認知症加算と中重度者ケア体制加算の違いとは|通所介護の加算・減算

平成27年度介護報酬改定にて、通所介護事業所においては基本報酬が大幅に減額となりました。そんな中で、新たに新設された認知症加算や中重度者ケア体制加算を取得しようと考えている事業所も多いのではないでしょうか?そこで今回は、「認知症加算」と「中重度者ケア体制加算」の違いや算定要件について解説します。

認知症加算と中重度者ケア体制加算の違いとは

新たに新設された「認知症加算」を取得しようと考えていませんか?


認知症加算の取得をお考えであれば、まず類似する加算に中重度者ケア体制加算との違いについて把握しておく必要があります。


認知症加算と中重度者ケア体制加算を取得する場合、認知症のご高齢者を積極的に受け入れ、認知症の症状の進行を緩和するケアを行うなどの目標を通所介護計画書または別途作成する計画に記載することが必要となります。また、それぞれの指定基準に応じた介護職員または看護職員を配置することも必要となります。


そんな認知症加算と中重度者ケア体制加算の大きな違いについて簡単に解説します。


【認知症加算】
■取得単位:60単位/日
■中重度者ケア体制加算との違い
① 認知症高齢者の日常生活自立度III以上の利用者の占める割合が「100分の20以上」であること。
② 認知症介護指導者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修等を修了した者を「1名以上」確保していること。


【中重度者ケア体制加算】
■取得単位:45単位/日
■認知症加算との違い
① 要介護3以上の利用者の占める割合が「100分の30以上」であること。
② 事業所のご利用者様全員に対して加算する。


厚生労働省が定める「認知症加算」と「中重度者ケア体制加算」のそれぞれの算定要件は、次章より詳しくご紹介していきます。


▼通所介護計画書の書き方について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【関連記事】通所介護計画書の書き方
信頼されるデイサービスを運営するために必要な通所介護計画書の書き方を解説します♬

認知症加算の算定要件について

ではまず、「認知症加算」の算定要件について詳しく解説します。


《単位数》
60単位/日


《認知症加算の算定要件》
◎ 指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で「2名以上」確保していること。

◎ 前年度又は算定日が属する月の前3ヶ月間の利用者の総数のうち、「認知症高齢者の日常生活自立度III以上」の利用者の占める割合が「100分の20以上」であること。

◎ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護指導者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修等を修了した者を「1名以上」確保していること。
 

認知症加算は、認知症高齢者の日常生活自立度ランクIII、IV又はMに該当する者以上のご利用者様に対して加算とします。


▼認知症高齢者の日常生活自立度ランクについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

【関連記事】認知症高齢者の日常生活自立度とは
認知症高齢者の日常生活自立度について判定基準を解説します♬

認知症加算に関してのQ&A(厚生労働省より)

厚生労働省のQ&Aをもとに、認知症加算に関しての注意事項をご紹介します。

【質問】
認知症高齢者の日常生活自立度の確認方法如何。
【返答】
・認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。 なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。
・医師の判定が無い場合は、「要介護認定等の実施について」に基づき、認定調査員が記入した同通知中「2(4)認定調査員」に規定する「認定調査票」の「認定調査票 (基本調査)」7の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものとする。
・これらについて、介護支援専門員はサービス担当者会議などを通じて、認知症高 齢者の日常生活自立度も含めて情報を共有することとなる。
(注意事項)
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、 居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第二1(7)「「認知症高齢者の日常生活自立度」の決定方法について」の記載を確認すること。


【質問】
認知症加算について、通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護実践者研修等の修了者の配置が要件となっているが、当該加算の算定対象者の利用がない日についても、配置しなければならないのか。
【返答】
認知症加算の算定対象者の利用がない日については、認知症介護実践者研修等の修了者の配置は不要である。なお、認知症の算定対象者が利用している日に認知症介護実践者研修等の修了者を配置していない場合は、認知症加算は算定できない。


【質問】
認知症加算の要件に「認知症の症状の進行の緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成すること」とあるが、事業所として一つのプログラムを作成するのか、利用者ごとの個別プログラムを作成するのか。
【返答】
利用者の認知症の症状の進行の緩和に資するケアを行うなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行うことが必要である。

厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成 27 年4月1日)
平成29年7月10日アクセス

認知症加算の算定要件は厳しい!?その理由と課題とは

認知症加算は、通常の人員基準の看護職員又は介護職員の配置に加えて看護職員または介護職員を常勤換算方法で「2名以上」確保していることが必要です。

例えば、最低2.5名配置の定員10人のデイサービスでは、これにプラスして2名のスタッフを配置しないと加算は算定できないことになります。


また、認知症介護実践研修等が終了しているスタッフがいるかどうかも重要になります。もし新たに認知症研修を受講する場合は、約100時間の受講をしないといけません。

さらに、中重度者ケア体制加算と認知症加算を併せて算定する場合、中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員(認知症介護に係る研修を修了している)は、他の職務と兼務することはできません。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了しているスタッフを別に配置する必要があります。


