FIMの社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)の採点方法

FIMの社会的認知は「社会的交流」「問題解決」「記憶」の3項目で構成されています。これらの採点が難しいと悩んでいる方はいませんか?FIMの社会的認知の中でもこの3項目の採点方法について詳しく解説していきます。

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FIMの採点の原則|社会的認知項目の場合

FIMの評価項目の中でも認知項目である「社会的認知」の基本的な採点ポイントと原則をご紹介します。

FIMの認知項目の採点ポイント

1. 複雑な課題か、簡単な課題かで評価する
2. FIMの5点の採点は、監視・補助だけでなく「介助が10%未満」も含まれる



FIMの認知項目の原則

■複雑な課題を評価
7点(完全自立) :複雑な事項を「自立」して一人でできる。
6点(修正自立):通常以上の時間がかかる。安全性の配慮が必要。

■簡単な課題を評価
5点(監視・補助・最小介助):監視・準備・指示・促しが必要。簡単な事項に介助が「10%未満」必要。
4点(最小介助):「75%以上90%未満」は自分で行う。
3点(中等度介助):「50%〜75%未満」は自分で行う。
2点(最大介助):「25%〜50%未満」は自分で行う
1点(全介助):「25%未満」しか自分で行わない。



▶︎FIMを初めて評価する方、18項目の全てを採点方法を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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FIMの社会的認知項目の種類とは

FIMの社会的認知項目には「社会的交流」「問題解決」「記憶」の3つの項目があります。それぞれの評価範囲についてご紹介します。

社会的交流の評価範囲

他人と折り合い、集団へ参加することを評価する。
例)家族・スタッフ・他患者らと適切に交流しているか

 

問題解決の評価範囲

生活に即した問題を解決できるかを評価する。
例)合理的・安全・タイミングよく決断、実行しているか

 

記憶の評価範囲

日常的な活動で情報を記憶し、再生できるか評価する。
例)人、毎日の課題、他人からの依頼を覚えているか

FIMの「社会的交流」の採点ポイントとは

それではまず、FIMの評価項目の中でも「社会的交流」の採点方法について解説します。

採点ポイント

1. 他者と適切に関わっているかを評価する
2. 周囲がどの程度の配慮(介助)が必要かを評価する
3. 7〜5点は不慣れな環境で評価、4〜1点は慣れた環境での交流を評価する
4. 1つの交流場面だけでなく、全体像を評価することが重要

社会的交流の配慮(介助)とは

・参加を促す
・激励する
・言動を修正するように指摘する
・先に働きかける
・監視する
・言動を抑制するなどがあるなど

迷惑や不快感を与える行為とは

・訓練を拒む
・暴言・暴力がある
・会話を無視する
・過度に引きこもる
・集団の中に参加しない
・むやみに大きな声を出すなど

社会的交流の採点方法とは

FIMの社会的交流の7点〜1点の採点方法について解説します。

 


【社会的交流の採点方法】
◎7点(完全自立)
・不慣れな環境でも問題なく関わっている

◎6点(修正自立)
・不慣れな環境でもほどんどの場面でスタッフ、他患者と適切に交流する 
・慣れが必要なため通常以上の時間がかかる
・内服薬を飲めば、問題なく関われる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・不慣れな環境での交流に監視・準備・指示・促し・「90%以上」の場面で適切に交流する
・緊張するため交流に監視・準備・指示・促し・「90%以上」の場面で適切に交流する

◎4点(最小介助)
・慣れた環境でも「75%以上90%未満」の場面で適切に交流する

◎3点(中等度介助)
・慣れた環境でも「50%以上75%未満」の場面で適切に交流する

◎2点(最大介助)
・慣れた環境でも「25%以上50%未満」の場面で適切に交流する

◎1点(全介助)
・慣れた環境でも「25%未満」の場面でしか交流できない
・全く交流しない

社会的交流の採点事例について

FIMの社会的交流の場合の採点事例をご紹介します。

 

