認知症の対応のコツとは|介護スタッフが知っておきたい認知症の基礎知識

介護スタッフが認知症のご利用者様の対応をする上で大切なことは何でしょうか?私達スタッフが認知症の症状を理解するだけでなく、対応のポイントを知ることで、症状の維持・予防にも繋がります。そこで今回は、認知症の症状や行動に応じた対応のコツをご紹介します。

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認知症の対応の基礎知識!

認知症の症状が進むと、1つのことをするのに時間がかかり、規則的な生活を送ることが難しくなります。そんな認知症に対してどのような対応をしていますか?


一般的に認知症の治療には「薬物療法」や「脳活性化リハビリテーション」「生活療法」などを行います。その中でも、私たちスタッフの対応方法として取り入れることができる「生活療法」についてご説明します。

「生活療法」とは健康的な生活を送ることが認知症の治療に役立つという考え方です。認知症のご利用者様の健康的な生活を支えるポイントは、以下の4つです。

❶ 運動習慣
道を忘れやすくなると屋外に出る機会も極端に減ります。散歩をしたり、身体を動かす機会を作りましょう。

❷ 規則的な食事
朝・昼・晩の食事を規則的な時間に摂り、リズムのある毎日を送りましょう。

❸ 役割・日課をつくる
出来ることが少なくなる為、喪失感や役割がなくなります。簡単な家事や庭仕事など人に感謝してもらう機会を設けましょう。

❹ 会話を楽しむ場をつくる
新しいことは記憶しにくいですが、昔の記憶は比較的保たれています。昔の話など人との会話の機会を増やしましょう。

認知症の対応のポイントとは

認知症の症状が進むにつれて、どうしてもご家族やスタッフは、悲しみや嫌悪感を感じるようになることが多くなります。

「目は口ほどにものを言う」とことわざがあるように、対応するスタッフの表情や言葉かけ一つで、不安や混乱を軽減してくれる場合が多くあります。


そこで認知症の対応のポイントを改めて理解しておきましょう!

① 自尊心を傷つけない
同じ話をするなどの記憶の低下や失禁、混乱されている方に対してプライドや自尊心を傷つけるような言動をやめましょう。人生の先輩として敬意を持って接していきましょう。
② 笑顔を忘れない
認知症になると言葉での理解よりも表情でのコミュニケーションが重要になります。どんな丁寧な言葉よりも笑顔や身振り手振りで対応しましょう。

この2点は認知症の方だけでなく、人と接するお仕事をされているスタッフの基本でもありますが、相手が理解していないだろうなどという考えが頭の片隅にあります。してあげているのいう考え方はヤメて、人と人とのお付き合いということを忘れないようにしましょう!

認知症の気持ちと対応のポイントとは

認知症の方は何を思い、何を感じているのでしょうか?

難しいですが、ここを理解していないと見当はずれな対応をしてしまいます。認知症の方の思いと対応ポイントについて一例をご紹介します。

1)不安と苛立ち
時間や場所がわからないと途方に暮れ、苛立ちを覚えます。
◯対応:馴染みのある場所や人と過ごせるように工夫をします。また、新しいことはなるべく避けるように対応しましょう。

2)疲れやすい
何かやろうとしても人一倍時間と集中力が必要になり疲労しやすくなります。
◯対応:周りを騒々しくしたり、後ろから急に話しかけることを避けましょう。静かな環境で気持ちを落ち着かせるように働きかけます。

3)失敗を認めたくない
症状が進行していくと失禁や人や道がわからないなど、本人もショッキングな出来事が起こります。その為、失敗を認めたくない、作り話でごまかしたりします
◯対応:失敗に気づかないふりをして話に耳を傾けましょう。

認知症の気持ちと対応のポイント〜Part2

自分が壊れていくような不安を抱えて暮らす認知症の方へは、ケアスタッフがちょっとした心配りをするだけで、不安や混乱が和らぎます。そのような認知症の対応方法を学んでいきましょう。

