個別機能訓練加算の算定までの手順|8つのステップをご紹介

通所介護(デイサービス)で個別機能訓練加算を算定していきたいとお考えの方はいませんか?今回は、これから初めて個別機能訓練加算を算定しようとお考えの方に個別機能訓練加算の算定までの手順をまとめてご紹介します。個別機能訓練加算の算定要件や提出書類の準備、計画書の作成、モニタリングなどの詳細も確認しておきましょう。

個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、通所介護(デイサービス)に勤務する機能訓練指導員が中心となって、ご利用者様の身体状況に応じた機能訓練を提供した場合に算定できる加算です。

平成27年度の介護報酬改定では、通所介護の基本報酬が減額されている中で、個別機能訓練加算の単位数は以下のように増額されました。


【個別機能訓練加算の単位】



個別機能訓練加算は、両方の加算を算定することができれば1日に「102単位」を算定できるため、通所介護の経営にとっても非常に大切な加算です。


実際、平成30年度の介護報酬改定においても、通所介護の機能訓練の強化が論点となっています。

しかしながら、個別機能訓練加算は機能訓練指導員を常勤または専従で配置する規定や個別機能訓練計画書の作成が難しいといった理由から算定を断念している事業所も多くあります。

そこで次章より個別機能訓練加算を算定するまでの流れについてご紹介します。


▼通所介護の個別機能訓練加算の算定要件や実践プログラムについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。合わせてご覧ください。

関連記事

個別機能訓練加算とは?

個別機能訓練加算の算定要件から実践プログラムまで徹底解説します。

 

個別機能訓練加算が算定できるその他の介護サービス

ちなみに個別機能訓練加算は、通所介護(デイサービス)だけで算定できる加算ではありません。

 

特別養護老人ホーム(以下、特養)、短期入所生活介護(以下、ショートステイ)においても所定の要件を満たし、入居者様の身体状況に応じた機能訓練を行った場合に算定することができます。

 

特養の個別機能訓練加算の単位

12単位/日
当該基準に従い1日につき所定単位数に加算することができます。


▼特養における個別機能訓練加算についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

関連記事

特養における個別機能訓練加算の算定要件とは?

特養の個別機能訓練加算の算定要件から計画書作成まで詳しく解説します。

ショートステイの個別機能訓練加算の単位

56単位/日
当該基準に従い1日につき所定単位数に加算することができます。
 

短期入所生活介護(以下、ショートステイ)では、平成27年度の介護報酬改定にて個別機能訓練加算が算定できるようになりました。

 

▼ショートステイにおける個別機能訓練加算についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

関連記事

ショートステイ(短期入所生活介護)における個別機能訓練加算を解説

ショートステイの個別機能訓練加算の算定要件から計画書作成、厚生労働省のQ&Aまで詳しく解説します。

個別機能訓練加算を算定するまでの8つの手順

個別機能訓練加算を算定するためには、それぞれの算定要件がクリアしているか確認した上で、各市区町村に届出を申請します。

 

さらに、サービス利用者の居宅を訪問し、本人やその家族に情報収集を行なった上で個別機能訓練計画書を作成していきます。この計画書は、本人と家族への説明・同意書としても活用されます。

 

また、サービス計画書(ケアプラン)にも反映される内容のため、担当のケアマネにも忘れずに通知しておく必要があります。

個別機能訓練加算の算定までの流れ

  1. (1)個別機能訓練加算の算定要件を確認する
  2. (2)届出に必要な書類の準備
  3. (3)利用者様の居宅への訪問(担当者会議)
  4. (4)個別機能訓練計画書の作成
  5. (5)本人・ご家族へ説明・同意
  6. (6)個別機能訓練の実施
  7. (7)モニタリング・評価の実施
  8. (8)実施記録を記載・保管する


それでは次章より、これらの手順について詳しく解説していきます。

手順⑴ 個別機能訓練加算の算定要件を確認する

それでは、初めて個別機能訓練加算を算定する場合の手順についてご紹介していきます。


まず、算定手順の1つ目として「個別機能訓練加算の算定要件」を満たしているか確認する必要があります。個別機能訓練加算ⅠとⅡでは、機能訓練指導員の配置基準が「常勤専従」と「専従」で異なります。それぞれの算定要件は以下の通りです。

