特定施設入居者生活介護の開設・運営の基礎知識

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更新日:2022/02/18

特定施設入居者生活介護(特定施設)は、自宅で生活している方だけでなく、一定の基準を満たした特定の施設に入居している方においても日常生活を送る上で必要な介護保険サービスを受けられることが最大のメリットです。今回は、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な人員基準から介護報酬額、加算の種類などの基礎知識をまとめてご紹介します。

特定施設入居者生活介護とは

特定施設入居者生活介護とは、ご高齢者が可能な限り自立した生活を送れるよう、特定施設に入居している要介護者に対して介護サービス計画に基づいて食事や入浴、トイレなどの日常生活における支援や日常生活動作の獲得を目指した訓練などのサービスを提供できる居宅サービスです。なお、要支援者に対するものが、介護予防特定施設入居者生活介護です。

対象となる施設

対象となる施設には「有料老人ホーム」や「軽費老人ホーム(ケアハウス)」があります。

特定施設入居者生活介護指定の基準以外にも、理美容室、大浴場、リハビリ室などを完備されている施設も多くあるのが特徴です。

特定施設入居者生活介護の種類

特定施設入居者生活介護には、「内部提供型」と「外部サービス利用型」の2種類のタイプがあります。

外部サービス利用型特定施設入居者生活介護施設に入居しながら訪問や通所、福祉用具など外部の介護保険サービスが利用できる施設です。ケアプランやバイタルチェックなどは施設のスタッフが提供します。
内部提供型特定施設入居者生活介護介護サービスの提供は全て施設の職員が提供します。そのためケアプランの作成も施設のスタッフが作成します。

特定施設入居者生活介護の人員基準について

ここで、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な「人員基準」についてご紹介します。

特定施設入居者生活介護の人員配置は、介護職員以外にもケアマネージャー(ケアマネ)や看護師なども常勤で1人以上勤務しています。そのため、デイサービスなどに比べてもご家族もとっても安心です。




特定施設入居者生活介護の人員基準

生活相談員
ご利用者様:生活相談員=100:1以上配置する。但し、生活相談員のうち1人以上は常勤者。

看護職員と介護職員
要介護のご利用者様:看護職、介護職=3:1以上要支援のご利用者様:看護職、介護職=10:1以上配置する。但し、看護職員と介護職員共に1人以上は常勤者。

機能訓練指導員機能訓練指導員を1人以上配置する。※機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師
介護支援専門員(ケアマネージャー)ご利用者様:介護支援専門員(ケアマネージャー)=100:1を配置し、計画作成担当者とする。

常勤管理者
管理職務に従事する常勤管理者を配置する。但し、管理上の支障が無い場合は同一事業所内の他の職務、又は同一敷地内の他の事業所の職務との兼務が認められます
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特定施設入居者生活介護の指定基準(人員基準・設備・運営)のまとめ
指定基準には「人員基準」や「設備基準」「運営基準」などがあり、特定施設を開業・経営するためには、この指定基準を満たすことが必要となります。ここでは、厚生労働省(2016)の指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する特定施設入居者生活介護における指定基準を抜粋してご紹介します。

特定施設入居者生活介護の介護報酬について

続いて、特定施設入居者生活介護を運営した場合の「介護報酬」についてご紹介します。

有料老人ホームでの特定施設入居者生活介護を利用される場合、介護保険から以下の介護報酬額(1割負担の場合)を支払われます。

要支援1(介護報酬:本人の負担額)→53,700円:5,370円
要支援2(介護報酬:本人の負担額)→92,400円:9,240円
要介護1(介護報酬:本人の負担額)→159,900円:15,990円
要介護2(介護報酬:本人の負担額)→179,100円:17,910円
要介護3(介護報酬:本人の負担額)→199,800円:19,980円
要介護4(介護報酬:本人の負担額)→219,000円:21,900円
要介護5(介護報酬:本人の負担額)→239,400円:23,940円
※単価はサービスの種類・地域によっても少し異なります。

出典:公益社団法人 全国有料老人ホーム協会「介護保険を利用する場合の費用負担」(平成29年6月10日アクセス)

特定施設入居者生活介護の加算の種類について

次に、特定施設入居者生活介護を運営した場合に算定できる「加算の種類」についてご紹介します。特定施設入居者生活介護の加算の種類には指定施設の体制によって、このような加算があります。

個別機能訓練加算1日につき12単位を加算
夜間看護体制加算1日につき10単位を加算
医療機関連携加算1月につき80単位を加算
看取り介護加算死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位を加算死亡日以前2日又は3日:1日につき680単位を加算死亡日:1日につき1,280単位を加算
認知症専門ケア加算                      認知症専門ケア加算Ⅰ:1日につき3単位を加算認知症専門ケア加算Ⅱ:1日につき4単位を加算
サービス提供体制強化加算サービス提供体制強化加算Ⅰ(特定施設入居者生活介護費)1日につき18単位を加算サービス提供体制強化加算Ⅰ(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護)1日につき12単位を加算サービス提供体制強化加算Ⅱ:1日につき6単位を加算サービス提供体制強化加算Ⅲ:1日につき6単位を加算
介護職員処遇改善加算介護職員処遇改善加算Ⅰ介護職員処遇改善加算Ⅱ介護職員処遇改善加算Ⅲ介護職員処遇改善加算Ⅳ介護職員処遇改善加算Ⅴ

特定施設における平成30年度の介護報酬改定では、入居者様の医療ニーズにより的確に対応できるように「退院時連携加算の創設」や「医療的ケア提供加算の創設」「機能訓練指導員の資格要件の緩和」などが行われます。

平成30年度の介護報酬改定として、特定施設入居者生活介護で行われた改定についてこちらをご覧ください。

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特定施設入居者生活介護を開設・運営するメリット

特定施設入居者生活介護では、介護認定を受けていない方でも入居が可能です。

また、施設によっては夫と共に住むこともできます。入居後に身体機能の低下により介護認定を受けた場合は、すぐに介護保険サービスを受けることができるため、24時間体制で介護を受けることができ、遠方に住むご家族も安心して入居していただくことが多いようです。

一方で、特定施設入居者生活介護では、入居一時金や月々の費用が高いと思われる方も多く、入居を懸念される方もいらっしゃいます。

まとめ

今回は、特定施設入居者生活介護の開設・運営に必要な「人員基準」「介護報酬額」「加算の種類」などをまとめてご紹介しました。

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)の入居条件は、特に介護認定を受けている必要はなく、年齢も60歳以上、65歳以上など条件は施設ごとに異なります。施設によっては、介護認定を受けている必要があるなどの別途、入居条件を設けていることもありますのでどのような特定施設入居者生活介護を運営するかは事前に決めておきましょう。

今回の記事が、これから初めて特定施設入居者生活介護を開設・運営する皆様の参考になれば幸いです。
 

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この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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