介助の種類と介助方法の総まとめ|介護スタッフの基礎知識

ご高齢者の介護・介助(ケア)を行う介護スタッフが知っておきたい介助の種類と基本的な介助方法を7種まとめてご紹介します。超高齢者を迎える日本においてご高齢者の介護は、他人事ではない問題になっているのではないでしょうか?ご高齢者が安心して、安全に生活できるように私たち介助スタッフが基本的な介助の知識を高めていきましょう。

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正しい介助方法を知ること

看護師や介護士などの介助スタッフは、日頃から立ったり座ったりすることができないご高齢者や患者様の介助(ケア)をしています。

日々の業務で患者様を持ち上げたり、支えたり、動かしたりしていると介助者側(スタッフ)の腰が痛くなったり、疲れてしまったりと体力の限界を感じます。

これらは介助の種類正しい介助方法・ポイントを理解するだけでも随分楽に介助できるようになります。また、ご高齢者が安心して、安全に生活できるようになるため、私たちスタッフが基本的な介助の知識を高めていく必要があるのです。

介助の種類について


ご高齢者が安心して、満足できる生活が送れるためには私たち介護スタッフがその介助方法を理解しておくだけでなく、介助者であるご家族も介助方法を理解しておく必要があります。ご家族にも介助のポイントを伝授できるようにさまざまな介助の種類を学んでいきましょう!

介助(ケア)の種類

●移乗の介助

●食事の介助

●口腔ケアの介助

●排泄(トイレ)の介助

●入浴の介助

●更衣(着替え)の介助

●歩行の介助

では、次章よりそれぞれの介助方法を手順・ポイントを踏まえてご紹介していきます。

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「移乗」の介助方法

それでは、まず移乗介助の方法についてご紹介していきます。

車椅子生活をしている方にとって、移乗は毎日何度も行う必要不可欠な動作です。移乗を安全で快適に行うためには以下の手順に沿って介助を行うようにしましょう。


【ベッド〜車椅子間の移乗介助の手順】

(1)ベッドまたは車椅子から足を床につけて座る

↓
(2)ベッドまたは車椅子に浅く腰掛け、足を手前に引く

↓
(3)ご高齢者の脇の下と腰を持つ・支える/ご高齢者は介助者を持つ

(4)介助者に引き寄せる

↓
(5)お辞儀をしながら立ち上がる

↓
(6)上半身や腰を中心に方向転換する


(7)お辞儀をするようにゆっくりと座る

↓
(8)膝裏が付くように深く腰掛け直す

 

▼移乗介助の応用編として「移乗介助の注意点」や「移乗介助が楽になる福祉用具」について下記の記事でご紹介しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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移乗介助の基本的な手順と注意点【介護初心者のための基礎知識】

「食事」の介助方法

続いて、1日に最低でも3回は実施する食事の介助方法についてご紹介します。

食事介助は、誤嚥を伴うためリスクに注意しなければならない難しい介助の1つです。食事介助をする場合は、食事中の姿勢や口に運ぶタイミングなどを重要に注意してケアを行うことがとても大切になります。

ここでは食事介助の中でも、麻痺ある場合の介助の手順をご紹介します。ご高齢者の状況に合わせて介助方法を選択してみてください。





【片麻痺の食事介助の手順】

(1)皿の下に滑り止めを敷して皿を安定させる

↓
(2)スプーンに食べ物を乗せやすいように、縁の角度がある皿を準備する

↓
(3)握りやすいように太柄のスプーンを準備する

↓
(4)口元に食べ物が運びやすいように長い柄のスプーンを準備する

↓
(5)足の裏を床につけ、つま先に体重を乗せることで正しい姿勢を意識する

(6)食物が気管に入らないように顎を引くように意識する

(7)姿勢が傾く方には、麻痺側にクッションや枕を設置する

↓
(8)唾液が出るように献立を自分の目で確認してもらう

(9)唾液量が少ない場合は、先にトロミ付きのお茶を口に含ませる

(10)誤嚥しないように一口量を守る

(11)咀嚼(そしゃく)や飲み込みがしやすいように非麻痺側の口に食べ物を運ぶ

(12)咽頭の挙上で飲み込みを確認してから次の一口を運ぶ


(13)念のため、麻痺側の口腔内に食物が残っていないか確認する


 

▼食事介助の応用編として「食事介助の注意点」や「症例別の食事介助のポイント」についても学んでみませんか?詳しくは下記の記事をご覧ください。

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食事介助の基本的な姿勢・注意点・症例別の介助ポイント【基礎知識】

「口腔ケア」の介助方法

食事介助と合わせて知っていただきたい介助方法に「口腔ケア」があります。

口腔ケアは、病気や怪我によってご自分で口の中を清潔に保つことができない方や高齢者が、次に病気を引き起こす可能性を防いでくれる(病気を予防する)大切なケアです。いつまでも自分の力で食事を食べれるということは、今後の人生をより良く生きるための重要な要素であり、家族や親戚、友人等との関わりの場としても生活満足感(QOL)を高めることができる大切なケアです。


