ショートステイとデイサービスの同日利用や併用は可能?実際に同日利用・併用したケースや注意点を解説!

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更新日:2024/04/15

介護ニーズが多様化する中、「ショートステイとデイサービスを同日利用したい・併用したい」という人が増えています。ケアマネジャーの中にも同日利用を前提としたケアプラン作成を検討する人がいるようです。そこでこの記事では、ショートステイとデイサービスの併用・同日利用は可能なのかについて詳しく解説しています。  

ショートステイとデイサービスの役割の違い

ショートステイは、介護する側の介護負担軽減や一時的に介護ができない場合に短期間施設に入所し、日常生活全般の介護を受けられるサービスです。自宅にこもりきりの利用者の孤独感の解消や心身機能の維持回復だけでなく、家族の介護の負担軽減などを目的としてサービスを実施します。

それに対し、デイサービスは日中に施設に通い、入浴や食事などの介護やリハビリを受けられるサービスです。ショートステイと同様に利用者の心身機能の維持回復や家族の介護負担軽減などが目的となりますが、基本的に宿泊はありません。

ショートステイとデイサービスにおけるサービスの内容に差はありませんが、違う点をあげるとするなら利用できる「時間帯」です。

ショートステイは宿泊、デイサービスは日中の時間帯が利用時間となります。ショートステイのほうが宿泊のため、滞在時間が長く時間配分にゆとりがある場合が多いでしょう。

料金

利用料金については、ショートステイとデイサービスで料金設定の特徴が異なります。基本的にショートステイでは「介護度」と「部屋のタイプ」で異なっており、介護度が重いほど利用料金は高くなります。

ショートステイの部屋のタイプは以下の種類があります。

  • 多床室:4人以下の相部屋となる部屋、料金は低め設定
  • 従来型個室:ユニット型以外の個室、料金は低め設定
  • ユニット型(個室もしくは個室的多床室):食堂や浴室が共有スペースとなっているユニット型の個室、料金は高め設定

利用者の介護度と部屋のタイプによって利用料金は異なるため、事前に確認するようにしましょう。

デイサービスの利用料金は、基本的に「介護度」と「滞在時間」で異なります。
滞在時間は、通常規模の通所介護では以下の6種類があります。

  • 3時間以上4時間未満
  • 4時間以上5時間未満
  • 5時間以上6時間未満
  • 6時間以上7時間未満
  • 7時間以上8時間未満
  • 8時間以上9時間未満

基本的には利用者の介護度が重く、滞在時間が長くなるほど利用料金は高くなります。

利用条件

ショートステイとデイサービスの利用条件は同じです。

ショートステイとデイサービスを利用するためには「要支援1〜2」や「要介護1〜5」の要介護認定を受けている必要があります。

具体的には、以下の2つのいずれかに該当している人です。

  • 要支援1~2または要介護1~5の65歳以上の高齢者
  • 40~64歳で特定疾病により要介護と判断された人

ショートステイとデイサービスは介護保険が適応されるため、介護認定が必要となる点は抑えておきましょう 。

利用日数

利用日数について、ショートステイとデイサービスでは規定が異なります。

ショートステイは長期利用に規制が設定されており、連続して30日を超えてサービスを受ける場合、30日以上に受けたサービスは短期入所生活介護費を算定できないとされています。つまり、連続30日を超えてショートステイを利用する場合、介護保険を利用することができません。

また、ショートステイは介護認定期間(要介護認定の有効期間)の半数までしか利用できません。介護認定期間とは「要介護と認定された日から、その認定の有効な期限の日数」のことです。

厚生労働省は介護認定期間について、原則6ヵ月とするとしていますが、要介護者の状況により自治体が認定期間を3〜48ヵ月の間で認定することを認めています。認定機関の半分以内の日数までしか利用できないとは、例えば、介護認定期間が6ヵ月(180日)の方は最大90日までしかショートステイを利用できないということになります。

ショートステイの利用規定に「連続30日」と「介護認定機関の半分以内」が含まれることを抑えておきましょう。ただし、介護保険を用いずに自己負担の場合は、今回紹介した制限なく利用可能です。

参考:厚生労働省「短期入所生活介護の報酬・基準について(検討の方向性)

デイサービスの利用日数に関しては、原則として制限はありません。ただし、介護度によって利用日数のおおよその目安があります。デイサービスの利用日数の目安は以下の通りです。

