サービス提供責任者とは?仕事内容と資格要件について理解しよう!

介護保険法

基本報酬

更新日:2024/04/07

訪問介護事業所には配置基準としてサービス提供責任者の要件があります。現場の責任者であるサ責は平成30年に資格要件が厳しくなり、初任者研修等は除外される経過措置として減算などがあります。サービス提供責任は、ヘルパーやケアマネジャーと連絡調整する役割や訪問介護計画書の作成などの仕事も行なっていきます。要介護者に最適な訪問介護サービスが提供されるよう手順書などで訪問介護員に援助目標や援助内容を指示し、実績を管理するなど仕事を学んでみましょう!

サービス提供責任者とは

サービス提供責任者とはケアマネジャーやケアワーカーとの連絡調整などのコーディネート業務とヘルパー(訪問介護員)の管理業務を担います。また、サービス担当者会議に出席することで、他介護専門職と連携し、訪問介護計画書を定期的に見直す役割と責任があります。

介護の仕事の現場では、サービス提供責任者のことを略して「サ責(させき)」と呼ばれることが多いです。


サービス提供責任者の仕事と役割とは

サービス提供責任者の仕事

サービス提供責任者の訪問介護での役割は多岐に渡ります。

サービス提供責任者の仕事と居宅介護支援事業所のケアマネージャー

  • 居宅介護支援事業所のケアマネージャーの連絡調整
  • サービス担当者会議などでの情報共有
  • ケアプラン変更の援助
  • 利用者情報・利用実績等に関する情報共有

サービス提供責任者の仕事とご利用者

  • ご利用者に関する情報や変化の把握
  • 訪問介護計画書の作成と説明
  • 訪問介護サービスの提供

サービス提供責任者の仕事と訪問介護員(ヘルパー)

  • 訪問介護員(訪問ヘルパー)に援助目標・援助内容を指示(手順書等を用いることも)
  • 利用者の状況についての情報を伝達
  • 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理
  • サービス内容の管理、実績等について必要な業務を実施

「指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準」第28条第3項

サービス提供責任者は、第 24 条に規定する業務のほか、次の各号に掲げる業務を行うものとする。
1. 指定訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること。
2. 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。
3. サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等との連携を図ること。
4. 訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
5. 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。
6. 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること。
7. 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。
8. その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること。

【関連記事】
身体介護と生活援助の違いについて
介護の仕事の中でも、「身体介護」と「生活援助」と呼ばれる2種類のサービスを提供します。実際に仕事をされている方でもどちらのサービスを行っているのかわからないことも多いのではないでしょうか?そこで今回は、身体介護と生活援助のサービスの違いについて詳しく解説していきます。

サービス提供責任者の資格要件

サービス提供責任者の資格要件は以下をクリアしていれば職務に就くことが可能です。

1介護福祉士、看護師、准看護師、保健師のいずれかの資格を取得している
2実務者研修を修了している
3ホームヘルパー1級を取得している
4介護職員基礎研修を修了している(※1)
5介護職員初任者研修(旧・ホームヘルパー2級)修了+実務経験3年以上(※2)平成30年度で廃止

※1ホームヘルパー1級講習、介護職員基礎研修はすでに廃止されていますが、廃止前に資格を取得している方・研修を修了している方はサービス提供責任者になることができます

【関連記事】
実務者研修の内容と資格について
実務者研修とは、より質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得を獲得する研修です。 サービス提供責任者になることができ、介護福祉士などのキャリアアップをしていくための研修として受講していきます。

サービス提供責任者の減算の経過措置とは

訪問介護事業所のサービス提供責任者は「介護職員初任者研修(旧・ホームヘルパー2級)修了+実務経験3年以上」であれば要件を満たしますが、廃止の経過措置として介護報酬が「30%減算」されてしまいます。また減算の場合には、事業所として届出が必要です。ただし、上述の通り平成30年の介護報酬改定より同要件では、サービス提供責任者として新たに従事することができなくなります。

介護職員初任者研修課程修了者(介護職員初任者研修課程修了者や旧2級ヘルパーを含む)をサービス提供責任者として配置し、当該者が作成した居宅介護計画に基づいて居宅介護を行う場合、当該事業所の翌月サービス提供分すべてに減算が適用されるため届出が必要です。

【関連記事】
介護職員初任者研修の内容と資格について理解しよう
介護職員初任者研修は、訪問介護事業所に勤めている方や介護に関する最低限の知識・技術を身につけ、基本的な介護業務を実践できるようになるための基礎研修です。

