高齢者の転倒予防の基礎知識|転倒の原因から転倒予防体操・ガイドラインまで

ご高齢者の転倒は、年間に5人に1人は経験しているといわれています。ご高齢者が一度転倒してしまうと外出することに恐怖心を覚えたり、家に閉じこもってしまうこともあります。そのため、転倒の予防は重要ですが、原因や対策方法がわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、転倒予防に取り組むスタッフに向けて、ご高齢者の転倒の原因から転倒予防体操までまとめて解説します。

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なぜ転倒予防が重要なのか?

最近では「転倒予防体操」という言葉をよく耳にしますが、なぜご高齢者に転倒予防が重要なのでしょうか?

 

理由1) 転倒の頻度が多い

ご高齢者の転倒予防が注目されている理由の1つに「転倒の頻度」があります。

厚生労働省老健局(平成22年)の調査によると、65歳以上の介護保険非認定者のうち「23,3%」の方が過去1年の間に転倒経験があったと報告しています。つまり、ご高齢者のうち「1/5名以上」の方が転倒していることになります!

理由2) 介護状態の原因

続いて、ご高齢者の転倒予防が注目されている理由の2つ目に、介護が必要になった原因の第5位が「転倒・骨折(10.2%)」であることが挙げられます(上位から脳血管障害、認知症、高齢による虚弱、関節疾患に次いで5位)。こんなにも多くの方々が転倒して、もしも骨折などの外傷を負ってしまったら、これから更なる超高齢化を迎える日本の医療・介護保険は破綻してしまいます。


理由3) 超高齢化がすすむ

ご高齢者の転倒予防が注目されている理由の3つ目は、日本の高齢者人口が増加することが挙げられます。
総務省統計局(2017)の発表によると、65歳以上のご高齢者人口は3,471万人で、日本の人口の「約30%」にもなります。2025年に向けて高齢化率が高まる中で、ご高齢者のいつまでも元気に生活していただけるように、平均寿命を伸ばすだけでなく、転倒を予防し、健康寿命(介護や介助が必要なく日常生活が送れる状態)を延伸させる取り組みが重要となるわけです。

 

これらのことから、ご高齢者の転倒予防が重要視されているのです!

しかしながら、いくら転倒を予防をしようと思ってもご本人だけではなかなか取り組むことができません。私たちスタッフが転倒予防に関して知識をつけ、場を提供することが重要となります。いつまでも転倒なく健康な生活を送っていただけるように正しい知識と技術をつけていきましょう!

厚生労働省老健局 平成22年「日常生活圏域ニーズ調査 モデル事業・結果報告書」
平成29年4月6日アクセス

ご高齢者が転倒しやすい場所はどこか?

実際にご高齢者が転倒している場所はどこが多いのでしょうか?ここではご高齢者の転倒場所について詳しくご紹介します。

 

内閣府(全国の60歳以上の男女の約2,000名の面接聴取)の報告によると、ご高齢者の転倒場所は「」が最も多く、次いで「居間・茶の間・リビング」「玄関・ホール・ポーチ」「階段」「寝室」ということがわかっています。

 

屋外での転倒が多いように思えますが、全体を見てみると「室内」での転倒の方が多いことがわかります。また、屋内では「階段」や「お風呂」が滑りやすい環境、つまずきやすい環境のため転倒も起こりやいのではと思っていましたが、実は日常よく過ごしている「居間・茶の間・リビング」での転倒が多いことがわかります。

このことからご自身で意識的に転倒に注意している場所よりも、無意識に生活している場所の方が足元に注意が払えず、つまずくことが多くなっているのではないかと考えられます。

つまり、ご高齢者の方に転倒予防として指導する場所は、屋内の中でも特に「居間・茶の間・リビング」で足元に注意するようにお声かけをしていくことが重要となります!

内閣府「平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」
平成29年4月2日アクセス

ご高齢者の転倒の原因はどんなこと?