【口腔ケアの手順】
(1)上半身が起きるように背もたれにタオルやまくらを固定して姿勢を正しく保つ

(2)唾液や水分で誤嚥しないように顎を引くように意識する

(3)手袋を装着する

(4)口を軽くゆすぐ

(5)口を大きく開け残っている歯、入れ歯、差し歯を確認する

(6)入れ歯の場合は、入れ歯を外して磨く

(7)歯の清掃をする

(8)粘膜の清掃はスポンジブラシなどを使用して優しく磨く(上アゴ・下アゴ・歯ぐき・唇の内側・ほほの内側・舌など)

(9)舌の清掃は舌苔(ぜったい)が付いていないか確認して奥から手前にやさしく擦り取る

(10)頬を左右に膨らまるように仕上げのうがいをする

※ただし、意識障害や麻痺がある場合は誤嚥をする可能性があるため、うがいを禁止されている場合があります。医師や看護師にうがいの有無を必ず確認しておきましょう。

 

▼口腔ケアの応用編として「口腔ケアの注意点」や「ポイント」について詳しく学んでみませんか?詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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口腔ケアの目的と手順・注意点【介護初心者の基礎知識】

「排泄(トイレ)」の介助方法

次に、トイレやおむつ交換などの排泄の介助についてご紹介します。

下の世話をしてもらうことは、ご高齢者においても誰しも嫌なことです。そのため排泄介助では、自尊心を傷つけないように配慮したり、できるだけ自分の力でトイレができるように環境を調整したり、水分摂取を促したりできるだけの介助者の配慮が必要となります。

排泄介助には、ポータプルトイレや尿器や便器を使用した方法などがありますが、今回はトイレでの排泄介助の手順についてご紹介します。


【トイレでの排泄介助の手順】
(1)尿意の訴えまたは時間でトイレ誘導します

(2)移動では、介助者が転倒時に手助けできる位置にいます

(3)ドアの開閉を促す

(4)自分でできることは自分でしてもらうように伝えます

(5)プライバシーに配慮して手早く介助するように心がける

(6)手すりを把持してもらいズボンの着脱を行います

(7)便座への着座はゆっくりと行います

(8)便座に座り体の傾きがないか、足の裏が床についているか確認します

(9)排泄が終わったら声をかけてもらうか、ナースコールを押してもらうように伝える

(10)転倒リスクや認知機能の低下がある場合は、カーテン越しやトイレ内で排泄を待つ(可能であればドアを少しだけ開けた状態にしてもらい、外で待つ)

(11)ゆっくりと排泄できるよう焦らせないように注意する

(12)清拭ができない場合は、素早く介助する

(13)プライパシーには配慮し、健康状態の確認のため排泄物をチェックする

(14)お辞儀をするように立ち上がりを促す

(15)ズボンを上げる

(16)排泄物を流す

 

▼排泄介助で「長引いてしまう」「頻尿や残尿感の訴えがある」「いつも失禁している」「トイレが狭く介助しにくい」といった悩みはありませんか?これらを解決する排泄介助のポイントは以下の記事でご紹介しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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排泄(トイレ)介助の基本的な手順と介助ポイント・注意点のまとめ

「入浴」の介助方法

医療や介護現場での入浴の介助は、決まった時間に多くの利用者様を誘導していくため時間との戦いになっているのではないでしょうか?そのため、入浴介助の手順を把握しておきましょう。


【入浴介助の手順】
(1)体調が悪くないかを確認する

(2)トイレを済ませておく

(3)必要物品を整える
(着替え、下着、バスタオル、ボディソープまたは石鹸、ボディタオル、保湿剤や軟膏、綿棒や爪切りなど)

(4)スタッフの服装を整える
(インナー、入浴介助用エプロン、長靴を使用する)

(5)浴槽にお湯を張り、浴室と脱衣所を温める

(6)脱衣所で椅子に座って脱衣介助を行う

(7)転倒に注意しながら浴室へ移動する

(8)お湯に慣らすように足元からゆっくりお湯をかける

(9)頭を洗う

(10)体をやさしく洗う

(11)お湯に入る
(お湯に浸かる方法は機械浴などもあります)

(12)脱衣所の椅子の座り体や頭をしっかり拭く
(椅子にタオルを引いておくとお尻の水分を拭き取ることができます)

(13)着衣の介助をする

(14)水分補給を促す

(15)保湿剤を塗ったり、爪きり、耳掃除を行う

入浴介助の注意点

入浴は浴室や脱衣所が濡れていることがあるので転倒には十分に注意しましょう。また、ご高齢者の皮膚は弱いため、入浴中に力を入れて洗ったり、手すりや壁にぶつけると内出血や皮膚剥離を起こすことがあるので注意しましょう。入浴後は、脱水や血圧が変動しやすくなるのでしばらくは椅子に座ったりと安静を保っておくように促しましょう。