このことからも新たに認知症加算を取得する場合は、算定要件の制約が厳しい印象があります。看護師や介護士の人材不足の現状の中で、認知症介護指導者研修又は認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修等を終了しているスタッフを雇用するのは難しく、スタッフが充実している大規模デイサービスしか算定ができていないことが課題となっています。

中重度者ケア体制加算の算定要件について

次に、「中重度者ケア体制加算」の算定要件について解説します。


《単位数》

45単位/日




《中重度者ケア体制加算の算定要件》

◎ 指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で「2名以上」確保していること。


◎ 前年度又は算定日が属する月の前3ヶ月間の利用者の総数のうち、「要介護3以上」の利用者の占める割合が「100分の30以上」であること。


◎ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を「1名以上」確保していること。




※中重度者ケア体制加算の算定要件も満たす場合は、認知症加算の算定とともに中重度者ケア体制加算も算定できます。

中重度者ケア体制加算に関してのQ&A(厚生労働省より)

厚生労働省のQ&Aをもとに、中重度者ケア体制加算に関しての注意事項をご紹介します。

【質問】
加算算定の要件である通所介護を行う時間帯を通じて、専従で配置する看護職員 の提供時間帯中の勤務時間は、加配職員として常勤換算員数を算出する際の勤務時間数には含めることができないということでよいか。
【回答】
提供時間帯を通じて配置する看護職員は、他の職務との兼務は認められず、加算の要件である加配を行う常勤換算員数を算出する際の勤務時間数に含めることはできない。 なお、加算の算定要件となる看護職員とは別に看護職員を配置している場合は、当該看護職員の勤務時間数は常勤換算員数を算出する際の勤務時間数に含めることができる。


【質問】
重度の要介護者であっても社会性の維持を図り在宅生活の継続に資するケアを計画的に実施するプログラムとはどのようなものか。
【回答】
 今までその人が築いてきた社会関係や人間関係を維持し続けられるように、家庭内の 役割づくりのための支援や、地域の中で生きがいや役割をもって生活できるような支援をすることなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行う必要がある。


【質問】
通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を1名以上配置とあるが、指定基準の他に配置する必要があるのか。
【回答】
当該事業所に配置している看護職員が現在、専従の看護職員として提供時間帯を通じて既に配置している場合には、新たに配置する必要はない。

厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成 27 年4月1日)
平成29年7月10日アクセス

認知症加算と中重度者ケア体制加算に関してのQ&A(厚生労働省より)

[引用画像]厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に関するQ&Aより

最後に、認知症加算と中重度者ケア体制加算のどちらにも関連する厚生労働省のQ&Aをご紹介します。

【質問】
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号。以下「指定居宅サービス等基準」という。)第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する必要があるが、具体的な計算方法如何。
【回答】
例えば、定員 20 人の通所介護、提供時間が7時間、常勤の勤務すべき時間数が週40時間の場合であって、営業日が月曜日から土曜日の場合には、常勤換算の計算方法は以下の通りとなる。(本来であれば、暦月で計算するが、単純化のために週で計算。)
① 指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数
確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数=11.2 時間
② 指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数
指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8 時間
以上より、上記の体制で実施した場合には、週全体で 84 時間の加配時間となり、84 時間÷40 時間=2.1 となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになる。
※常勤換算の計算方法は上図を参考にしてください。


【質問】
指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。
【回答】
中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできない。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している者を別に配置する必要がある。


【質問】
認知症加算及び中重度者ケア体制加算の利用者割合の計算方法は、届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均が要件を満たせば、例えば、4月15日以前に届出がなされた場合には、5月から加算の算定が可能か。
【回答】
前3月の実績により届出を行う場合においては可能である。なお、届出を行った月以降においても、直近3月間の利用者割合については、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。


【質問】
指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、指定居宅サービス等基準第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で4以上確保する必要があるか。
【回答】
事業所として、指定居宅サービス等基準第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していれば、認知症加算及び中重度者ケア体制加算における「指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する」という要件をそれぞれの加算で満たすことになる。


【質問】
認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて事業所に1名以上配置されていれば、複数単位におけるサービス提供を行っている場合でも、それぞれの単位の利用者が加算の算定対象になるのか。
【回答】
サービスの提供時間を通じて1名以上配置されていれば、加算の算定対象となる。


【質問】
通所介護を行う時間帯を通じて1名以上の配置が求められる看護職員(中重度者ケア体制加算)、認知症介護実践者研修等の修了者(認知症加算)は、日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、通所介護を行う時間帯を通じて配置されていれば、加算の要件を満たすと考えてよいか。
【回答】
14日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、加算の要件の一つである「指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所の提供に当たる看護職員(認知症介護実践者研修等の修了者)を1名以上配置していること」を満たすこととなる。

いかがでしたか。本稿では、新たに新設された認知症加算と中重度ケア体制加算の違いについてご紹介しました。皆様の事業所が、今後この加算を取得するための参考になれば幸いです。

著者プロフィール

author

大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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