です。
ボールを両手で挟んで持ち、指を使ってボールを7秒間引っ張ります。その際、手のひらがボールにつかないように意識しましょう。

 

【効果】
・指さきの力を鍛え、物を掴むのをムスーズにしてくれる効果が期待できます。

【体操のポイント】
・ボールは軽く空気が抜けた物を使用しましょう。
・ボールが落ちないように注意しましょう。

【回数】
・7秒間×6〜10回

ボール腰回し体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


続いてボールを使用した腰回し体操のご紹介です。
ボールをお腹に沿って回していきます。こちらのボール体操は、2人組などペアで取り組むことで高齢者のレクリエーションとしても楽しめます。小さな円を描くように動かし、少しずつ円を大きくしたり肩の高さで回りするのもオススメです。

 

【効果】
・肩や腕の柔軟性やトレーニングができるので五十肩の予防などに効果が期待できます。

【体操のポイント】
・お腹に沿って円を描くように回していきましょう。
・背中に回す際に、ボールが落ちないように注意しましょう。

【回数】
・右周り・左周り×5回転
 

ボール大回し体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


さらに、難易度をアップさせたのがボール大回し体操です。今度は、顔の正面で大きく円を描くようにボールを回していくことで肩や腕全体を動かす体操をすることができます。

 

【効果】

・肩や腰の柔軟性を高めることで着替えや洗体がスムーズにできるようになります。

【体操のポイント】

・顔の正面で大きく円を描くようにボールを回すように意識しましょう。
・イスの下にボールを通すことが難しい方は、膝の上を通しても構いません。

【回数】

・右周り、左周り×5回転

 

ボール太鼓叩き体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


ボール太鼓叩きの体操方法です。

膝の間にボールを挟み、ボールが落ちないように両手で交互にボールを叩きます。参加者全員で数を数えたり、隣の人のボールを叩くなどバリエーションを増やして楽しむこともできます。

 

【効果】

・内ももや腹筋を鍛え、体幹の安定性を高めることができます。

【体操のポイント】
・ボールが落ちないように軽く空気を抜いておくことをお勧めします。
・ボールを強く叩き過ぎたり、ボールが落ちないように注意しましょう

【回数】
・10回×3セット

 

ボール投げ体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


次に、ボール投げ体操のご紹介です。

ボールを頭上に投げて胸の正面でキャッチします。できるだけ高く投げたり、ボールを投げている間に手を叩いてキャッチする、肩を叩いてキャッチするなどバリエーションや難易度変えてチャレンジしていきましょう。

 

【効果】

ボールを投げる、キャッチするといったコントロールを鍛えることができます。また、ボールに対して素早く反応したり、俊敏性を鍛えることができます。

【体操のポイント】

・練習としてボールを真上にあげる運動から行いましょう。

・ボールが落ちやすいので転倒や転落には十分注意しましょう。

【回数】

・10回×3セット

 

ボール挟み体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


続いては、首のボール体操をご紹介します。

首の後ろでボールを押しつぶすことで首の後面の筋力アップと喉元の柔軟性を高めることができます。高齢者においては円背姿勢などの影響から首の筋肉が弱くなったたり動かしにくくなります。

食べ物を飲み込み難い方、剃りや整髪がしづらい方などにもオススメの体操です。ボールを活用して首回りをエクササイズしていきましょう。

 

【効果】

・喉元の柔軟性を高め、飲み込みをしやすくします

【体操のポイント】

・ボールが落ちないように軽く空気を抜いておくことをお勧めします。

【回数】

・7〜10秒間×6〜10回

 

ボール体操【下半身編】

ここからは、下半身の高齢者向けボール体操をまとめてご紹介します。

 

ボールかかとつぶし体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


ここからは、足や太ももなどの下半身を使ったボール体操をご紹介していきます。

ボールかかとつぶし体操では、靴を脱ぎ、足の裏でボールを10秒間押しつぶします。ボール体操のバリエーションとして、足の裏全体で押しつぶしたり、つま先だけでつぶしたりとボールを押す箇所を変えるのも良いでしょう。

 

【効果】

・膝を100度以上曲げると太ももの前(大腿四頭筋)を効果的に鍛えることができます。

・膝を80度以上伸ばすと太ももの裏(ハムストリング)を効果的に鍛えることができます。

・太ももを鍛えることが椅子からの立ち上がりがスムーズにできるようになります

【体操のポイント】

・ボールが転がってしまうので軽く空気を抜いておくことをお勧めします。

【回数】
・7〜10秒間×6〜10回

 

ボールうちももつぶし体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


続いては、内ももでボールをつぶす体操です。

ボールを太ももの間に挟み、7〜10秒程度押しつぶします。片麻痺の方の場合は、片手でボールを支えたり、介助者がボールを保持してあげるのも良いでしょう。

 