サービス提供責任者の配置基準について

サービス提供責任者の配置については、指定(介護予防)訪問介護事業所ごとに『利用者の数が40人又はその端数を増すごとに1人以上の者を配置』することが必要です。

つまり、訪問介護事業所で訪問介護を提供する予定の利用者が1〜40名まではサービス提供責任者を1名、利用者が41名から80名まではサービス提供責任者を2名という形で配置する必要があります。(下で紹介する条件を満たしている場合には利用者50名に対して1名でも可能となっています)

  • 指定訪問介護事業所ごとに、常勤の訪問介護員等のうち、利用者の数が40又はその端数を増すごとに1人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。この場合において、当該サービス提供責任者の員数については、利用者の数に応じて常勤換算方法によることができる
  • 利用者の数は、前3月の平均値とする。ただし、新規に指定を受ける場合は、推定数による。※利用者の数
    ア 一体的に予防訪問介護の指定を受けている場合は介護予防訪問介護の利用者を含むこと。
    イ 利用者の数は、前3月の平均値とする。前3月の平均値は、暦月ごとの実利用者の数を合算し、3で除して得た数とする。
    ウ 通院等乗降介助に該当するもののみを利用した者の当該月における利用者の数については、0.1 人として計算すること。

サービス提供責任者の基準緩和について(平成27年度改正)
サービス提供責任者の配置基準については、平成27年の基準改正により、要件を満たせば、指定(介護予防)訪問介護事業所ごとに『利用者の数が50人又はその端数を増すごとに1人以上の者を配置』(改正後の基準)が可能となる旨の改正が行われました。

平成27年基準改正後の新基準

  • サービス提供責任者の配置について、以下の要件を全て満たす場合には、利用者50人につき1人のサービス提供責任者の配置が可能。
  1. 常勤のサービス提供責任者を3名以上配置している
  2. サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置している
  3. サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合

※「サービス提供責任者の業務に主として従事する者」とは、サービス提供責任者である者が当該事業所の訪問介護員として行ったサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が1月あたり30時間以内である者。

※「サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合」とは、訪問介護計画の作成や訪問介護員の勤務調整等のサービス提供責任者が行う業務について、省力化・効率化や、利用者に関する情報を職員間で円滑に共有するため、ソフトウェアやネットワークシステムの活用等の業務の効率化が図られているもの。
また、この場合において、常勤換算方法を採用する事業所で必要となるサービス提供責任者については、別表二に示すサービス提供責任者数を配置するものとする。

引用:東京都保健福祉局(平成27年)サービス提供責任者の配置基準について

サービス提供責任者の業務実態とは

サービス提供責任者の業務について厚生労働省(2010)の調査によると、

  • 新規利用者に対するサービス提供責任者の業務のうち、アセスメント訪問・ケアマネジャーとの調整(サービス担当者会議)も含めた訪問 介護計画の作成に要する時間は、1~5時間と答えた者が72%。
  • そのうち、訪問介護計画の作成のみに要する時間は1~3時間の間と答えた者が63%となっている。

一方で東京大学社会科学研究所(2007)の調査によると、訪問介護計画書作成やサービス担当者会議の出席、ヘルパーの業務管理などの本来のサービス提供責任者としての仕事に費やす時間は48%、ヘルパー業務の時間を30%程度費やしていることも調査もある。

これらのことから、サービス提供責任者の実態として、現場に行く時間が長ければ長いほど、責任者として求められる能力が発揮しにくいという結果となっている
 

参照:東京大学社会科学研究所(2007)「サービス提供責任者の仕事と働き方に関するアンケート」

Rehab Cloudに待望の「レセプト」が新登場

リハビリ・LIFE加算支援の決定版「リハプラン」と記録、請求業務がスムーズにつながり、今までにない、ほんとうの一元管理を実現します。

日々お仕事をするなかで、「介護ソフトと紙やExcelで同じ情報を何度も転記している」「介護ソフトの操作が難しく、業務が属人化している」「自立支援や科学的介護に取り組みたいが余裕がない」といったことはありませんか?

科学的介護ソフト「Rehab Cloud(リハブクラウド) 」』なら、そういった状況を変えることができます!

ぜひ、これまでの介護ソフトとの違いをご覧頂ければと思います。



リハブクラウドでは、デイサービスの方向けに無料のメールマガジンを配信しております。日々のお仕事に役立つ情報や研修会のお知らせなどを配信します。ぜひメルマガ購読フォームよりご登録ください。

この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

関連記事