ここでは、ご高齢者の転倒の原因について整理していきましょう。

高齢者の転倒の原因には「内因性」と「外因性」に大きく2つに分類することができます。これらの要因は、一概に減らすことのできませんが、私たちスタッフが転倒の原因として把握することで転倒の危険性を少しでも減らし、転倒予防に務めることはできるはずです。是非、覚えておいてください。

内因性の原因

転倒の原因である内因性リスクには、身体的特徴に関連する能力または疾病・疾患、薬剤などがあります。

・認知障害:注意機能低下などの影響により転倒など

・視力障害:白内障などの視力低下によりつまずき・転倒

・感覚障害:足の裏の感覚障害により転倒など

・筋力低下:太もも、お尻などの筋力低下によりつまずき・転倒など

・バランス能力低下:歩行時のふらつき転倒など

・Dual-task(二重課題)遂行能力の低下

・低栄養:低ビタミンD欠乏などによるサルコペニアの影響で転倒

・薬剤性:眠剤の服用によるふらつき・転倒など

・めまい、起立性低血圧:ふらつきによる転倒など

 

外因性の原因

転倒の原因である外因性リスクには、床や手すり、段差、部屋の明るさなどの環境に起因するものがあります。

・床:絨毯やコードに引っかかるなどのつまずき・転倒など

・段差:玄関の上がり框、敷居の段差につまずき・転倒など

・明るさ:夜間に部屋が暗く転倒など

・ベッド柵:ベッドからの立ち上がり時に転落・転倒など

・衣類:畳の上で靴下が滑り転倒など

※その他にも「過去の転倒歴」や「歩行補助具の使用」は転倒の要因として注意しておきたい項目となります。

 

▼ご高齢者の転倒を予防する活動として「リスクマネジメント」という取り組みがあります。リスクマネジメントは、介護現場のリスクを把握し、組織的に管理することで転倒などの介護事故を未然に防ぐことができます。リスクマネジメントについて詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすです。

【関連記事】

介護現場のリスクマネジメント|始め方がわかる4つのステップ!

リスクマネジメントに取り組む方法を4つのステップでご紹介します。

転倒予防に効果があるのはどんな方法なのか?

ご高齢者の転倒予防に効果的な方法は、集団や個別での「運動」とされています。

運動の中でも特に「複合要素のプログラム」が転倒予防に有効です!

 

また、「身体や住宅環境などの包括的な評価とそれに基づくリスク修正」も転倒予防の効果が期待できるとされています。その他には「単一要素の介入」と「複数要素の介入」があります。

 

転倒予防に有効な単一要素の介入

・運動(グループ、個別)

・家屋評価・改修

・初回白内障手術

・積雪地帯での靴の工夫

・通常の足診療に加えて足の運動など多面的介入

・家庭医への内服処方指導

 

転倒予防に有効な複数要素の介入

・運動を含む複数要素の介入

・包括的評価とそれに基づくリスク修正

大高 洋平「高齢者の転倒予防の現状と課題」

日本転倒予防学会誌 Vol.1:11-20 2015

平成29年4月6日アクセス

転倒予防に効果的な運動方法とは?

ご高齢者の転倒予防に有効な運動とは、どういったものがあるのでしょうか?

太極拳

転倒予防に有効な体操は、集団で実施する「太極拳」と報告されています!

中国の公園などで集団で行われている太極拳は、転倒予防に効果的な運動だったのです。

複数の運動

その他には「複数の要素を複合した運動プログラム」も転倒予防に有効です!

複数の要素には、筋力、バランス、ストレッチ、持久力、ステッピング、スクエア、歩行などがあります。ご高齢者の場合は、特定の疾患などの影響により運動の効果に違いはありますが、この「複数の運動プログラム」を実施していくことは予防に非常に重要です。例えば、転倒予防プログラムを実施する場合は、毎週ごとに「ストレッチ」や「筋トレ」「バランス」など運動プログラムを変更して取り組むことがおすすめです。

 

▼高齢者の転倒予防に効果的な複数の運動についてはこちらで詳しくご紹介しています。

【関連記事】

転倒予防体操 全18種|ご高齢者に効果的な体操とは

転倒予防に効果的なストレッチ・筋トレ・ステップ運動などさまざまな体操方法をご紹介します。

転倒予防のガイドラインもオススメです!