▶︎事例1
しばしば、訓練の時間に遅れるが他は問題なく交流できる
○採点:7点
○解説:訓練の時間の遅れは社会的交流に関与しなし

▶︎事例2
新しい状況では部屋に引きこもっているが、時間が経てば適切に振る舞うことができる
○採点:6点
○解説:交流に時間がかかるため

▶︎事例3
転院したばかりで食事などの慣れない環境では席の位置などの配慮が必要となる
○採点:5点
○解説:慣れない環境で10%未満の配慮のため

▶︎事例4
慣れた環境であれば多くの時間を適切に交流するが、交流は自分から始めない
○採点:4点
○解説:慣れた環境で交流できるのは4点のため

▶︎事例5
しばしばスタッフを拒むことがあり、汚い言葉を使うが暴力などはなく抑制は必要ない
○採点:2点
○解説:毎回拒むことはなく、抑制は必要ないため

FIMの「問題解決」の採点ポイントとは

次に、FIMの社会的認知の中でも「問題解決」の採点ポイントについて解説します。

採点ポイント

1. 日常生活上の金銭的、社会的、個人的な問題の解決に合理的かつ安全にタイミングよく決断し、行動できるかを評価する
2. 問題を解決できるかではなく問題を認識して決断を下し、行動することができるかを評価する
3. 問題に対して「的外れな行動」「危険な行動をとる」「行動しない」などを減点対象とする
4. 7〜5点は複雑な問題に対して評価、5〜1点は日常の問題に対して採点する
5. 1つの問題解決場面だけでなく、全体像を評価することが重要

複雑な問題とは

・金銭の管理
・退院の計画
・薬の管理
・対人トラブルの処理
・仕事や職業の内容

日常の問題とは

・日常の課題への対処
・日常で起こる不慮の事態への対処
・日常で起こる危険への対処

ちなみに病院では
・必要な時にナースコールが押せる
・問題が起きた時に介助を依頼できる
・誤嚥しないようにゆっくりと食事を食べることができる
などがあります。

問題解決の採点方法とは

では、FIMの問題解決の7点〜1点の採点方法について解説します。

 


【問題解決の採点方法】
◎7点(完全自立)
・複雑な問題に対して内容を認識して、決断し、実行できる

◎6点(修正自立) 
・複雑な課題に対して多少の時間がかかる場合もあるが認識して、決断し、実行できる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・複雑な課題に対して必ずしも自立で認識して、決断し、実行できるとは言えない
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「10%未満」

◎4点(最小介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「10〜25%未満」

◎3点(中等度介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「25〜50%未満」

◎2点(最大介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「50〜75%未満」

◎1点(全介助)
・日常の課題に対して、的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「75%以上」

FIMの社会的認知は「社会的交流」「問題解決」「記憶」の3項目で構成されています。これらの採点が難しいと悩んでいる方はいませんか?FIMの社会的認知の中でもこの3項目の採点方法について詳しく解説していきます。

問題解決の採点事例について

FIMの問題解決の場合の採点事例をご紹介します。


▶︎事例1
複雑、簡単な課題を両方解決しているが通常以上の時間がかかる
○採点:6点
○解説:時間がかかるため

▶︎事例2
手助けが必要な時にナースコールを押すことができるが、退院計画などについては決断できない
○採点:5点
○解説:日常席な問題は判断できるが、複雑な問題は決断できないため

▶︎事例3
転倒リスクがあるが、しばしば「25〜50%未満」一人で起き上がってしまう
○採点:3点
○解説:「25〜50%」危険な行動をとる場合があるため

FIMの「記憶」の採点ポイントとは

続いて、FIMの社会的認定項目の3つ目である「記憶」の採点ポイントについて解説します。


 

