更衣介助(着替え介助)の手順と注意点|介護初心者向けマニュアル!

更衣動作(着替え)は、朝や就寝時、入浴時など日常的に行われる動作です。加齢や病気によって寝たきりなどの介護状態になると身体が思うように動かなくなるため、着替えに介助が必要になります。そんな方々に対してスムーズに更衣介助(着替え介助)を行うためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?今回は、介護の基礎知識として更衣介助(着替え介助)の準備品や手順と注意点についてご紹介します。

簡単・安心の個別機能訓練加算ソフト「リハプラン」

更衣介助(着替え介助)で準備するもの

私たちスタッフは、身体が思うように動かなくなった方々に対して着替えの介助(更衣介助)を行います。

その多くは寝たきりの方や介助が必要な方がほどんどです。そのような方々に負担をかけないように、着替えの介助を手際よくスムーズに行うためには事前の準備が重要となります。まずは、更衣介助で事前に準備するものをご紹介します。

 

【更衣介助で準備するもの】

1)着脱しやすい衣服を準備する

衣類は、ご家族に着脱しやすいものを準備していただきましょう。麻痺や骨折により身体が拘縮(こうしゅく)していると関節が硬くなってしまうため着替えがしにくくなります。着脱しやすい服は以下のようなものがあります。
・前びらきのシャツ
・マジックテープのボタン
・伸縮性のある衣類
・脇から袖が広い衣類

2)下着を準備する

着替えのタイミングで合わせて下着を着替える場合は以下のものを準備していきましょう。
・パンツ、肌着
・必要な方はオムツやパット

3)靴下を準備する

朝方の着替えの場合は、靴下も合わせて準備しておきましょう。

4)塗り薬や貼り薬を準備する

着替え介助は、衣類を脱ぐタイミングでもあります。医師から塗り薬や貼り薬が処方されている方は合わせて準備していきましょう。
・皮膚科などの塗り薬
・湿布などの貼り薬

5)タオルケットやブランケットを準備する

更衣介助(着替え介助)は、裸になる場合もあります。いくら介助を行うスタッフといえど裸になることは恥ずかしいことです。タオルケットやブランケットなど身体に掛けられるものを用意しておきましょう
・バスタオル
・タオルケット
・ブランケット

 

更衣介助(着替え介助)の注意点とは

着替えの介助を行う場合に、特に注意していただきたい点について解説します。

 

1)室内の温度に注意する

更衣介助(着替え介助)では、薄着になったり、裸になったりします。そのため冬場などは特に「室温の調整」を行なってから着替えるようにしましょう。

2)プライバシーの配慮(自尊心を傷つけない)

着替えは毎日のことですが肌着になることだけでも恥ずかしいことです。自尊心を傷つけないようにプライバシーに配慮しましょう。例えば、同性のスタッフが着替えの介助を行うように心がけたり、ブランケットをかけてあげるように意識しましょう。

3)転倒や転落に注意する

座位バランスや耐久性が低下している方はベッドや椅子からのずり落ちに注意しましょう。ずり落ちが気になる方は、安定した椅子に座り直したり、肘掛けや背もたれ付きの椅子を準備するようにしましょう。

4)全て介助しない

時間がないから、危ないからといって全て介助するのはやめましょう。また、急かすように無理に介助してしまうと関節を痛めてしまうなどの危険性も高まります。できるだけ自分の力で着替えができるように手を支えるような介助を心がけましょう。

 

更衣介助(着替え介助)の手順を覚えよう!

更衣介助(着替え介助)の中でも、特に寝たきりの方の介助には苦労するのではないでしょうか?

寝たきりの方の更衣介助(着替え介助)を行う場合の手順について「上着の介助」と「ズボンの介助」のそれぞれを解説します。

更衣介助では、基本的にこの順番に沿って介助を行うようにしましょう。

前開きタイプの上着の更衣介助の手順

⑴ 衣類のボタンを外す

⑵ 横向き(側臥位)にして、上になっている肩の衣服を外してから腕を脱がす

⑶ 着替え用の服の上になっている腕に通す

⑷ 着替え用の服を肩と背中にまで通す


⑸ 仰向け(仰臥位)になり、汚れた服を反対の腕から外す

⑹ 着替え用の服を反対の腕に通す

⑺ 前身ごろを合わせてボタンをとめる

⑻ 背中のシワやたるみを伸ばす

ズボン着脱の更衣介助の手順

⑴ 横向き(側臥位)にして、お尻の下までズボンを下ろす

⑵ 仰向け(仰臥位)になり、ズボンを交互にズラしながら脱がす

⑶ 仰向け(仰臥位)のまま、着替え用のズボンを足先に通す

⑷ 左右交互に太ももまでズボンを上げる

⑸ 横向き(側臥位)にして、片側のお尻までズボンを上げる

⑹ 反対側に横向き(側臥位)になり、お尻までズボンを上げる

⑺ お尻のズボンのシワやたるみを伸ばす

 

