リハビリ特化型デイサービスとは|違いやサービスの特徴・運営メリットまで

介護保険法

通所介護以外

更新日:2024/04/09

通所介護には「リハビリ特化型デイサービス」という形態があり、身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練(リハビリ)を目的とした利用の需要が高まっています。通所介護は今回は、そんなリハビリ特化型デイサービスと普通のデイサービスの違い、特徴、特化型デイサービスの問題点や区市町村の総合事業通所型サービスの介護予防の課題についてご紹介します。

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リハビリ特化型デイサービスとは

リハビリ特化型デイサービスとは、近年の身体機能の維持や回復を目的とした高齢者のニーズにより、デイサービスの特徴を明確にするため「リハビリ特化型デイサービス」や「機能訓練型デイサービス」などと名称をつけてデイサービスを運営しているものです。

リハビリ特化型デイサービスでは、主に介護予防を目的とした運動や体操など身体機能訓練や利用者が満足する生活ができるように日常生活の訓練を提供しています。

通常のデイサービスとの大きな違いは、理学療法士や柔道整復師などの機能訓練指導員が常駐していることが多く、一人ひとりの身体能力に合わせて個別機能訓練を用意している点です。

また、リハビリ特化型デイサービスの多くが3〜5時間といった短時間で運営していること、入浴サービス・食事サービスがないこともその特徴の1つです。

このようなリハビリ特化型デイサービスは、こんな方にオススメです。

  • 食事やトイレ介助など身体的な介護が不要な方
  • 専門職による機能訓練(リハビリ)を受けたい方
  • 体力や筋力をつけていきたい方
  • 介護予防に取り組みたい方
  • 短時間で集中的に機能訓練に取り組みたい方

【リハビリ継続理由のトップ5】

1位:身体機能を治したい:78.8%
2位:筋力や体力を付けたい:75.4%
3位:歩けるようになりたい:60.8%
4位:排泄などの動作ができるようになりたい:55.9%
5位:職員やなじみの仲間に会いたい:54.7%

参考:厚生労働省 リハビリテーションにおける医療と介護の連携に関する調査研究(平成29年10月19日アクセス)

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デイサービスとリハビリ特化型デイサービスの違いとは

介護保険法でいう「通所介護」のことを一般的に「デイサービス」と言います。

デイサービスは利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練などを提供するものとなっています。デイサービスは、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。 

リハビリ特化型デイサービスと普通のデイサービスの違いは、リハビリ特化型の提供サービスがマシントレーニングや機能訓練が中心になっている点です。入浴や食事というサービスは最小限もしくは行わないサービス内容になっており、リハビリのために通う施設と考えておくとよいでしょう。

「通常のデイサービス」と「リハビリ特化型デイサービス」の特徴とサービス内容を比較してみてみましょう。

一般的なデイサービスの特徴リハビリ特化型デイサービスの特徴
特徴・食事、入浴、機能訓練、レクリエーション等などのサービスを提供する・利用者の日常生活のケアや家族のレスパイト目的などが主となる・日常生活のケアも行うが身体機能の向上を目的としてサービスを提供する・機能訓練指導員が中心となって、歩行訓練やマシントレーニングなどの訓練が主となる
提供時間7時間〜9時間で運営していることが多い・3時間〜5時間を午前午後の2回転で利用者様を分けて運営していることが多い

リハビリ特化型デイサービスという名称は、正式なものではありません。また必ずしもリハビリの専門家である理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が在籍しているわけではありません。

個別機能訓練を算定している通所介護だけで見ると、理学療法士の在籍率が32.0%となっています。

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リハビリ特化型デイサービスの1日の流れ

リハビリ特化型デイサービスを利用する場合、どのような1日の流れとなっているのでしょうか?

サービスの主な内容は、事業者によっても異なりますが、今回は短時間(3〜5時間)のリハビリデイサービスのスケジュールを事例にご紹介します。

短時間のリハビリ特化型デイサービスの流れ

送迎 自宅まで送迎車で迎えがあります。
体調管理 体温・血圧・脈拍を測定し、当日の健康状態を確認します。
準備体操 準備運動で体をほぐします。
機能訓練 マシントレーニングなどによる運動や機能訓練指導員による個別の運動指導やストレッチなどのプログラムを行います。
休息 好きな飲み物を飲みながら随時休憩をします。
送迎 自宅まで送迎車でお送りします。

リハビリ特化型デイサービスの訓練内容

リハビリ特化型デイサービスで行われる訓練にはどのようなものがあるのでしょうか?
それぞれの事業所によってもその特徴は異なりますが、機能訓練の内容を一部ご紹介します。

【訓練内容の事例】

  • 筋力トレーニング
    レッグプレスやエルゴメーターといったマシンを使用して手足に負荷をかけて筋力アップを目指します。
  • ストレッチ
    肩や腰などの関節を柔らかくするストレッチ運動をすることで怪我の予防や運動する準備体操を行います。
  • 持久力・体力トレーニング
    平行棒を使用して美しい歩き方や、ウォーキングマシーンを使用した体力アップを目指したトレーニングを行います。
  • バランストレーニング
    バランスマットなどの道具を活用して不整地歩行など不安定な環境下でもバランスを保てるようにトレーニングを行います。
  • リラクゼーション
    足浴やメドマー、マッサージチェアを活用して全身をリラックスしたり、足のむくみを予防、血行の循環の改善を目指します。
  • 個別機能訓練
    国家資格を取得した理学療法士、柔道整復師、看護師などに直接運動指導・生活指導を受けたり、痛みの改善などの施術を受けることができます。
  • 身体能力の測定
    筋力測定、握力の測定、バランス能力など専門家による定期的な身体能力のテストを行います。 