  • 要支援1:週1~2回
  • 要支援2:週2~3回
  • 要介護1~2:週3~4回
  • 要介護3~4:週4~5回
  • 要介護5:週5~6回

介護度が上がるにつれて、利用回数が増えていきます。あくまでも目安ですが抑えておくとよいでしょう 。

ショートステイとデイサービスの特徴まとめ

ショートステイとデイサービスの特徴をまとめると、以下のようになります。

ショートステイデイサービス
サービス内容入浴や食事などの介護とリハビリ入浴や食事などの介護とリハビリ
利用できる時間帯宿泊日中の時間帯
料金(目安)778円(要介護3で1泊多床室を利用)773円(要介護3で1日5時間以上6時間未満を利用)
利用条件介護認定を受ける介護認定を受ける
利用日数原則として連続30日以内もしくは介護認定期間の半分以内原則として制限なし

サービス内容や利用条件は同じです。2つのサービスの大きな違いは、冒頭て紹介したように「利用できる時間帯」になります。ショートステイは宿泊できること、デイサービスは日中の時間帯のみ利用できることが特徴と言えるでしょう。

ショートステイとデイサービスは併用できる?

原則として、介護保険の支給限度額に収まる範囲であれば、ショートステイとデイサービスの併用は可能です。ここでいう併用とは、同じ月内で2つのサービスを組み合わせて使うことを指しています。

ショートステイとデイサービスは、サービスの内容に大きな違いはありません。介護者の負担を軽減するなど利用目的が同一の場合も多くあります。

しかし、利用できる時間帯が異なるため、両方のサービスを併用することで介護者のさまざまな生活スタイルや長時間介護ができない状況にも対応することが可能です。

たとえばデイサービスを利用している方でも、主介護者が葬儀や結婚式など遠方にでかける必要がある場合には、ショートステイによる宿泊サービスが必要になるでしょう。

このように、介護者が生活の中で介護をすることが難しい状況に対応するため、同じ月のなかでショートステイとデイサービスを併用することは可能です。

ただし「併用」と「同日利用」は考え方が異なるため、注意しましょう。同日利用とは、ショートステイもしくはデイサービスを利用した日にもう一方のサービスを利用することです。

ショートステイとデイサービスの同日利用については、次の章で解説します。

ショートステイとデイサービスの同日利用の考え方

同日利用と併用は考え方が異なるので注意が必要です。ショートステイとデイサービスの同日利用は原則としてできません。

介護サービス関係Q&A集において「ショートステイの退所日に福祉系サービスを利用した場合に算定できるか」という質問があります。

以下、回答の引用です。

別に算定できる。ただし、施設サービスや短期入所サービスでも、機能訓練やリハビリを行えることから、退所(退院)日に通所介護サービスを機械的に組み込むといった計画は適正ではない。

引用:平成12年4月28日付事務連絡 介護保険最新情報vol.71介護報酬等に係るQ&A vol.2

ショートステイとデイサービスは同日に利用できますが、同様のサービスを受けられるため、計画的に同日利用する可能性はなく、不適切ということになります。

そのため、通常のケアプランを作成する際には同日利用を組み込むことができません。

自治体によって考え方は多少異なるかもしれませんが、緊急時以外は基本的にショートステイとデイサービスは同日利用ができないことを抑えておきましょう。

ショートステイとデイサービスを同日利用したケース

ここではショートステイとデイサービスを同日利用したケースを2つ紹介します。

原則として、ショートステイとデイサービスを同日に利用することは不適切です。そのため、同日利用は緊急性や必要性がある場合に限ります。

家族の都合で家に帰れないケース

同日利用の例として、家族の都合で家に帰れないケースが挙げられます。

デイサービスの利用中に介護者が急に入院したなどで自宅に帰れなくなった場合、介護者の都合がつかなくなるため、利用者は家に帰ることができなくなります。

このようなケースでは緊急性が認められるため、デイサービスの利用後から、ショートステイを利用するといった同日利用ができます。

ショートステイからデイサービスに切り替えたケース

他の同日利用の例として、ショートステイからデイサービスに切り替えるケースがあります。

ショートステイでは感染症を引き起こしやすい高齢者が集団生活をするため、感染症対策は特に重要です。

そのため、利用者の健康状態がよくない場合や発熱などの感染症の疑いがある場合は、ショートステイの利用を急に断るケースもあるでしょう。

急にショートステイを断られると利用者は行く場所を失い、介護者も困ってしまいます。このような急を要するケースでは、デイサービスの事業所と相談してショートステイからデイサービスに切り替えることも可能です。

