園芸療法のはじめ方|介護現場の園芸の効果と手順をご紹介

介護現場で行う「園芸」にはどのような効果があるか知っていますか?園芸療法は、植物を育てることによって心身共に良い状態を求めたり損なわれた機能を回復する効果が期待できます。今回は、デイサービスなど介護現場で活躍する園芸の効果や魅力、はじめ方をご紹介します。一年間を通して楽しめる園芸をぜひお試しください。

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園芸療法とは

園芸療法とは、ただ植物を育てたり、収穫したりすることではありません。

園芸療法では、植物を育てることによって身体や心、社会性に良い効果をもたらしたり、損なわれた機能を回復することを目的としています。

そのため、植物を育てることを楽しむだけでなく、スタッフの知識や関わり方も非常に重要になります。

もちろん、植物を育てると水やりや間引きなど手がかかります。しかし、手がかかることで愛着が湧くものです。手間がかかることを時間をかけて楽しむことが一つの「健康」であり、ご本人の生活の質(QOL)を高める活動ではないでしょうか。


園芸療法は、主に以下のような目的で活用されています。
 
①生きがいづくり(収穫の楽しみ、将来を期待)
②運動不足の解消、筋力低下の予防
③外出機会の獲得
④社会性の維持(仲間との会話)
⑤生活能力の維持(販売、料理)

このように園芸を通じて、植物や土とふれあい、他者と触れ合います。心の問題で悩み苦しんでいた方が、植物を育てるという創造的かつ刺激的なプロセスを通して、ストレスや緊張感の緩和への対処方法などを学ぶことができるのです。

園芸療法は高齢者とスタッフ、そして利用者様同士を結びつけ、健康に、そして楽しく生活するための多くの手がかりを秘めていると言えます。


▼ご利用者様の生活の質を高めるQOLの考え方について詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

【関連記事】QOL(生活の質)とは|医療・介護に役立つQOLの考え方と評価方法
ご利用者様が望む生活を支援する上で重要な考え方QOLについて簡単に解説します♬

介護現場で活躍する園芸療法とは

園芸療法は、発達・教育分野、学習障害分野、言語障害分野、身体障害分野、老年期分野などさまざまな場で活用されています。

家庭菜園や園芸は、定年後の趣味を始める方も多くいます。男性であれば盆栽、女性であればハーブや観葉植物を育てていたという方もいらっしゃいます。
ご利用者様の好みをお聞きして園芸を勧めてみてはいかがでしょうか?

外出機会や人と関わる機会が少なくなりやすい高齢者にとって、園芸療法は1つの楽しみとなってくれるかもしれませんよ。

園芸療法【7つの効果】とは

園芸療法の効果は、定期的に外に出て植物を育てることができるだけではなく以下の7つの効果が期待できます。


【園芸療法の効果】
①感じる:食物の成長や気温といった自然の変化を身体で感じ取ることができる。
②生きがい・やりがい:世話をした植物の成長や収穫を楽しむことができる。
③役割り:水やりや間引きをするなどの役割活動ができる。
④見当識:植物の成長度合いや水やりの時間などを把握する機会ができる。
⑤癒やし・落ち着き:植物を育てることで不安やうつ症状を和らげることができる。
⑥社会性:主体的に声をかるなど会話が増える
⑦日常生活:スコップなどの道具の使用や収穫した野菜で調理など日常生活動作をする機会ができる。

さらに園芸療法は、五感を刺激する効果がある!

さらに園芸療法には、植物を育て土や水、匂いなどを感じることで人間の五感が刺激され、気分を和らげてくれる効果も期待できます。


五感の刺激とは以下のものがあります。

◯視覚:葉の色付き方や植物の成長を見て、四季の変化を目で感じ取る
◯触覚:土の感触、水の冷たさ
◯嗅覚:土の匂い、花の香、食物の風味
◯聴覚:鳥のさえずりや虫の鳴き声、雨の音、参加者同士の会話
◯味覚:収穫物の味


※最近のトピックスとして「マインドフルネス」という考え方があります。これも呼吸法や五感を通して、自分の身体や気持ちに気づくためのエクササイズとして取り組まれています。

野田勝二 J. Japan Association on Odor Environment Vol. No. 239 「五感を刺激する園芸療法」2016年11月26日アクセス

園芸療法で準備するもの・手順を理解しよう!

