唾液腺マッサージの効果とマッサージ・ストレッチ方法の基礎知識

加齢によって唾液腺が委縮したり、筋肉が衰えたりすることで唾液の量が減少してしまい誤嚥を引き起こす原因になります。これらを防ぐ方法に、唾液腺マッサージがあります。唾液腺マッサージは、口の中に複数ある唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促し、誤嚥予防だけでなく口腔内の自浄作用や乾燥の予防にも効果があります。そこで今回は、だ液の効果と唾液腺マッサージ・ストレッチの方法をまとめてご紹介します。

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唾液腺マッサージとは

唾液腺マッサージという言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか?




唾液腺マッサージは、お口の内側に複数ある唾液腺をマッサージし、刺激することによってだ液が出やすくなる効果があります。



唾液腺マッサージには、自分で行う「能動的な方法」と、他者が行う「助動的な方法」の2種類あります。また、マッサージの方法は「口腔内マッサージ」と「口腔外マッサージ」に分かれます。




その中でも今回は、ご高齢者が自身で取り組める「口腔外」を「能動的」にマッサージする唾液腺マッサージをご紹介していきます。

唾液腺マッサージの効果とは

だ液は1日で1~1.5リットルも分泌され、口腔内の自浄作用や虫歯の予防などの効果があります。唾液腺マッサージに取り組むことでだ液の分泌量が増え、口の中が潤うと、さらに次のような効果が期待できます。




【唾液腺マッサージの効果】

1)口腔内の保湿する

2)消化液として働く

3)食塊を形成し、飲み込みやすくする

4)食物から味成分を溶かして舌で味を感じやすくなる

5)発音をなめらかにする

6)口腔内の自浄作用を高める

7)口腔粘膜を保護する

一般財団法人 日本口腔保健協会「高齢者のお口の健康」
平成29年4月14日アクセス

唾液腺マッサージが重要な理由|①加齢

ご高齢者を対象とした介護施設では、口腔体操や嚥下体操として唾液腺マッサージも合わせて取り組まれています。では、なぜご高齢者に唾液腺マッサージが重要なのでしょうか?


ご高齢者は、様々な病気やその予防のために内服薬が増えます。その内服薬の副作用の影響によって唾液の分泌が少なくなることがあります。また、加齢による噛む力の低下も唾液の分泌量の減少の原因の1つです。唾液は、食事を食べるときに食塊を形成し、飲み込みやすくする効果があるので、その分泌自体が少なくなると誤嚥を引き起こす可能性が高くなります。

実際に介護現場では「口の中が乾燥する」「口が渇く」「食べ物が飲み込みにくい」などと言われることも多いのではないでしょうか?



柿木ら(2006)によると、”高齢患者の35.2%がいつも口腔乾燥感を自覚し、口腔乾燥状態は嚥下困難またはBMIと関連する”ことが示唆されています。



これらのことからも「口腔体操」や「嚥下体操」としてご高齢者のだ液分泌を促すマッサージを取り入れていくことが重要になります!

柿木 保明「高齢者における口腔乾燥症」
平成29年4月14日アクセス

唾液腺マッサージが重要な理由|②内服薬

さらに、ご高齢者の中には様々な疾病・疾患に罹患しており、複数の薬を服用されている方が多くいらっしゃいます。



薬の副作用によっては、だ液の分泌量が少なくなり、口腔内が乾燥しやすくなる場合があります。以下の内服薬を服用している方は、積極的に唾液腺マッサージを取り組むように指導していきましょう。




【だ液の分泌量が低下しやすい内服薬】

1)潰瘍治療薬

2)降圧剤

3)抗うつ剤

4)パーキンソン病治療剤

5)抗ヒスタミン剤

6)鎮静剤

7)睡眠薬

8)利尿剤

国立病院機構 熊本医療センター「第65号 口腔乾燥症について 口腔乾燥症と薬剤 口腔乾燥症と食事」
平成29年4月14日アクセス

唾液腺マッサージで狙うポイントとは

唾液腺には、大唾液腺(だいだえきせん)と小唾液腺(しょうだえきせん)の2種類があります。

小唾液腺は口唇腺、頬腺、臼歯腺、口蓋腺、舌腺(前舌腺・後舌腺・エブネル腺)の5種類ありますが、だ液の量は微量のためマッサージでの唾液量の増加は期待しにくいと言われています。

そのため唾液腺マッサージを実施する場合は、大唾液腺の中でも「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3箇所を狙って刺激していきましょう!




【大唾液腺】

⑴耳下腺

・耳下腺は耳の前下方に存在する

・最も大きい唾液腺

・全ての唾液量の約25〜30%を占める

・漿液性の唾液



⑵顎下腺

・顎の骨の内側の左右のやわらかい部分に存在する

・耳下腺の次に大きな唾液腺

・全ての唾液量の約60〜70%を占める

・主に漿液性だが、粘液性も含む唾液



⑶舌下腺

・舌の付け根の辺りの下あごのくぼみ部分に存在する

・舌下腺の端は顎下腺に接している

・全ての唾液量の約5%を占める

・漿液性と粘液性の混合型であるが主に粘液性の唾液

徳間 みづほ「唾液腺マッサージの実際」
平成29年4月14日アクセス

唾液腺マッサージの方法|耳下腺

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それでは、唾液腺別に唾液腺マッサージの方法をご紹介していきます。
まず、こちらの唾液腺マッサージは、耳下腺を刺激する方法です。耳下腺は、最も大きい唾液腺で全ての唾液量の約25〜30%を占めています。

