介護保険とは?知っておきたい介護保険制度のしくみの基礎知識

介護保険とは、いざ介護が必要になった場合に必要な治療や介護サービスのご利用にかかる費用を援助してくれる保険です。皆さんは介護保険がどのような仕組みになっているかご存知でしょうか?今回は、これから介護保険の利用をお考えの方に、介護保険のしくみや介護保険申請、介護サービスにかかる費用とサービスの種類についてまとめてご紹介します。

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介護保険とは

介護保険とは、少子高齢化や核家族化、老老介護などの社会的背景をもとに高齢者が安心して住み慣れた地域で生活が送れるよう、介護を社会全体で支えあう仕組みとして2000年(平成12年)4月より施行された社会保障制度です。


介護保険の制度は、1995年から介護保険制度を導入していたドイツをモデルにしたといわれており、個人の介護費用の負担を減らすことを目的に導入されました。現在では、介護が必要な高齢者の「自立支援」を促進するためにも活躍しています。

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介護保険のしくみ

まず介護保険について、3つの基本的な仕組みをご紹介します。
 

介護保険料のしくみ

介護保険料は、基本的に65歳以上では年金から納め、40歳以上65歳未満までは加入している医療保険料と一括して決まられた介護保険料を納めます。
介護保険は、市区町村が運営しているため国民健康保険加入者や65歳以上の人は住んでいる地域によって介護保険料が異なります。

介護保険サービス費用のしくみ

介護保険サービスの費用は、利用者の年収によって負担額が1割または2割となります。残りは介護保険料(公費)として賄われます。

介護保険加入者のしくみ

介護保険の加入者は、年齢により2種類の被保険者に分かれます。「第一号被保険者」は65歳以上の人で、「第二号被保険者」は40歳以上65歳未満の対象となる疾病(特定疾病)が原因で要介護認定を受けた人です。

第1号被保険者(65歳以上の方)
満65歳になる誕生前月に「介護保険証」が交付されます。介護保険証は、要介護認定を申請するときに必要となり、それぞれの介護度に合わせた介護保険サービスを使用することができます。
第2号被保険者(40歳~64歳の方) 40歳以上65歳未満の方で対象となる特定疾患(16種類)が原因で要介護認定を受けた場合に、介護保険サービスを利用することができます。

特定疾病の16種類
・末期がん
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

介護保険の加入者数

介護保険制度の被保険者

厚生労働省のデータによると、介護保険の被保険者数は以下の通りとなっています。

【平成25年度】
◎第1号被保険者(65歳以上の者):3,202万人
◎第2号被保険者(40歳〜64歳までの医療保険加入者):4,247万人

平成25年度の時点では、第1号被保険者の要介護・要支援認定者数は「569万人」で、第1号被保険者全体に対して「17.8%」となっています。


【平成29年度7月末】
◎第1号被保険者の加入者(65歳以上の者): 3,457万人

平成29年度では、第1号被保険者の要介護・要支援認定者数は「638,3万人」で、第1号被保険者全体に対して「18.0%」となっています。これらのことからも65歳以上の第1号被保険者の加入者の全体の母数の増加とともに要介護・要支援認定者数も増加していることがわかります。

厚生労働省 老健局 総務課 「平成27年度 公的介護保険制度の現状と今後の役割」、平成29年10月11日アクセス

介護保険サービスを使用する方法

 介護サービスの利用手続き

誰でもすぐに、この介護保険サービスを受けられるわけではありません。介護認定の手続きや申請が必要となります。 ここでは、介護保険サービスの手続きと申請の流れについてご説明します。


介護保険サービスを受けるには、住んでいる市区町村の窓口に「要介護認定」の申請し、利用者の介護状態がどの程度なのかチェックしてもらうことで各レベルに合わせた要介護認定を受けることができます。申請から判定が通知されるまではおおよそ30日程度かかります。

要介護認定は、要支援1〜2・要介護1〜5の7段階で判定され、利用者の介護状態に合わせた要介護認定が受給されることで必要な介護保険サービスを利用することができるようになります。


要介護認定の流れ
お住いの市区町村の窓口に申し込んだ後、市区町村の担当者より「聞き取り調査」と「主治医意見書」を基に1次判定があります。その結果をもとに介護認定審査会で審査を行います。

1次判定
 市区町村の担当者による「聞き取り調査」と「主治医意見書」を基に、コンピューターが介護にかかると想定される時間(要介護認定等基準時間)を推計して算出、7つのレベルに分類します。

▶︎要介護認定でチェックされる主な項目
⑴身体機能・起居動作
⑵生活機能
⑶認知機能
⑷精神・行動障害
⑸社会生活への適応
2次判定
 1次判定の結果をもとに、介護認定審査会で審査を行い、要介護度を判定する。

要支援・要介護度の7つの認定区分とは

要支援・要介護認定の結果に応じて、1ヵ月間で利用できるサービスの量(支給限度額)と利用できるサービスの種類が決まります 。要介護認定の各区分の目安として以下をご参照ください。

