ICF分類の書き方とは?事例を通してICFの書き方を解説!

病院や介護現場のスタッフの方でICFの書き方がわからないと思っている方はいませんか?ICFは、人間の全体像を捉える考え方で「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」から構成され、複雑に絡み合うように人の「生活機能」と「障害」を捉えています。医療や介護現場で働く看護師やリハビリスタッフなどが患者様・ご利用者の課題を抽出しプランを考える上で重要となるICF分類の各項目の書き出し方について紹介します。

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ICFの特徴とは

ICFの図

ICFの特徴は、このように「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」から構成され、複雑に絡み合うように人の「生活機能」と「障害」を捉えています。

ICFの特徴

○プラス面を重視している

○6つの要素の相互作用を重視している

○環境因子や個人因子などの視点と取り入れることで生活の全体を捉えている

○中立的な用語を用いているため共通言語として役立つ

--参考論文--
上田敏. "新しい障害概念と 21 世紀のリハビリテーション医学 ICIDH から ICF へ." リハビリテーション医学 39.3 (2002): 123-127.

[出典]厚生労働省「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」より

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ICFの「健康状態」の書き方

それではICFの各分類の書き方についてご紹介していきます。

まず、ICFにおける「健康状態」とは自分が抱えている病気や怪我、変調などを意味します。その他にも肥満、高血圧、妊娠、ストレスの状態なども含みます。

健康状態の項目を書く場合は、患者様の病名や合併症、既往歴を記載します。さらに、病気の経過や状態についても詳しく記載すると本人の健康状態を詳しく理解することができます。

健康状態の記載例

○疾患名

・変形性ひざ関節症:人工膝関節の術後60日経過しており痛みは自制内の状態

○既往歴

・関節リウマチ:朝方のこわばりなど増悪と寛解を繰り返している状態

・高血圧症

ICFの「心身機能・身体構造」の書き方

次に、ICFの「心身機能・身体構造」の書き方をご紹介します。



ICFにおける「心身機能・身体構造」とは、生命の維持に直接的につながるもの自分の体の機能を指します。心身機能は、手足の動き、視覚・聴覚、精神面の状態を記載し、身体構造は、手足の関節の構造、靭帯、胃・腸、皮膚などの体の部位の状態を記載します。

リハビリテーションのスタッフであれば関節可動域や筋力、心肺機能などの評価をして得られた情報を記載することになります。看護師であれば、皮膚の状態や精神状態などの評価をして得られた情報を記載します。

ICFの各項目を記載する場合は、「プラス面」と「マイナス面」に分けて記載すると全体像をして何が問題があって、何ならできるのかを把握することにつながります!

ICF心身機能・身体構造の記載例

▶︎プラス面
・認知機能:見当識に問題なし
(MMSE28/30)
・精神状態:不穏なく穏やかに過ごしている
・皮膚状態:良好

▶︎マイナス面
・関節可動域:右膝を伸ばす際に制限あり
(評価:右膝関節屈曲125° 伸展−20°)
・筋力テスト:右膝を伸ばす力が低下
(MMT:右膝関節屈曲4 伸展3)
・痛み:荷重時痛あり
(VAS:60)

※ただし、専門用語を使用してしまうと他のスタッフが理解できなくなるため共通言語を利用することをお勧めします。

ICFの「活動」の書き方

ICFの「活動」の書き方をご紹介します。


ICFにおける「活動」とは、主に日常生活を営むために必要な食事や着替え、入浴などのADLや料理や洗濯などのIADLなどがあります。また、仕事や遊び、スポーツなどもあります。

活動を記載する場合は、その程度自分でできるのかを具体的に書いておくと良いでしょう!

ICF活動の記載例

▶︎プラス面
・食事:普通食で箸を使用して自立
・更衣:自立
・トイレ動作:オムツを使用して自立

▶︎マイナス面
・入浴:シャワー浴で洗体に一部介助を要す
・移動:つえで自室内のみ自立
・料理:非実施
・洗濯:全介助

ICFの「参加」の書き方

ICFの「参加」の書き方についてご紹介します。


ICFにおける「参加」とは、主に地域・家庭の中での何らかの役割を指しています。家庭内の家事の役割の他にも地域行事の参加、地域の囲碁クラブ、趣味・スポーツへの参加などがあります。

退院後の在宅生活であれば、この参加を記載することは比較的書きやすいかと思いますが、病院に入院の方はこの参加の項目を記載することが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?その場合の記載例を下記にご紹介します。