 

個別機能訓練加算Ⅰの算定要件

加算を算定するためには、次の基準にすべてに適合することが条件です。

  • ⑴「常勤専従」の理学療法士等を1名以上配置していること
  •  
  • ⑵利用者の自立の支援、日常生活の充実を目的とした機能訓練の項目を「複数」計画し、利用者の心身状況に応じた訓練を実施していること
  •  
  • ⑶機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が共同し、機能訓練計画書を作成、実施していること
  •  
  • ⑷3ヶ月に1回以上、利用者やその家族の居宅を訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていること

 

個別機能訓練加算Ⅱの算定要件

加算を算定するためには、次の基準にすべてに適合することが条件です。

  • ⑴「専従」の理学療法士等を「1名」以上配置していること
  • ※但し、非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定可。雇用契約等をクリアすれば同法人内で出向や派遣での対応も可。なお看護職員が当該加算に係る機能訓練指導員の職務に従事する場合は、当該職務の時間帯は看護職員としての人員基準の算定に含めないこと。
  •  
  • ⑵利用者の生活機能の維持・向上し、「利用者ごと」の心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること
  •  
  • ⑶個別機能訓練計画に基づき、理学療法士等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を実施していること
  •  
  • ⑷3ヶ月に1回以上、利用者やその家族の居宅を訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていること


▼個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いについてはこちらの記事で紹介しています。詳しく知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。

関連記事

個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いがわかる!7つのポイント

個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いが簡単にわかる7つのポイントをご紹介します。

手順⑵ 個別機能訓練加算の届出書類の準備

当事業所が個別機能訓練加算の算定要件を満たしていれば、次に市区町村の役所に「届出書類」を提出します。
 

個別機能訓練加算の届出に必要な書類

  • ・各市区町村指定の個別機能訓練加算様式書類
  • ・従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • ・機能訓練指導員の資格証のコピー


個別機能訓練加算の提出期限や届出方法は、各市区町村によって「窓口へ直接提出」なのか「郵送提出」なのかが異なるため、事業所の登記をしている市区町村に事前に問い合わせて確認しておくことをお勧めします。

手順⑶ 利用者の居宅訪問

[出典] 厚生労働省老健局振興課

ここからは、実際に個別機能訓練加算を取得するために必要な「居宅訪問」についてご紹介します。

平成27年度の介護保険改定において、個別機能訓練加算を算定する上では「居宅訪問」が必須となりました。

 

居宅訪問では、利用者様が「どのように生活しているのか」「生活をする上で問題となっている点はないか」を把握します。

これらを簡単に把握する方法に「居宅訪問チェックシート」があります。このシートでは日常生活動作や家事動作など生活を送る上で困っていること、問題となっている点を新たに知ることができます。実際のトイレや階段などの環境もチェックできる項目があるので自宅環境の課題が明確になります。

これらの情報は個別機能訓練加算の目標設定として参考にしたり、機能訓練のプログラムとしても具体的な高さや手すりの位置、段差を想定して訓練を行うことができるようになります。


居宅訪問は、通所介護で随時行われる「実施指導」などで確認される項目でもあるため、シートを個別機能訓練計画書と合わせて保管しておくようにしましょう。


▶︎個別機能訓練加算を算定するために必要な居宅訪問に関してお悩みがある方はこちらの記事がお勧めです。

関連記事

個別機能訓練加算に役立つ!居宅訪問のチェックポイントとは

個別機能訓練加算の算定で推奨されている「居宅訪問チェックシート」や「興味関心チェックシート」の活用方法についてご紹介します。

関連記事

興味関心チェックシートの評価方法とは?