では早速、園芸をはじめるための手順を整理しておきましょう。

◯用意するもの
・鉢底ネット(プランターに穴が開いているタイプの場合)
・鉢底石
・ネット袋(キッチンの排水口用のネットなど)
・培養土
・元肥(固形肥料など)
・スコップ
・苗または種
・ジョーロ


◯手順
1)土入れ
プランターに穴が開いている場合は、鉢底ネットを敷いてください。鉢底石をネット袋に入れプランターの底が見えない程度に薄きます。次にいよいよプランターに培養土を入れます。必要であれば元肥(固形肥料など)を混ぜてください。
※ポイント
清潔な培養土を使用して、極力素手で入れてもらいます。手のひらの感覚を呼び戻したり、五感を刺激するために、素手で用土に触れる事はとても大切です。

2)道具を使う
土入れが終わったらスコップで土を慣らしていきます。次に、苗や種にあった穴を掘ります。穴の深さは苗や種によって異なりますので注意してください。

3)苗・種植え
穴が掘れたら種植えです。苗の場合は、根をほぐさずに植えるのが基本です。苗に傷がつかないように素手で軽く土をかぶせます。上から軽く土を押さえてあげましょう。

4)水やり
ジョーロを使用して水を満遍なくまいていきます。植物によっては少ない水の量でよい場合がありますので注意してください。

5)間引き
種を植えた数日後には芽が多く生えてきます。栄養が分散されたり、根の生えにくさを防ぐため間引きをしていきます。2〜3つの芽が残る程度に間引きをしていきます。

6)収穫・採取
野菜など収穫物がある場合は、手で収穫しましょう。花の場合も同様に採取してみましょう。
※ポイント
茎から実を摂るときに指先の力(巧緻性)を高めてくれます。

7)料理・押し花
収穫した野菜を使った料理、採取した花で押し花なども企画することができます。

大きく7つの手順がありますが、この手順の多さが大切ですよ!!
手間がかかることを時間をかけて楽しんで頂きましょう。

利用者に合わせて園芸を始めてみよう!

園芸療法に初めてチャレンジする方は何からすれば良いか悩むことも多いのではないでしょうか。

そこでまずは、参加していただく「ご利用者様に合わせて」園芸療法をはじめる方法をご紹介します。

例えば、園芸の参加者の中には、車椅子や杖歩行の方もいらっしゃいます。
さまざまな身体レベルの方が参加するためには、台の上にプランターを接地して高さを調整しましょう。

車椅子の方でも、杖歩行の方でも楽しめる目標の高さは、約75〜80cmの「腰」の高さです!

ちなみにプランターの大きさや深さは、育てる植物に合ったサイズを選定する必要があります。

季節に合わせて園芸を始めてみよう!

春夏秋冬に開花する花をプランターに分けて園芸を始めてみることも方法の一つです。
どの時期に開花するのか、春夏秋冬に開花しやすい花を簡単にまとめてみましたので、ご参照ください。

春:アイスランドポピー、カレンデュラ、マーガレット、
夏:ランタナ、朝顔、ブルーデージー
秋:コスモス、ユリオプスデージー
冬:パンジー、クリスマスローズ

季節に合わせた植物を植えることで、外出機会が減る「秋」や「冬」にも園芸を行うことで年間を通した屋外活動が提案できますよ。
ただし、冬場は外が寒いので、なかなか活動としてやりにくさがある点はデメリットの一つでもありますね...

育てやすい品種から園芸を始めてみよう!

ガーデニング初心者に育てやすい品種をご紹介します。

その1つが「マーガレット」です。

マーガレットは、初夏から白い清楚な花がいっぱい咲く美しい花です。
白色以外にも赤や黄、ピンクなどの花色や花形の異なる品種があり、暖地では冬から花を楽しむことがでる育てやすい花です。また、夏も比較的涼しい地域では花を咲かせる姿を見ることができます。

比較的育てやすく、開花時期も長いマーガレットから始めてみるのはいかがですか。

植物の選び方の「豆知識」

その他にも植物の選び方には以下の方法もあります。

◯昔、育てていた植物や野菜など馴染みのあるものにする
◯誰もが知っている品種(ひまわりやコスモスなど)にする
◯花が大きく色鮮やかで濃い色の品種にする
◯香りを楽しむために香りの強い植物(ハーブ)にする
◯収穫後も楽しむために野菜(ミニトマト)や植物(ハーブ)にする

目的によって、選ぶ植物・野菜も異なります。

あなたはどんな目的で園芸活動を取り入れますか?

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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