ご高齢者の転倒予防に関しては、ガイドライン本も出版されていますので書籍を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

ご高齢者の転倒予防ガイドライン本

<監修>

鳥羽 研二 国立長寿医療研究センター病院長

<紹介>

長寿科学総合研究事業転倒予防ガイドライン研究班によるガイドライン。
原因の8割以上が転倒である大腿骨頸部骨折は年々増加しており、寝たきりの主因となっている。そこで研究班ではいかに転倒を予防するか、転倒危険因子21項目に対するケアプランを作成、転倒予防手帳を作成・配布している。今回のさらなる研究で転倒予防効果があると言われている因子について、エビデンスを提示したガイドラインを作成した。「転倒予防手帳」PDFの入ったCD-ROM付き。

<出版社>

2012年7月4日 メジカルビュー社

 

転倒予防体操をご紹介します!

ではここからは、ご高齢者の転倒予防体操について詳しくご紹介して行きます。

 

転倒の危険度を評価する

転倒予防体操を始める前に、転倒の「危険性」を評価しておきましょう。

 

転倒のリスクを評価する方法として「バーグバランススケール(Berg balance scale)」があります。

バーグバランススケールは、評価項目が14項目とバランス評価の中でも信頼性の高いテストになります。しかしながら、評価時間が10〜15分程度かかります。最大スコアが56点で、カットオフ値が設定されています。

 

採点方法(カットオフ値)

□.0-20点:バランス障害あり

□.21-40点:許容範囲のバランス能力

□.41-56点:良好なバランス能力

※最大スコアは56点

転倒は、身体的な能力の低下だけでなく、認知・心理・行動によるもの、環境によるもの、課題や動作によるものなど様々な要因が密接に組み合わさって起こります。そのため高い精度で転倒を予測していくことは非常に難しくなります。

理学療法士などの専門職といくつかのテストを組み合わせチェックすることで転倒の危険性を把握していくことをおすすめします。


▼ご高齢者の転倒の危険性を判断する評価方法には、その他にも様々なテストがあります。バランス評価の種類や評価方法について詳しく知りたい方は。こちらの記事がおすすめです。

【関連記事】

 

バランス評価の種類と測定方法の基礎知識

ご高齢者の転倒の危険性を判断する5つのバランス評価をまとめてご紹介します。

 

筋力トレーニング編

 

 

ご高齢者に向けた転倒予防体操は、「複数の要素を複合した運動プログラム」が有効です。ここからは目的別の予防体操をご紹介していきます。

まず、こちらの運動は、ご高齢者の転倒予防に必要な「筋力トレーニング」です。

筋力低下は40〜50歳代より特に大腿部の筋力が低下すると言われています。そのため「大腿四頭筋」や「大臀筋・中臀筋」を中心に鍛えていきましょう。

 

【回数】

10回を目安に行いましょう

【立位×太もも×お尻×筋トレ】をもっと詳しくみたい方はこちら

運動検索を活用してご高齢者に最適な筋トレを提案しよう。

 

バランストレーニング編

 

 
 

次にこちらの転倒予防体操は、片脚立ちで保持する「バランストレーニング」です。

片脚立ちは、日常生活動作の中でも靴下や靴の着脱の際に重要です。また、お風呂の浴室の跨ぎの際にも必要不可欠な要素です。ご高齢者は年を重ねるにつれて、この片足立ちが不安定になります。ぜひ転倒予防体操として取り組んでいただきたいと思います。バランスに自信のない方は壁や手すりに手を添えるように指導しましょう。

 

【回数】

左右共に30秒×3回を目安に行いましょう。


▼片脚立ちについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

【関連記事】

片脚立位のカットオフ値とは|評価初心者でも分かる測定方法

片脚立ちの測定方法から転倒リスクの指標となるカットオフ値まで紹介します。

 

歩行トレーニング編

 
 
 
 

次にご高齢者の転倒予防体操として「タンデム歩行」「クロスオーバーステップ」の2種類の歩行トレーニングをご紹介します。

タンデム歩行は、踵とつま先を合わせながら1本の線の上を歩くことで中臀筋などのお尻の筋肉の働きを高め、バランスを鍛えることができます。

クロスオーバーステップは、脚をクロスして横移動することで長腓骨筋や下腿三頭筋などの足関節周囲の筋肉の働きを高め、バランスを鍛えることができます。

 

【回数】

10歩×3回を目安に行いましょう。

姿勢保持トレーニング編

 
 

次に、ご高齢者の転倒予防体操として、「姿勢保持トレーニング」として効果的な「足首」と「腰」の運動をご紹介します。

人は「足関節」「股関節」「ステッピング」の3つでバランスを保ちます。特に、ご高齢者の場合は「足関節」でバランスを保つことが難しく「股関節」でバランスを保とうとします。そのため、腰や股関節にストレスを抱え、痛みが出る方が多くいらっしゃいます。腰や股関節への負担を軽減する為にも「足」でバランスを保つ予防体操に取り組んで行きましょう!