個別機能訓練加算の居宅訪問で活用することが推奨されている「興味関心チェックシート」の評価方法について簡単に解説します。

手順⑷ 個別機能訓練計画書の作成

[出典]厚生労働省

個別機能訓練加算を算定する上では、機能訓練指導員が中心となって利用者様ごとに「目標」「実施時間」「実施方法」などを記載する個別機能訓練計画書を作成する必要があります。


個別機能訓練計画書を作成する場合は、個別機能訓練加算ⅠとⅡの「目標」と「訓練内容」が異なることを理解しておく必要があります。
 

個別機能訓練加算Ⅰの計画書について

◎目標
筋力・バランスなどの心身機能の維持・向上を目指すものとする。


◎プログラム内容
ご利用者様が主体的に選択でき、生活意欲を増進する訓練項目を複数準備します。

 

個別機能訓練加算Ⅱの計画書について

◎目標
食事、排泄、更衣などの日常生活活動や調理、洗濯、掃除など家事動作の獲得、趣味・余暇活動、社会参加などを目指すものとする。


◎プログラム内容
具体的に獲得したい生活動作を模倣したものを反復動作として訓練を提供する。
その場合、浴槽、脱衣所、階段、台所など日常生活に必要な設備を整え、実用的な訓練を提供することが望しい。


これらが理解できていない場合、行政が行う実施指導で計画書のご指摘を受ける場合があります。正しい知識をつけて個別機能訓練計画書を作成していきましょう!
 


▼個別機能訓練計画書の書き方についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。計画書をこれから作成する方は、こちらも合わせてご覧ください。

関連記事

個別機能訓練計画書の書き方

個別機能訓練計画書をはじめて作成する人のための4つの方針をご紹介します。

関連記事

個別機能訓練計画書で悩む!目標設定の仕方から書き方

個別機能訓練計画書の中でも「目標設定」に着目して、情報収集の仕方から目標設置の仕方・書き方までを徹底解説します。

関連記事

個別機能訓練計画書の基本情報の書き方

個別機能訓練計画書の中でも「基本情報」に着目して作成方法をご紹介います。

 

▼個別機能訓練計画書の資料(ひな形)については、以下からダウンロードできます。

個別機能訓練計画書の資料はこちらからダウンロード

厚生労働省「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」

手順⑸ 本人・ご家族への説明・同意

個別機能訓練計画書を作成したら、本人またはその家族に計画の内容を説明し、同意を得た上でサインをいただく必要があります。


初回の計画書作成の場合は、プログラム実施後の変化の記載はしなくても構いません。しかし、2回目以降の計画書作成の場合は、計画したサービス内容に対して、ご利用者様にどのような変化があったのかを記載し、説明しなければなりません!


また、長期・短期目標が達成した場合や本人または家族の意向が変わった場合は、計画書の目標やプログラム内容を変更していく必要もあります。

手順⑹ 個別機能訓練の実施

個別機能訓練計画書を作成し、本人またはその家族に同意(サイン)をいただいた後に、初めて個別の機能訓練を実施することができます。


機能訓練には、個別機能訓練加算ⅠとⅡによってそれぞれ目的と訓練内容が異なることを覚えておきましょう。

 

個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練について

◎目的

筋力・バランスなどの心身機能の維持・向上を目指す訓練内容を利用者様が主体的に選択できるように複数準備する。

◎機能訓練内容

個別という決まりはなく集団でも算定が可能で、実施者は介護職員でも構いません。
 

個別機能訓練加算Ⅱの機能訓練について

◎目的

食事・トイレ・着替えなどの日常生活活動、調理、洗濯、掃除など家事動作、趣味・余暇活動、社会参加などの獲得を目指すもの。

◎機能訓練内容

生活動作を模倣した動作を反復した訓練を提供する。さらに、実際の日常生活に必要な設備を整え、実用的な訓練を提供することが望しいとされています。機能訓練は、「5名以下」の小集団でも可。ただし、実施者は機能訓練指導員が「直接指導」する必要があります。


▼個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの機能訓練メニューには様々なものがあります。機能訓練メニューの内容について知りたい方は下記の記事をご覧ください。

関連記事

初心者でもわかる個別機能訓練メニュー|個別機能訓練加算ⅠとⅡ

個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの違いや介護現場で活用できる機能訓練メニューをできるだけ多くご紹介します。

手順⑺ モニタリング・評価の実施

機能訓練指導員を中心に利用者様に機能訓練を実施した後は、提供した機能訓練によって利用者様が求める目標を達成できたのかを定期的にモニタリング・評価を行います。

厚生労働省によると、個別機能訓練加算を算定している場合は、開始時及びその後3ヶ月に1回以上、ご利用者様又は、ご家族に対して個別機能訓練計画の内容を説明し、記録すること。また、評価内容や目標の達成度について、担当のケアマネ等に報告・相談し、必要に応じて目標や訓練内容の見直しを行うこととされています。