唾液腺マッサージを実施するタイミングは、食事の前です。だ液は食塊を形成し、飲み込みやすくする効果が期待できるので、誤嚥を防ぐことにもつながります。


【唾液腺マッサージの方法】
① 耳下腺は、奥歯と耳の間にあります。
② 人差し指で軽く圧迫するように、やさしく円を描くようにマッサージします。

【目標回数】
10回×2〜3セットを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージの方法|顎下腺

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次に、こちらの唾液腺マッサージは、顎下腺を刺激する方法です。顎下腺は、全ての唾液量の約60〜70%を占めているため、唾液腺マッサージの中で一番だ液が出る実感が得られるとされています。


【唾液腺マッサージの方法】
① 顎下腺は、あごの骨の内側の左右のやわらかい部分にあります。
② 耳の下からあごの先まで4~5箇所に分けてマッサージします。
③ 指の腹を使用し、軽く圧迫するようにやさしく行いましょう。

【目標回数】
5回×1〜2セットを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージの方法|舌下腺

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次にこちらの唾液腺マッサージは、舌下腺を刺激する方法です。舌下腺は、全ての唾液量の約5%を占めています。顎下腺と舌下線は、下あごから少し粘り気のある唾液を分泌し、食べ物をまとめる役割があります。


【唾液腺マッサージの方法】
① 舌下腺は、舌の付け根の辺り、下あごのくぼみ部分にあります。
② 両手の親指の腹で軽く圧迫するように押し上げます。
③ 痛みを感じたり苦しくなりやすいのでやさしく、ゆっくり行いましょう。

【目標回数】
10回×1セットを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージに合わせて「首」のストレッチをしよう!

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さてここからは、唾液腺マッサージではなく合わせて実施することで、より唾液分泌を促す効果があるストレッチ方法をご紹介します。

こちらの運動は、唾液腺マッサージ前後に合わせて取り組んでいただきたい「首」のストレッチ方法です。首には、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が多数存在します。唾液腺マッサージに合わせて首の柔軟性を高めることで唾液の分泌を促し、誤嚥を予防していきましょう!


【首のストレッチ方法】
① ゆっくりと大きく首を動かしていきます。

② 左右に傾ける際に耳を肩に当てるようにします。

③ 後方に傾ける際は天井を見上げるようにします。


【目標回数】

左右5回×1セットを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージに合わせて「喉元」のストレッチをしよう!

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こちらの運動は、唾液腺マッサージは合わせて取り組みたい「喉元」のストレッチです。喉元には、咀嚼筋(そしゃくきん)の中でも開口運動に必要な「顎舌骨筋」「オトガイ筋」が存在します。喉元の筋肉の柔軟性を高めて食べ物を飲み込む準備をしておきましょう。





【喉元のストレッチ方法】

① 顎下と器官の位置に指先を置きます。

② 頭を後方に倒して喉元を伸ばしていきます

。

【目標回数】

10秒×5セットを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージに合わせて「唇」のマッサージをしよう!

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次に唇のマッサージを行います。唇を上下それぞれ3つに分けて指で軽くつまむように伸ばしていきます。唾液腺マッサージに合わせて唇をマッサージすることで唇周りや頬の筋肉をほぐし、唾液量にも効果が期待できます。

【唇のストレッチ方法】
① 上唇と下唇を3箇所に分けてつまみます。
② 指の腹を使い優しく行いましょう。


【目標回数】
上下ともに3回ずつを目安に行いましょう。

唾液腺マッサージに合わせて「舌」のエクササイズをしよう!

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次に、舌の運動を行います。口を大きく開けて舌を真横から円を描くように順番に回していきます。舌は、顎舌骨筋(がくぜっこつきん)という顎の下の筋肉と繋がりがあり、あご周りの筋肉を動かすことで若干ながら唾液の分泌を促していきます。また、食べ物を食べたり、発声をするために非常にも重要になります。舌の運動を行い誤嚥を防いでいきましょう。

【舌のエクササイズ方法】
① 口を大きく開けましょう。
② 舌をできるだけ伸ばし、舌で大きな円を描きましょう。

【目標回数】
時計回り、逆回しをそれぞれ10回ずつ行いましょう

唾液腺マッサージの効果を高めるためには

唾液腺マッサージは、唾液の分泌量が低下している「朝方」や「食事前」が良いでしょう。

食事前に取り組むことで唾液の分泌を促し、お口の中を潤すことで食事を食べる準備を整え、ご高齢者の誤嚥を予防してくれる効果が高まります。

さらに口が乾燥しているときに適宜唾液腺マッサージを行うようにしましょう。

唾液腺マッサージを行う他には、食事時に噛む回数をできるだけ増やすことで唾液の分泌量をより増やすていくことができます。

様々な方法と組み合わせて、より効果的に唾液の分泌量を促していきましょう!

まとめ

本稿では、お口の内側にある唾液腺を刺激する「唾液腺マッサージ」と合わせて実施していただきたい「ストレッチ」をご紹介しました。


ご高齢者は加齢や内服薬によって唾液の量が減少してしまいますが、唾液の量は目でみて確認することができません。


そのため、ご高齢者に携わる私たちスタッフがだ液の効果と唾液腺マッサージの方法を学びんで、ご高齢者の誤嚥を予防していきましょう!



▼ご高齢者の誤嚥を予防する方法には、頬や舌、パタカラ体操などの「口腔体操」もオススメです!誤嚥を予防する口腔体操をもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【関連記事】高齢者向け|口腔体操をしてリハビリの効果を最大化させよう!
誤嚥を予防する口腔体操の効果やノウハウをご紹介します。

【最後に筆者より】
リハプランでは、今回ご紹介した「唾液腺マッサージ」以外にも介護現場の役に立つ「運動情報」をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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