要支援1 基本的な日常生活を送る能力はあるものの身の回りのことに対して一部支援が必要となる状態。
要支援2 今後、要介助状態になることを予防する必要がある状態。具体的には、椅子からの立ち上がりや歩行などに若干の安定感があるため入浴などに配慮が必要。日常生活には支障がない程度の物忘れがある。
要介護1
 日常生活に若干の介助が必要となる状態。具体的には椅子からの立ち上がり時や歩行などに不安定感があるため入浴、排泄に一部介助が必要となる。また、高次のIADL(手段的日常生活動作)の能力が低下している状態。能力認知機能面で物忘れなどがあり、理解力の低下がある。
要介護2 要介護1より介護が必要となる状態。具体的には立ち上がりだけでなく、起き上がり、歩行に部分的な介助が必要となる。排泄、入浴、着替え、または料理、洗濯などに部分的な介助が必要となる。認知機能の低下があり、記憶があいまいだったり、他者との円滑な会話が困難となる。
要介護3 要介護3
要介護2の状態からさらに立ち上がりや歩行において自分では行うことができず、ADL(日常生活動作)およびIADL(手段的日常生活動作)が著しく低下しているため全般的に介助が必要となる状態。認知機能の低下があり、自分の生年月日や名前が分からなくなる。
要介護4 要介護3より著しく身体能力の低下があり、日常生活のほとんどのことを介助なしに行うことができない状態。意思疎通が取れないことが頻繁にあり、日常生活に支障をきたすことが多い状態。
要介護5 要介護4よりさらに基本的な動作が困難になり、いわゆる寝たきり状態。すべての日常生活に全面的な介助が必要となる状態。言葉や物の理解も著しく低下し、意思の疎通が完全に困難な状態。

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介護保険サービスの費用について

介護保険サービスを利用する場合は、1ヵ月間で利用できるサービスの量(支給限度額)が、要支援1〜2・要介護1〜5の7段階別に定めされています。基本的にサービスの費用は、自己負担額が「1割」ですが、2015年8月より、65歳以上の被保険者のうち一定以上の所得がある方については自己負担額は「2割」となっています。


介護保険サービスの費用一覧

  支給限度額 自己負担1割 自己負担2割
要支援1 50,030円 5,003円 10,006円
要支援2 104,730円 10,473円 20,946円
要介護1 166,920円 16,692円 33,384円
要介護2 196,160円 19,616円 39,232円
要介護3 269,310円 26,931円 53,862円
要介護4 308,060円 30,806円 61,612円
要介護5 360,650円  36,065円 72,130円

※支給限度額は全国一律です。


介護保険サービスの費用の注意点
※支給限度額を超えるサービス利用分の費用は、自己負担が10割(全額)となります。
※ご利用者の市区町村により区分支給限度額が異なる場合があります。

介護保険で受けられるサービスの種類

要介護認定を受けた後にはどのような介護保険サービスを利用することができるのでしょうか?



介護保険で受けられるサービスは、大きく分けると以下の通りです。




居宅介護サービス 訪問サービス

訪問介護・訪問看護・訪問入浴介護・居宅介護支援など
利用者が住んでいる居宅にホームヘルパーや看護師が身体介護、ケアを行います。

通所サービス 
通所介護・通所リハビリテーションなど、ご
利用者に介護事業所に通っていただき介護サービスを提供します。


短期入所サービス 


短期入所生活介護等など


、ご家族が不在の間、短期間だけ施設に入居することができます。
居宅介護支援 利用者様やそのご家族が望む介護保険サービスが利用できるようにケアマネジャーや保健師などがケアプラン(居宅サービス計画)を立て、各サービス提供者に連絡調整してくれます。



施設サービス ご
利用者が施設入所を希望した場合、「指定介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「指定介護療養型医療施設」の3種類のいずれかに入所することができます。



地域密着型介護サービス 
看護小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)夜間対応型訪問介護など、ご利用者が住み慣れた地域・在宅で生活ができるように訪問・通所・居宅のサービスを利用することができます。

対して、民間が行うインフォーマルな「保険外サービス」も存在します。

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この記事のまとめ

介護保険のしくみについてご理解いただけましたか?


介護保険は、2000年(平成12年度)に介護保険方が施行されて以来、6年または3年に1度の法改正を行われています。超高齢化が進む日本では、介護保険が財政を圧迫しているため、今後も介護保険の仕組みや料金体系は必要に応じて変わっていくことは明らかです。
 
これから両親の介護をする人、介護を受ける人にとってこの介護保険はとても重要な保険となります。いざというときにスムーズに介護保険を活用できるように介護保険のしくみを理解していただけると幸いです。

 

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著者プロフィール

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作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事。現在は、通所介護事業所(デイサービス)を中心に介護の経営および現場指導に取り組んでいる。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの専門的な資格を生かし、高い技術を介護現場に普及している。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせた実績の持ち主。

〜筆者の想い〜
平成27年度の介護報酬マイナス改定から介護保険制度は大きく変化しようとしています。特に、平成30年度の介護報酬改定後は、行政の実地指導・監査が厳しくなることが予想されます。そこで、介護経営の基本となる「介護保険法」と「介護サービスの種類」「介護報酬改定の動向」について解説します。

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