つまり、3ヶ月に1回以上の頻度でモニタリング評価を行い、必要であれば目標設定など個別機能訓練計画の見直し、再作成した上で、利用者様とその家族に説明・署名をもらいます。

 

モニタリング・評価のチェック項目

1. 個別機能訓練計画書通りにサービスが実施されているか
2. 長期目標・短期目標が達成されているか
3. 提供している機能訓練が適切かどうか、維持・改善を認めるか
4. 利用者様またはその家族の満足度はどうか
5. 新しい希望・要望はないか
 

 

▼個別機能訓練加算の主たる実施者である機能訓練指導員とはどのような職種か知っていますか?機能訓練指導員について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事

機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員の資格別の仕事内容や魅力をご紹介します♬

手順⑻ 実施記録を記載・保管する

個別機能訓練加算を算定する場合に忘れてはならないのが「⑧実施記録を記載・保管する」ことです。


厚生労働省によると、以下のように呈示されています。

個別機能訓練に関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)は、利用者様ごとに保管し、常に職員が閲覧できるようにすること。

 


個別機能訓練計画書は3ヶ月に1回以上ですが、日々実施される機能訓練は、利用者様ごとに実施した内容を記録し、保管する必要があります。

実施記録の内容は、実施時間・訓練内容・担当者名・利用者の心身の状態などを記入します。


この実施記録と計画書の相違があると通所介護で行われる実地指導や監査でもご指摘を受ける場合がありますので必ず実施記録と記載し、保管しておくようにしましょう!

関連記事

実地指導・監査の不安を解消する!介護事業所ができる9つの備え

実地指導では、介護保険法の基準に対応したコンプライアンスの徹底が求められます。こちらでは、いつ実地指導があっても慌てないために重要な、介護現場でできる9つの備えについて解説します。

まとめ

これまで個別機能訓練加算を算定するまでの手順を8つのステップに分けてご紹介しました。



もともと、利用者様やご家族のレスパイトケアの目的がその大半であった通所介護(デイサービス)ですが、「今より体力をつけたい」「一人でトイレに行けるようになりたい」など身体機能の向上や生活機能の獲得を目指したご高齢者のニーズから機能訓練(リハビリ)を提供する事業所も増えてきました。

歳を重ねるごとに疲労感など身体機能の衰えを感じているご高齢者においても定期的な機能訓練(リハビリ)は住み慣れた在宅でできるだけ長く生活していくために重要なことです。

通所介護(デイサービス)の経営にとっても平成27年度の基本報酬のマイナス改定以降、この個別機能訓練加算の算定はとても重要な加算であるといえます。


安定した通所介護事業所の経営を可能にするために、みなさんのデイサービスでも個別機能訓練加算を算定していきませんか?

 




▼通所介護における機能訓練の重要性については下記の記事でご紹介しています。合わせてこちらもご覧ください。

関連記事

平成30年度の介護報酬改定の論点|通所介護の機能訓練に着目して

平成30年度の通所介護の介護報酬改定の論点は「自立支援」のあり方ではないでしょうか?こちらでは、現在の厚生労働省や各団体が介護報酬改定をどのように考えているかを考察していきます。

 

【最後に筆者より】

平成30年度の介護報酬改定に向けて個別機能訓練加算を算定していきたい方、機能訓練メニューがわからない方、計画書の書き方がわからない方にオススメしたいサービス「リハプラン」をご紹介しておきます!

【オススメツール】

デイサービスの業務を効率化しつつ、強みを強化するツール「リハプラン」のご紹介

《こんな事業所にオススメ》

個別機能訓練加算を算定したい!

個別機能訓練プログラムがわからない!

個別機能訓練計画書の評価ツールを導入したい!

モニタリングを活用して営業力を強化してみたい!

著者プロフィール

author

大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

CONTACT

リハプランについて、なんでもご相談ください。

必須問い合わせ項目
必須会社名・所属団体名
必須お名前
必須フリガナ
必須電話番号
必須メールアドレス
任意自由記入欄