更衣介助の注意するポイント|① 服の着脱の順番

ここからは、更衣介助で注意する点について解説していきます。

更衣介助で注意するポイントの1つに『服の着脱の順番』があります。

 

着替えに介助が必要な方の多くは、身体が麻痺していたり、関節が拘縮(こうしゅく)したり痛みがあったりします。そのような場合に、片側の不自由な側を「患側(かんそく)」と呼び、問題ない側を「健側(けんそく)」と呼びます。この場合に着替えの介助をスムーズにするコツは、『脱ぐときは動きやすい健側から』『着る時は患側から』です。

 

例えば、右の手に麻痺がある場合は、まず衣服を脱がせる時に左側(健側)の肩から手にかけてゆっくりと脱がしていきます。左側の袖を脱いだら、次に右側(麻痺側)の肩から手を脱がしていきます。

衣類を着るときは、まず右側(麻痺側)から袖を通していきます。その上で左側(健側)から手を通していきます。

 

更衣介助の注意するポイント|② 介助する箇所

次に、更衣介助で注意するポイントに『介助する箇所』があります。

 

麻痺や関節の拘縮(こうしゅく)、痛みがある手足を持ったり、引っ張るように介助をしてしまうと関節を痛みてしまう可能性があります。

着替えの介助を行い場合は、肘や手首などの関節を支えるように介助するようにしましょう。ただし、肘や手首などの骨折により手足の関節を動かすことを禁止されている場合は、関節を持つことは控えましょう。

何より着替えにより痛みがない範囲で、ゆっくりと着替えの介助を行うようにしましょう。

 

更衣介助の注意するポイント|③ プライバシー

次に、更衣介助で注意するポイントに『プライバシーへの配慮』があります。

 

着替えは、上着やズボンだけでなく肌着や下着などの介助も行います。いくらご高齢者だからといって下の世話をされることは恥じらいがあることです。

カーテンなどでプライバシー保護に努めたり、露出を減らすためにタオルケットを掛けたり、ズボンと上着をそれぞれ順番に行うようにしたりするなど配慮を行いましょう。できることなら、女性のご利用者様であれば女性スタッフが、男性のご利用者様であれば男性スタッフが着替えの介助をするなど同性のスタッフが対応するようにしましょう。

 

更衣介助の注意するポイント|④ 皮膚状態

更衣介助は、全身の皮膚状態を観察できる機会でもあります。特に、皮膚が脆弱(ぜいじゃく)なご高齢者の場合は、着替えを行うタイミングで『皮膚の状態をチェック』しておきましょう。

 

【更衣介助での皮膚状態の観察項目】

⬜︎.手や顔、足がカサカサしていないか

⬜︎.手の甲や、腕、足に内出血(あざ)がないか

⬜︎.皮膚が剥がれていないか

⬜︎.お尻や背中に褥瘡(じょくそう)がないか

⬜︎.皮膚に痛みや赤みがないか

 

褥瘡がある場合は、背中やお尻の衣類にシワがよらないように注意しておきましょう。また、合わせて処方されている塗り薬や貼り薬を交換するのも良いでしょう。

皮膚状態の悪化だけではありませんが、早期発見と早期治療が重要です。そのためには、日頃から着替えの介助を行うスタッフが、対象者の変化に気付けるかが重要なポイントになってくるのではないでしょうか?

【関連記事】

高齢者の皮膚トラブルと対処法の考え方について

介護現場で目にする皮膚のトラブルの原因から対策までまとめてご紹介します。

 

まとめ

今回ご紹介したように、着替え(更衣介助)をスムーズに手際よく介助するためには、「事前の準備」と「介助の手順」を理解しておくことが重要となります。

さらに、介助する箇所と皮膚の状態も確認でき、プライバシーも配慮できるスタッフであれば利用者様も安心して着替えを任せることができるのではないでしょうか?

 

介護・介助の技術は現場の経験値だけでなく、事前に知識を蓄えておくことも重要です。介護のスペシャリストとしての第一歩として参考になれば幸いです。

簡単・安心の個別機能訓練加算ソフト「リハプラン」 簡単・安心の個別機能訓練加算ソフト「リハプラン」

著者プロフィール

author

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

デイサービスメソッドを無料プレゼント!

デイサービスメソッドは、リハプランで扱っているデイサービスのノウハウを体系的にまとめたもので、ご利用者を元気にするためのメソッドです。 7章構成となっており、介護士やリハビリ担当者がすぐに現場で使えるハウツーに加えて、マニュアルやリスク管理、営業等、デイサービスの管理運営に役立つコンテンツも入っています。

リハプランについての資料請求、ご質問など
なんでもご相談ください。

必須会社名・所属団体名
必須お名前
必須電話番号
任意メールアドレス
任意自由記入欄