ショートステイとデイサービスを併用した場合の料金

ここでは、ショートステイとデイサービスを併用した場合の料金を紹介します。料金は介護度や居住費、食費によって異なるため、あくまでも目安の参考にしてください。

ショートステイの費用の相場(1日の利用)

ショートステイなどの介護保険施設に入所(滞在)すると、介護保険サービス費用の1割〜3割を負担する他に、居住費(滞在費)・食費という費用を負担することになります。

居住費とは、家賃のような費用であり、それぞれのショートステイにより異なっています。食費についても、「1食あたり○円」や「朝食○円、昼食○円、夕食○円」のように事業所で決められており、料金説明や契約の時に重要事項として説明があります。

ショートステイの居住費と食費については、所得の低い方(利用者負担段階が第1段階~第3段階に該当する方で、負担限度額認定証を取得した方)については、負担の上限額(負担限度額)が定められ、居住費(滞在費)・食費の負担が軽減される制度があります。

ショートステイの料金は、基本料金に加えて居住費や食費などがかかります。基本料金は介護保険が適応され、自己負担金額は1〜3割です。介護度や部屋タイプごとに金額が決められているため確認しましょう。

以下の表は併設型短期入所生活介護における基本料金です。(1割負担の場合)

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
多床室446円589円596円665円737円806円874円
従来型個室446円589円596円665円737円806円874円
ユニット型個室・ユニット型個室的多床室523円649円696円764円838円908円976円

※サービス費用は、施設の形態、居室の種類、職員の配置などによって異なることがわかります。

費用は市区町村によって異なることがあるため注意しましょう。

参考:介護報酬の算定構造(R3.1.18)

デイサービスの費用の相場(1回の利用)

デイサービスの料金は、利用料とサービス加算の費用、そして食費やオプション料金の費用がかかります。

利用料とサービス加算の費用は介護保険が適用されるため1〜3割が自己負担金額です。利用料はデイサービスを利用することで発生する料金で、要介護度と利用時間によって設定されます。基本的に要介護度が重く、利用時間が長いほど利用料は高いです。

以下の表はデイサービスの利用料になります。(1割負担の場合)

要介護区分3時間以上4時間未満4時間以上5時間未満5時間以上6時間未満6時間以上7時間未満7時間以上8時間未満8時間以上9時間未満
要介護1364円382円561円575円648円659円
要介護2417円438円663円679円765円779円
要介護3472円495円765円784円887円902円
要介護4525円551円867円888円1,008円1,026円
要介護5579円608円969円993円1,130円1,150円

参考:厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」

市区町村によって異なることがあるため注意しましょう。デイサービスの利用時間は、緊急時では何時間の利用になるか分からないため、あくまでも参考にしてください。

デイサービスのサービス加算とは、デイサービスで受けるサービスごとに設定されている加算のことです。デイサービスの加算には個別機能訓練加算や入浴介助加算などのさまざまな種類があります。

サービス加算の一例は以下の通りです。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ 56円/回
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ 85円/回
入浴介助加算(Ⅰ) 40円/回
認知症加算 60円/回
栄養改善加算 200円/回
口腔機能向上加算 150円/回

事業所によって算定している加算は異なるため、あくまでも目安として知っておきましょう。

デイサービスでは、食費やオプション料金も必要になります。利用料とサービス加算は介護保険の適応となります。しかし、食費やオプション料金は介護保険の適応ではありません。

食費とは、デイサービスにて提供される食事やおやつにかかる費用のことであり、およそ500円〜800円くらいが相場とされています。

オプション料金とは、オムツ代やレクレーションなどにかかる費用です。オプション料金は事業所によって大きく異なります。

デイサービスを利用する際は、利用料だけでなく食費やオプション料金などを含めて確認すると良いでしょう。

参考:介護報酬の算定構造(R3.1.18)