【効果】

・太ももの内側(内転筋)と腹筋を鍛えることで尿失禁予防や正しい姿勢の保持に効果が期待できます。

【体操のポイント】

・車椅子をご利用されている場合は、開脚幅に合わせてボールを小さいサイズまたは、空気を抜くなどして調整しましょう。

【回数】

・7〜10秒間×6〜10回
 

ボール付け根つぶし体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


ボールを股関節のつけ根でつぶす体操です。

ボールを落とさないように太ももをあげ、7〜10秒程度押しつぶします。足の付け根は、上半身と下半身を繋ぐため歩行に重要な筋肉です。最近、歩きがふらつきがあるなどのご高齢者におすすめのボール運動です。

【効果】

・股関節の付け根に付着する「腸腰筋」や「腹筋」の筋力を鍛え、安定した歩きを獲得する効果が期待できます。

【体操のポイント】

・足が高く上がらない方は大きいボールを使用するようにしましょう。

・ボールが落ちないように軽く空気を抜いておくことをお勧めします。

【回数】

・7〜10秒間×6〜10回
 

ボール転がし体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


続いて、ボール転がし体操のご紹介です。

靴を脱ぎ、足の裏でボールを前後、左右、円を描くなど転がしていきます。その際にボールが逃げないように適度に圧を加えながら足を動かしましょう。

 

【効果】

・足の裏を刺激し、皮膚の感覚(表在感覚)を鍛えることができます。

・関節の動かす感覚(体性感覚)を鍛えることで転倒予防に効果が期待できます。

【体操のポイント】

・膝に痛みが出ない範囲で動かしていきましょう。

・ボールがうまくコントロールできない方はボールを見ながらコントロールするように指導しましょう。

【回数】

・各10回程度

 

ボール体操【応用編】

では最後は、高齢者向けボール体操の応用編をまとめてご紹介します。

ボールドリブル×ジャンケン体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


続いて、ボール体操の応用編としてボールドリブル×じゃんけん体操をご紹介します。片手でドリブルをしながら、じゃんけん(グー・チョキ・パー)をしていきます。ご高齢者のレクリエーションとしては難易度が高い体操ですが、ぜひチャンレンジしてみてください。

 

【効果】

・2つの動作を同時に行うことで注意機能を鍛え、転倒予防に効果が期待できます。

・ドリブルは、ボールを捉える「動体視力」「目と手の協調」を鍛えることができいます。

・反転の手でじゃんけんをすることで「運動機能」と「認知機能」の賦活をし、認知症予防に効果が期待できます。

【体操のポイント】

・適度に跳ねるボールを使用するようにしましょう。

・ボールが転がった場合は、急に立ち上がったりしないように事前に指導しておきましょう。

【回数】

・左右×10回

 

※高齢者の頭の体操・脳トレを目的としたボール体操についてはこちらの記事もおすすめです。

二人組みでできるボール引っ張り体操のやり方

ボール体操 高齢者


ボール体操にはペアでできる方法もあります。

こちらの体操は、ご高齢者同士が対面に座り、ボールを引っ張り合う体操です。2人組や数人で体操を行うことでレクリエーションとして楽しみながら体操に取り組みことができます。ボール体操をゲーム感覚で楽しみたい場合はおすすめです。

 

【効果】

・指先や前腕の筋肉を鍛えることが握力アップに効果が期待できます。

・引っ張る力をコントロール能力を鍛えることができます。

【体操のポイント】

・ボールを引っ張る時は、手と背筋を意識しましょう。

・急激に引っ張らないように注意しましょう。

【回数】

・5〜10秒×6回

二人組みでできるボール回し体操のやり方

ボール体操 高齢者
 


こちらのボール体操は、ペアでできるボール回し体操です。椅子を背中合わせにセッティングする必要がありますが、先ほどと同様に介護現場のレクリエーションとしてボールリレーをしたりと高齢者同士でゲーム感覚で楽しむことができます。

 

【効果】

・肩や胸の筋肉を鍛え、五十肩を予防する効果が期待できます。

・体幹(腹筋群)を鍛え、着替えやトイレ動作をスムーズにする効果が期待できます。

【体操のポイント】

・背中を丸めず、背筋を伸ばしすように意識しましょう。

・お互いに声を掛け合いながらリズミカルにボールを回していきましょう。

【回数】

・5周程度行い、反対周りも行いましょう。

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ボール体操だけでなく運動プログラムの作成、機能訓練プログラムのマンネリ化にお悩みがあるデイサービスにおすすめです!

 

 

まとめ

ボール体操 高齢者

今回は、高齢者にオススメのボール体操を全14種類ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

デイサービスなどの高齢者施設でボール体操を楽しく効果的に行っていくには、馴染みのある音楽と合わせてボール体操を行ったり、参加者で声を掛け合ってリズムをとったり、テンポを上げて取り組んだりといろんなバリエーションにも挑戦してみてください。

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著者プロフィール

author

大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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