1)自己中心的・感情的
自分自身のことで精一杯になりやすく、周りのことを気遣う余裕がなくなります。また、泣いたり、怒ったりと情緒不安定になります。
◯対応:理由を聞くことはせず、寄り添う気持ちや言葉のオウム返しをして相手に同調していきましょう。

2)複雑なことは理解しにくい
一度に処理できる情報量が少なくなります。
◯対応:失敗をさせないように、物事をシンプルに、工程を1つずつ伝えるようにします。

3)人に依頼する、助けてもらうことができない
困ったときに人に頼む、調べるなど他の方法を考えることが難しくなり、一人で悩んでしまいます。
◯対応:その都度声かけを行い、何に困っているのかを尋ね、助言をしていきます。

認知症の「ものを盗まれた」と騒ぐときの対応方法

私達スタッフが頭を悩ませる事例についてご紹介します。

認知症の方で、財布や通帳がないと大騒ぎをするなどの「物盗られ妄想」の症状がある場合、ケアスタッフはどのような対応をするべきでしょうか。

スタッフの対応としては、盗まれていないと否定的な言動を避け、「盗まれたかどうかもう1回探してみましょう」と一緒に探します。

発見した場合は、こっそり隠していたと勘違いしてしまう場合があるので、必ず本人に発見してもらいましょう。

認知症の「入浴」を嫌がるときの対応方法

続いて、認知症の方でお風呂の時間にお誘いしても入りたがらない場合はどのような対応をすればよいのでしょうか?

入浴の場合、服を脱ぐことや湯につかる、身体を洗うことが嫌であったり、一連の行為で疲れてしまう為に入りたがらないこともしばしばあります。

服を脱ぎたくない場合には、下着のままで入浴して頂いたり、身体を拭くだけでも良いでしょう。湯に浸かりたくない場合は、少なめのお湯にする、シャワーで対応する方法もあります。

また、入浴後の楽しみを作るなど「入浴後に冷たい牛乳を飲みましょう」「入浴後にアイスクリームを食べましょう」の対応をすることも良いアイディアです。

認知症の「暴力」をふるうときの対応方法

認知症の方で、突然、興奮して手を振り上げる、スタッフを叩く場合はどのように対応しますか?

対応としては、突然興奮しているようにみえても、自尊心を傷つける発言があった場合や強引なことを強いられた、痛い部分に触れたなど小さくとも必ず何かしらの原因があるはずです。

原因を推察して、次に同じような興奮が起こらないように対応していきましょう。

認知症の「食べ過ぎる」時の対応方法

昼食後すぐに「お腹が空いた」などとおやつを要求したり、他者のご飯を食べようとしたりする場合はどのように対応しますか?

認知症は脳の機能低下により満腹感を得られなかったり、直前の出来事を忘れてしまうため食事を摂取していないと思い込んでしまうことがあります。

対応方法として、不満や不安を抱えてイライラと落ち着かない食事の総量を増やし過ぎないように「昼食の準備していますので、その間フルーツを食べませんか」と誘導する方法があります。
食事の願望が強い方は、食べ物ではない洗剤やスポンジなどを口に入れることもありますのでご注意ください。

認知症の対応で心がけること

認知症の方のケアを毎日のように行なっていると何をするにも支離滅裂に感じられてしまい話を受け流してしまいがちです。
しかし、ご本人自身も不安や困惑、恥ずかしさなどを抱えているのです。

そんなときに、相手を否定したり、厳しく叱責したりするとますます症状を悪化させてしまうことがあります。

そのため、これまでご紹介してきたような対応方法を学び、どのようにしたら落ち着いて生活できるのか、ご本人の気持ちに寄り添った対応を心がける姿勢が大切です。

いかがでしたか。今回は、ケアスタッフの悩みでもある「認知症の対応のコツ」についてご紹介しました。今回ご紹介した事例のように対応することが全てではありませんが、少しでも認知症の方の気持ちを理解し、より良い対応をして頂ければ幸いです。

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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