 

3つの姿勢制御とは

名前 役割

足関節戦略

(ankle strategy)

足関節でバランスを保つ役割。

少し動揺刺激が加わった時に働く役割。

股関節戦略

(hip strategy)

股関節でバランスを保つ役割。

大きい動揺刺激が加わった時に働く役割。

ステッピング戦略

(stepping strategy)

バランスを崩した時に

一歩足を踏み出しバランスを保つ役割。

 

二重課題トレーニング編

 
 

こちらの転倒予防体操は、「二重課題トレーニング」です。

二重課題(デュアルタスク)とは、「○○しながら〜する」といったように複合的な課題に対して注意を分散させながら行動する課題を指します。こちらの運動では、バランスを保ちながら歩くことで「遂行能力」や「注意機能」「バランス能力」を高めることができます。

その他にも、転倒を予防する二重課題歩行には、水を入れたコップを持って歩くなどの「運動課題」と、簡単な計算をしながら歩くなどの「認知課題」もあります。

 

【回数】

10歩×6セットを目安に行いましょう。

ゴクニサイズ編

 

こちらは、転倒予防と認知症の予防に効果が期待できる「ゴクニサイズ」です。

ゴクニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発したご高齢者の認知症予防を目的とした取り組みを総称を表した造語です。具体的には運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた運動のことを指します。ゴクニサイズは、基本的にどのような運動や認知課題でも構いません。

ただし、以下の2つの内容が考慮されていることを前提とされています。

 

考慮すること

1)運動は全身を使った中強度程度の負荷(軽く息がはずむ程度)がかかるものであり、脈拍数が上昇すること

2)運動と同時に実施する認知課題によって、運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかっていること

今回ご紹介した体操以外にも、4つの数を数えながらの運動、ステップ、ラダーを行いながらしりとりをするのも良いでしょう。さまざまな運動や課題を試行錯誤しながら転倒予防を行ってみてください。

 

【回数】

20回×3セットを目安に行いましょう。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「ゴクニサイズとは」
平成29年4月6日アクセス

 

転倒予防のQ&A

ここからは、転倒予防に関連するよくある疑問についてお答えして行きます。

 

筋力トレーニングはどれくらいするのか?

まず初めに「筋力トレーニングはどれくらいすればいいのか?」についてお答えします。

65歳以上の高齢者が、安全かつ効果的に全身の持久力を鍛える方法として、厚生労働省(2013)は以下の3点を推奨しています。

 

推奨する筋力トレーニングの頻度

1)3METs未満(ウォーキング類などの軽度)の運動を300分以上/週

2)3METs以上(中等度・強度のスポーツ類)の運動を150分以上/週

3)基準値の 50~75%の強度の運動を 30 分以上/週 2 日以上

ご高齢者においてもレジスタンストレーニングによって、筋肉量や筋力の増加効果は認められています。但し、要介護高齢者の筋力増強は緩やかで、「6ヶ月」以降に徐々に増加する傾向が示唆されているので、長期的にトレーニングに取り組むことが重要です!

厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準 2013 」
平成29年4月6日アクセス

転倒予防はいつから始めたらいいのか?

次に、「予防はいつから始めたらいいのか?」という疑問についてお答えして行きます。

 

山田(2007年)らによると、男性では10〜40歳代に比べて「50歳代」に顕著に筋量が低下(特に大腿部)、女性では10〜20歳代に比べて「40歳代以降」で顕著に低下していると報告されています。このことから筋力低下は、男性では「50歳代」から、女性では「40歳代」から低下しており、一般的に高齢者といわれる65歳以上より遥かに早いということがわかります。

つまり、転倒予防や筋力・体力トレーニングは「40〜50歳代」から意識的に取り組んでいく必要性があるといえます。

山田 陽介 体力科学 Vol. 56「15~97歳日本人男女1006名における体肢筋量と筋量分布」

平成29年4月6日アクセス

 

ウォーキングはどれくらい歩けばいいのか?