採点ポイント


1.「頻繁に出会う人」「毎日の日課」「他人からの依頼」の3つの課題を覚えているかで評価する

2. 3つの課題が1/3ずつの比重を占めている

3. 3つの課題での記憶・再生している割合を平均して採点する
4. 記憶の介助とは、助言、道具の使用(手帳・タイマーなど)依頼を繰り返すなどがある
5. 頻繁に出会う人を認識する課題では、顔や自分との関係性が分かれば名前は言えなくても良い
6. 毎日の日課を覚えている課題では、手帳(スケジュール表)が必要な場合は減点する
7. 他人からの依頼を覚えている課題では、3つ程度までは覚えていないと減点する




頻繁に出会う人を認識するとは


・家族
・主治医
・担当の療法士
・同室の患者など




毎日の日課を覚えているとは


・起床や就寝の時間
・食事の時間や場所
・朝、夕の薬
・花の水やりなど
※その日だけの特別な事項は評価の対象外とします。

他人からの依頼を覚えているとは

・水を取って欲しいと依頼された
・家族が来たら看護師に伝える
・病棟を離れるときは看護師に声をかける
・売店でお茶を買ってきてと依頼された
・お風呂にタオルと石鹸を持ってくるように依頼されたなど

記憶の採点方法とは

では、FIMの記憶の7点〜1点の採点方法についてそれぞれ解説します。



【記憶の採点方法】
◎7点(完全自立)
・「頻繁に出会う人」「毎日の日課」「他人からの依頼」の3つの課題を他人の配慮なしに記憶、再生できる

◎6点(修正自立) 
・3つの課題を手帳やタイマーなど使用、管理することで記憶、再生できる
・3つの課題を記憶しているが、通常以上の時間がかかる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・3つの課題を手帳やスケジュール帳などを記載、管理するために他者が補助すれば記憶、再生できる
・3つの課題が「10%未満」で記憶・再生できない

◎4点(最小介助)
・3つの課題が「10〜25%未満」で記憶・再生できない

◎3点(中等度介助)
・3つの課題が「25〜50%未満」で記憶・再生できない

◎2点(最大介助)
・3つの課題が「50〜75%未満」で記憶・再生できない

◎1点(全介助)
・3つの課題が「75%以上」または「全く」記憶・再生できない

記憶の採点事例について

FIMの記憶の採点事例をご紹介します。


▶︎事例1
よく会う人、他者からの依頼は覚えているが、日々の日課を覚えるために手帳をつけている
○採点:6点
○解説:手帳などの補助具を使用しているため

▶︎事例2
よく会う人や日々の日課は覚えているが、他者からの依頼は4回に1回は忘れる
○採点:5点
○解説:3つの課題のうち「約8%(1/3 × 1/4 = 1/12)」は忘れているため


▶︎事例3
担当スタッフや同室者の顔や名前は覚えているが、日課や他者からの依頼は常に忘れている
○採点:2点
○解説:2/3(約67%)は記憶、再生できないため

FIMの認知項目を採点するにあたっての注意点

FIMの認知項目の採点では、同じ現象をみてもどの項目で評価するのかよく考慮する必要があります。よく間違える事例をご紹介しておきますので、下記の注意点を理解しておきましょう。


【例題】
「この薬を食前に飲んでください」と指示したが実行されなかった場合

FIMの「理解」の項目では、食前という言葉の意味が理解できないことになる。

FIMの「問題解決」の項目では、理解していたが薬が嫌いなので飲まずに捨てた。

FIMの「記憶」の項目では、その時は理解していたが飲むのを忘れていた。


このように採点する項目によってみる視点が異なることを理解しておきましょう。さらに一つの場面では判断できないことも多いので全体像を把握するように意識しましょう!

まとめ

FIMの評価の中でも認知項目は難しいと思われる方も多いのではないでしょうか?認知項目を正しく採点するためには、以下の4つの手順でFIMを採点していくことをお勧めします。

【FIMの採点手順】

1. FIMの各項目で評価する内容と採点方法を理解する
2. 実際の症例で点数をつけてみる
3. 他のスタッフの点数をチェック、なぜ異なるのか話し合う
4. FIMを現場で積極的に使っていく


今回の記事を参考にみなさんが自信を持ってFIMの認知項目を採点できるようになっていただければ幸いです。

 

デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。

→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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