ICF参加の記載例

・隣のベッドの方と自らお話されている

・病棟やデイルームでのレクリーションに参加される

・車椅子で中庭の散歩に行くなど

ICFの「環境因子」の書き方

続いて、ICFの「環境因子」の書き方についてご紹介します。


ICFにおける「環境因子」とは、「物的環境」「人的環境」「社会制度的環境」の3つの環境があり、この3つに沿って環境因子を記載すると良いでしょう。

ICF環境因子の記載例


◎物的環境
・自宅に階段や段差がある
・自宅前の道路の交通量が多い
・最寄りの交通機関などにエレベーアー、手すりがある


◎人的環境
・家族構成が5人家族(本人・夫・息子・嫁・孫)で生活援助が依頼できる
・近隣に友人あり
・職場のスタッフとの交流が深い

◎社会制度的環境
・日本国憲法などの法律
・医療保険あり
・介護保険あり(要介護2)など

 

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ICFの「個人因子」の書き方

ICFの「個人因子」の書き方についてご紹介します。

ICFにおける「個人因子」とは、本人の年齢、性別、BMI、学歴、職歴、職位、モチベーションや情緒などを記載します。

ICF個人因子の記載例

・60代後半

・女性

・66kg

・157cm

・高卒

・専業主婦

・障害受容良好

・自宅復帰への意欲強い

・頑張り屋など

事例を通してICFを図でまとめてみよう!

ICFの事例の図

では、これまでご紹介してきた事例(記載例)からICFを図でまとめてみましょう!

ICFを考える場合は、頭の中だけは整理することが難しいため、このように図に症例の全体像をまとめる作業をしましょう。

 

まずは、紙にICFの6つのエリアに分けて記載します。その上で症例の情報収集した内容から「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」をそれぞれ記載していきます。

ICFの健康状態


○疾患:右変形性膝関節症術後

○既往歴:関節リウマチ、高血圧症

《全体像》
右変形性膝関節症に対して全人工膝関節置換術(TKA)を施行。術後60日経過しており痛みは自制内で杖で歩行できる状態。既往の関節リウマチは、朝方のこわばりなど増悪と寛解を繰り返している状態だが日常生活には支障なし。高血圧症は内服管理にて著変なし。家庭での役割として家事(料理・洗濯)があり、本人もIADLの自立を希望している。

ICFの心身機能・身体構造

○プラス面
・認知機能:見当識に問題なし
(MMSE28/30)
・精神状態:不穏なく穏やかに過ごしている
・皮膚状態:良好

○マイナス面
・関節可動域:右膝を伸ばす際に制限あり
(評価:右膝関節屈曲125° 伸展−20°)
・筋力テスト:右膝を伸ばす力が低下
(MMT:右膝関節屈曲4 伸展3)
・痛み:荷重時痛あり
(VAS:60)

ICFの活動

○プラス面
・食事:普通食で箸を使用して自立
・更衣:自立
・トイレ動作:オムツを使用して自立

○マイナス面
・入浴:シャワー浴で洗体に一部介助を要す
・移動:つえで自室内のみ自立
・料理:非実施
・洗濯:全介助

ICFの参加

・隣のベッドの方と自らお話されている

・病棟やデイルームでのレクリーションに参加される

・車椅子で中庭の散歩に行く

・家庭での役割として家事(料理・洗濯)があり

ICFの環境因子

○物的環境
・自宅に階段や段差がある
・自宅前の道路の交通量が多い
・最寄りの交通機関などにエレベーアー、手すりがある


○人的環境
・家族構成が5人家族(本人・夫・息子・嫁・孫)で生活援助が依頼できる
・近隣に友人あり
・職場のスタッフとの交流が深い

○社会制度的環境
・介護保険(要介護2)

ICFの個人因子

・60代後半

・女性

・66kg

・157cm

・高卒

・専業主婦

・障害受容良好

・自宅復帰への意欲強い

・頑張り屋

まとめ

ICFの6つの分類である「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」から全体像をまとめて書き出す作業は、最初は手が止まってしまう難しい作業かもしれません。しかしながら、このような方法でICF分類をまとめることで今まで知ることができなかった患者様の全体像が把握でき、課題(ニーズ)や効果的な介入に気付けるようになってきます。

また、「明日、○○さんの個人因子と環境因子を確認してみよう」など患者様を深く知るきっかけにもなります。

ICFは、患者様の生活を多角的な視点から評価することができ、一人ひとりに合わせた「看護計画」や「サービス計画」を考える上でもとても大切が考え方です。

難しく感じること多いですが、2〜3症例の全体像を書いていくと必ずかけるようになっていきます。今回の内容を機に、是非、ICF分類を活用してみてください。

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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