次に、「ウォーキングはどれくらい歩けばいいのか?」という疑問についてお答えします。

 

厚生労働省健康日本21によると、1日平均歩数の基準値は男性8,202歩、女性7,282歩(平成9年度国民栄養調査)であり、目標として、男女とも平均歩数の1,000歩増加した「目標値(男性9,200歩、女性8,300歩)」を提示しています。

つまり、1日に+α歩行(1,000歩または約10分間)を推奨していきましょう!


「ウォーキング」や「運動」に関しては様々な論文が発表されていますので参考までにその一部をご紹介します。これらをみてみると、1日に約8,000〜9,000歩を目安にウォーキングを行うことで「認知症予防」や「介護予防」に効果が期待できることがわかります。

● 谷川ら(2013年)によると、健忘型軽度認知機能障害高齢者が身体活動量を増加させることで記憶機能低下を抑制し、認知症の進行を予防できる可能性を示唆しています。

● 介護度と身体活動量(歩数)の関連性では、非介護保険者では1日に7,000〜8,000歩以上のウォーキングをしているといった因子があることが分かってきています。

谷川 貴則 「健忘型の軽度認知機能障害を有する高齢者の記憶機能と身体活動量の関連」
平成29年4月6日アクセス

 

歩行速度と転倒の関係性はあるのか?

ご高齢者の転倒予防を考える上で、歩行速度が遅くなると転倒しやすいのでしょうか?それとも、歩行速度と転倒は関係ないのでしょうか?

 

米国老年研究所のQuach(2011)らの763名の高齢者のコホート研究によると、歩行速度が遅い人は屋内歩行速度が速い人は屋外での転倒リスクが高まり歩行速度が遅くても速くても1年間で歩行速度が0.15m/s低下すると転倒リスクが高まると報告しています。

つまりは、5m歩行で1年前と比較して、0.75秒遅くなると転倒リスクが高くなっていることを示唆することができます。

【参考文献】

Lien Quach, M.P.H, M.S(2011)The Non-linear Relationship between Gait Speed and Falls: The MOBILIZE Boston Study

▼転倒リスクに関与する歩行速度の測定方法はこちらの記事がオススメです。

【関連記事】

5m歩行テストの評価方法とカットオフ値とは

歩行速度の測定方法についてカンタンに解説します。

 

猫背と転倒の関係性はあるのか?

ご高齢者の転倒予防を考える上で姿勢との関係性はあるのでしょうか?特に骨粗鬆症などの影響により猫背になるご高齢者は数多くいらっしゃいますが、そのような方の中でも特に転倒予防に注意しなければならない点についてご説明します。

 

一般的に「猫背になると転倒しやすい」これは事実です。

しかし、石川ら(2009)の研究によると、腰椎の後弯が転倒リスクを高め、胸椎の後弯は転倒との関係性は見られなかったと報告しています。つまり、ねこ背の中でも、腰椎が後弯してしまう腰椎後弯期に転倒リスクが高まると言えます。そのようなご高齢者には猫背改善のための胸椎のストレッチだけでなく、腰椎や骨盤帯のストレッチをしっかりと行うことが大切です。

Spinal curvature and postural balance in patients with osteoporosis
平成29年7月19日アクセス

まとめ

今回は、高齢者の転倒の原因転倒場所転倒予防に効果的な体操方法についてまとめて解説していきました。

 

これから2025年に向けて高齢化がさらに高まる中、行政や市区町村などでも介護予防事業として転倒予防教室などを定期的に開催しています。

医療・介護費用が圧迫しているこの日本で、平均寿命だけでなく介護や介助が必要なく日常生活が送れるように健康寿命を延伸させる取り組みができるのは、病気になる前です!しかしながら、いくら転倒をしないようにと心では思ってもご本人だけではなかなか取り組むことができません。

今回の内容だけで転倒予防が進むわけではありませんが、私たちスタッフが転倒予防に関して正しい知識をつけ、予防する場を提供する機会が増えていければと思います。

皆さまがいつまでも転倒なく健康な生活を送っていただけますように…

厚生労働省「これからの介護予防 ~地域づくりによる介護予防の推進~」
平成29年9月28日アクセス

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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