▼ご高齢者に安全で快適に入浴をしてもらうためには、私たちスタッフはどのようなことに注意し、入浴の介助を行えば良いのでしょうか?入浴介助の注意点について以下の記事でまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。

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入浴介助の注意点とポイント|入浴用の福祉用具もご紹介【基礎知識】

「更衣(着替え)」の介助方法

更衣(着替え)の介助は、朝や就寝時、入浴時など日常的に行います。特に寝たきりの人の更衣(着替え)の介助を行う場合に難しいと感じることが多いのではないでしょうか?ここでは「上着の介助」と「ズボンの介助」に分けて行為介助の手順をご紹介します。


【更衣介助の手順】


▶︎ 前開きタイプの上着の更衣介助の手順

⑴ 必要物品を整える
着脱しやすい衣服、下着、塗り薬や貼り薬、タオルケットやブランケットなど


⑵ 衣類のボタンを外す

↓
⑶ 横向き(側臥位)にして、上になっている肩の衣服を外してから腕を脱がす

↓
⑷ 着替え用の服の上になっている腕に通す

↓
⑸ 着替え用の服を肩と背中にまで通す

↓
⑹ 仰向け(仰臥位)になり、汚れた服を反対の腕から外す

↓
⑺ 着替え用の服を反対の腕に通す


⑻ 前身ごろを合わせてボタンをとめる

↓
⑼ 背中のシワやたるみを伸ばす

 




▶︎ ズボンの更衣介助の手順


⑴ 必要物品を整える
ズボン、下着、靴下、タオルケットやブランケットなど

⑵ 横向き(側臥位)になり、お尻の下までズボンを下ろす

↓
⑶ 仰向け(仰臥位)になり、ズボンを交互にズラしながら脱がす


⑷ 仰向け(仰臥位)のまま、着替え用のズボンを足先に通す

↓
⑸ 左右交互に太ももまでズボンを上げる

↓
⑹ 横向き(側臥位)になり、片側のお尻までズボンを上げる

↓
⑺ 反対側に横向き(側臥位)になり、お尻までズボンを上げる

↓
⑻ お尻のズボンのシワやたるみを伸ばす

更衣介助の注意点

更衣(着替え)では、薄着になるため室温の調整を行なってから着替えるようにしましょう。また、肌着になるのが恥かしいと思われることも多いため、自尊心を傷つけないようにプライバシーに配慮しましょう。

▼着替えの介助で注意するポイントについて詳しく学んでみませんか?着替えの介助方法については下記の記事でまとめています。合わせてこちらもご覧くさい。

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更衣介助(着替え介助)の手順と注意点|介護初心者の基礎知識

「歩行」の介助方法

歩くときにふらついて転倒してしまう危険性がある方が、安全に心身して歩いてもらうためには私たちが歩行介助の正しい知識を持っておく必要があります。

歩行介助の方法には手引きや歩行器など歩行形態に合わせていくつかの介助方法があります。ここでは歩行介助でよくある杖での歩行介助の手順をご紹介します。


【杖の歩行介助の手順】

(1)杖を肘が30度程度曲った長さに調節する。

(2)介助者はご高齢者が杖を持つ側と反対側、やや後方に立つ。

(3)ご高齢者の「脇の下」と「肘」を支えるように軽く握る。

(4)介助量が多い方の場合は「杖→患側→健脚」の順で歩く。

(5)介助者は、ご高齢者が踏み出す足と同側の足を後方から踏み出す。

(6)ご高齢者の歩幅、歩行ペースに合わせてゆっくりと歩く。

 

▶︎杖以外にもご高齢者の状態や屋外・屋内などによって歩行器やシルバーカーなどの歩行介助もあります。その他の歩行介助の種類と方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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歩行介助の方法と注意点|初心者でもわかる8つの介助方法【まとめ】

まとめ

今回は、介護・介助の基本的な知識として「移乗介助」「食事介助」「口腔ケア」「排泄介助」「入浴介助」「更衣介助」「歩行介助」をまとめてご紹介しました。

特に、ご高齢者に対する介助方法は、様々な病気や身体状況によっても異なりますが、まずは介助の基本的な手順を理解することが重要です。

これから2025年に向けて高齢化率が高まります。ご高齢者が安心して、安全に生活できるように私たちが介助の基礎知識を高めて行きましょう!

さまざまな介助方法

【入浴の介助】

入浴介助の注意点とポイント

【清拭の介助】

清拭の手順と注意点

清拭の効果・目的と最適な温度

【足浴の介助】

足浴の手順と注意点

足浴の効果と最適な温度

【食事の介助】

食事介助のコツと注意点

【口腔ケア】

口腔ケアの手順と介助方法・注意点

【着替えの介助】

更衣介助(着替え介助)の手順と注意点

【移乗の介助】

移乗介助の手順と注意点

【歩行の介助】

歩行介助の方法と注意点

【まとめ】

介助の種類と介助方法まとめ

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著者プロフィール

author

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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