ショートステイ・デイサービス併用のメリット

こちらでは、ショートステイとデイサービスを併用して利用するメリットについて紹介します。主なメリットは以下の2つです。

  • 介護者にかかる負担を減らせる
  • 施設利用の雰囲気を体験できる

以下に詳しく解説しますのでご参考ください。

介護者にかかる負担を減らせる

ショートステイとデイサービスを利用する目的には、利用者へのケアサービス提供と介護者の負担軽減が主に挙げられます。一方のサービスを利用するよりも、より効果的で幅広いケースの介護負担を軽減することが期待できるでしょう。

ショートステイは夜間もサービスを受けることができますが、連続した利用期間には制限があります。デイサービスは定期的に長期間の利用が可能ですが、夜間はサービスを受けることができません。

ショートステイとデイサービスの併用によって、介護者に介護以外の時間を作ることは、負担の軽減のための重要な要素になります。

また、ショートステイとデイサービスの同日利用は基本的には行えませんが、緊急時に利用することができます。

たとえば、長期間の介護生活では、介護者の入院など急に介護ができない状態も起こりえるでしょう。そんな時には、緊急対応としてショートステイとデイサービスを同日利用することで、柔軟に対応することができます。

同日利用は介護者に不測の事態が起こった際に役立つことを抑えておきましょう。

施設利用の雰囲気を体験できる

ショートステイやデイサービスを利用するメリットとして、施設での雰囲気を体験することができます。

新しい環境や知らない人と接することは身体的にも精神的にも負担が大きいものです。特に高齢者は、負担やストレスが大きい傾向があるとされています。

そのためいきなり施設に入所するのではなく、ショートステイやデイサービスを利用することで施設の雰囲気を体験し、利用者の負担を軽減することは大切です。

ショートステイでは長時間の滞在や宿泊を体験することができ、デイサービスでは集団でのレクレーションなどを体験できます。

ショートステイとデイサービスを併用することで、体験できるサービスのバリエーションや機会が増えるため、施設の雰囲気に慣れやすくなるでしょう。

併用・同日利用する場合の注意点

ショートステイとデイサービスを併用や同日利用する際の共通する注意点について解説します。主な注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 費用が高くなる
  • 利用者のストレスの原因になることも

以下に詳しく解説しますのでご参考ください。

費用が高くなる

ショートステイとデイサービスを併用すると、それぞれのサービスに利用料金がかかるため費用が高くなります。

また、介護保険を用いてサービスを利用する場合は支給限度額に注意が必要です。支給限度額とは、1ヶ月あたりの介護保険を用いてサービスを受けることができる金額の上限のことです。支給限度額は、介護度別に金額が定められているため確認しましょう。

支給限度額を超えてサービスを利用することは可能ですが、超過分は自己負担になってしまいます。

たとえば、支給限度額に近い金額までデイサービスなどを利用している場合、追加でショートステイを利用しようとすると、別のサービスを減らすか介護保険適用外のショートステイを利用する必要性が生まれるでしょう。

ショートステイやデイサービスなど、複数のサービスを利用する際には費用が高くなることに注意しましょう。

利用者のストレスの原因になることも

ショートステイやデイサービスを利用することで介護施設に慣れるというメリットもありますが、利用者のストレスの原因になる可能性もあります。

高齢者は不慣れな環境では身体的・精神的な負担が大きく、ストレスを受けやすいとされています。デイサービス・ショートステイの併用や同日利用は自宅以外で過ごす時間が長くなり、施設スタッフや他の利用者と関わる機会が増えるため、利用者のストレスになることがあるでしょう。

慣れない環境で長時間過ごすことでストレスが大きくなり、体調が変化する可能性もあるため注意が必要です。

ショートステイやデイサービスを負担と感じるかは、利用者本人の意欲や性格なども大きく関わるため一概には言えませんが、事前に利用者や家族と相談しておきましょう。

ショートステイとデイサービスの正しい活用はより良い生活に役立つ

ショートステイとデイサービスの大きな違いは利用時間にあります。

ショートステイは宿泊、デイサービスは日中の時間帯のみ利用可能という特徴があり、利用者や介護者の生活に合わせて選択すると良いでしょう。

併用することで介護者の負担軽減が図れたり、施設の雰囲気に慣れたりできるなどのメリットがあります。

ショートステイとデイサービスの同日利用は、原則としては不適切です。ただし、介護者が急遽入院するなど突発的な事態には同日利用できるため柔軟な対応は可能です。

ショートステイとデイサービスを活用することは、利用者や介護者のより良い生活に役立つため、適切に検討しましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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