リハビリ特化型デイサービスの利用料金

リハビリ特化型デイサービスのご利用料金は、基本的に通常のデイサービスと同様です。ここでは、通常規模のデイサービスの3〜4時間の基本料金(2024年3月時点)を紹介します。

【リハビリ特化型デイサービスの利用料金】

例)通常規模、3〜4時間未満の場合
 自己負担割合1割・概算のため1単位を10円として計算(単位と料金同じです)

  • 要介護1:368円
  • 要介護2:421円
  • 要介護3:477円
  • 要介護4:530円
  • 要介護5:585円

※ただし、食事やオムツ交換がある場合は別途自己負担となります。また、入浴加算や個別機能訓練加算など別途に加算費用がかかる場合があります。
※時間帯やお住いの地域(市区町村)などによって若干料金が異なります。詳しくは、ご利用予定の事業所にお問い合わせください。

リハビリ特化型デイサービスの利用手順

リハビリ特化型デイサービスや通常のデイサービスを利用できる方は、要支援1・2、要介護1〜5の介護保険(要介護認定)をお持ちの方が対象となります。

サービスを利用するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 担当のケアマネジャーに相談
    介護保険サービスを利用する場合は、担当のケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。まずは、地域にどのようなリハビリ特化型デイサービスがあるのか相談することでご紹介していただけます。
  2. 気になるデイサービスを見学
    リハビリ特化型デイサービスは、事業所によってもサービス内容に特色があります。パンフレットやケアマネジャーの紹介で気になるデイサービスがあれば、体験利用や見学ができないか相談してみましょう。
  3. ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
    リハビリ特化型デイサービスが決まったら週に何回利用するのか、その他のサービス利用との兼ね合いを担当のケアマネジャーと相談の上、ケアプランを作成してもらいます。
  4. リハビリ特化型デイサービスと契約
    デイサービス事業所のスタッフからサービス利用の説明を受けた上で契約をします。
  5. サービス利用開始
    リハビリ特化型デイサービスのサービス利用を開始します。

リハビリ特化型デイサービスの運営メリット

リハビリ特化型デイサービスは、超高齢者社会の中で身体機能の回復や維持を目的とした利用者のニーズとともに、その数を増やしてきました。

ここでは、リハビリ特化型デイサービスを運営する場合のメリットについて解説します。

【リハビリ特化型デイサービス運営のメリット】

  • 事業所の売りが明確になる(事業所ブランディング)

リハビリに特化したデイサービスとして、その特徴を明確に示すことができます。地域の高齢者やその家族、ケアマネジャーに事業所の特徴を売り出すことができるので利用者の獲得につながりやすくなるでしょう。

  • 機能訓練指導員による質の高い機能訓練プログラム(運動)を提供できる

リハビリ特化型デイサービスには、機能訓練指導員が常駐していることが多いです。運動や体操に特化した専門家が在籍していることで質の高い機能訓練が提供でき、事業所にとっても利用者にとってもメリットとなります。

  • 個別機能訓練加算が算定できる

通所介護で機能訓練指導員を配置している事業所では、個別機能訓練加算を算定することができます。デイサービスの運営する上で介護報酬が増えることは大きなメリットです。

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リハビリ特化型デイサービスと区市町村の総合事業の通所型サービス

2017年度には、要支援の認定を受けている方と事業対象者の方の通所型サービスについては、介護保険給付のサービスから区市町村の自治体が指定監督する事業へ移管されました。

これにより、区市町村の福祉の実態に合わせて提供内容が調整できるようになり、その中で運動に特化したデイサービスを推奨している自治体も増えました。要支援の方など、入浴や食事が自分で行える方にとっては、介護予防の観点からも効果的な運動を実施することが健康寿命の延伸に成果を出す可能性が高いです。通所介護で提供されるサービスの多様性を尊重しつつ、介護保険サービスや総合事業としてどこまでを認めていくかの線引きや、類似する他のヘルスケアサービスとの利用料の差などに課題感は残っています。

リハビリ特化型デイサービスとして、介護保険の方針に沿って提供していくならば、生活機能や自宅での生活に着目して効果的な介入を行なっていく必要があります。

これからも需要が見込まれるリハビリ特化型デイサービス

デイサービスの介護報酬は、「個別機能訓練加算」や「生活機能向上連携加算」「ADL維持等加算」などの高齢者のリハビリにおける加算や生活レベルを維持・改善したデイサービスにインセンティブを与える仕組みが増えてきています。

高齢化が進む日本において、要介護者の生活レベルを維持すること・予防に取り組むことこそ価値が高いと考えられます。自立支援を強化するリハビリ特化型デイサービスは、今後ますます需要が見込まれる施設です。

介護度の維持・改善を目的としたリハビリ特化型デイサービスは、まだ十分な受け皿があるとは言えません。だからこそ、これから施設展開を考えている人にとってチャンスがある運営形態と言えるでしょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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