ペットボトル体操【16選】|高齢者が楽しく取りくめる!介護現場で使える体操

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更新日:2024/03/15

デイサービスなどの介護現場では、日頃から介護予防を目的とした体操を行うことが多いのではないでしょうか?ご高齢者に毎日提供する体操となれば、内容がマンネリ化したりと変わり映えのないものに成りかねません。そこで今回は、介護現場でも比較的準備がしやすく、ご高齢者の介護予防としても効果が期待できるペットボトル体操をご紹介します。

介護予防にオススメのペットボトル体操とは

ペットボトル体操とは、ペットボトルを活用してご高齢者の「身体機能の向上」や「介護予防」を行う体操を意味します。

デイサービスや高齢者施設では、毎日様々な体操を提供するためこのペットボトルを活用した体操もその1つとして取り組まれることがあるのではないでしょうか?


ペットボトルは比較的準備が容易で、水量を調整することでご利用者様に合わせた負荷量の調整も可能です。適度な負荷をかけることができるので全身の大きな筋肉をトレーニングすることができます。

さらに、ペットボトルは、人の手にフィットして持ちやすいようにデザインされているため、運動習慣のないご高齢者でも活用しやすい道具です。

そのため介護現場でとっても重宝される体操です!


そんなペットボトル体操の中でも今回は「立ってでできる体操」と「座ってできる体操」をまとめてご紹介します。

立ってできるペットボトル体操は、立位が安定しているご高齢者が参加される「地域の健康教室」で活用できます。また、座ってできるペットボトル体操は、安全面を考慮した体操として「デイサービスなどの介護事業所」で活用いただけます。

ご高齢者の能力に合わせて体操を提案できるスペシャリストを目指して行きましょう!

〜高齢者体操の豆知識〜
運動習慣がないご高齢者の方にトレーニングをする場合は、同じ部位への運動は48時間(2日)以上の間隔を空けて行うようにしましょう!
これは、筋肉が回復するまでに約2日以上かかるためです。

「肩すくめ」のペットボトル体操|立位編


まず、立ってできるペットボトル体操からご紹介していきます。
こちらの体操は、ペットボトルを持ちながら肩をすくめる運動です。肩をすくめることで首の付け根に位置する僧帽筋や肩甲挙筋の筋肉を促通することができます。これらの筋肉は、介護予防の中でも「肩こり」で悩んでいるご高齢者にオススメです。

期待する効果
肩こりや首こりを予防する効果が期待できます

意識するポイント

  1. ゆっくりと行うこと
  2. ペットボトルの重さは利用者の方の体格や筋量に応じて変更すること
  3. 胸を貼り、背筋を伸ばしたまま行うこと

回数
8回を目安に行いましょう。

※肩関節や肘関節に対して負荷がかかるので、ご利用者の既往歴や疼痛の評価を行った上で行いましょう。また、立位で行っていますが、椅子に座ってでも可能です。

「肩ひねり」のペットボトル体操|立位編


次にご紹介するペットボトル体操は、肩の捻りのエクササイズです。
両脇を90度に開き、腕を天井方向に上げる運動を行うことで、肩のインナーマッスルといわれる棘上筋や棘下筋を鍛えることができます。このインナーマッスルを鍛えることで、介護予防の中でもご高齢者の方に多い「五十肩」や「肩関節周囲炎」の予防に効果が期待できます。

期待する効果
五十肩や肩関節周囲炎を予防する効果が期待できます

意識するポイント

  1. 肘を90度に固定すること
  2. 肩をすくめず、背筋を伸ばしたまま行うこと

【回数】
8回を目安に行いましょう。

「胸」のペットボトル体操|立位編


続いてのペットボトル体操は、胸のエクササイズです。
両脇を90度に開き、胸の前で肘を合わせることで大胸筋と言われる胸の筋肉を鍛えることができます。また、肩のエクササイズとしてもオススメの運動ですのでご高齢者の介護予防体操として取り組んでみてはいかがでしょうか。

【期待する効果】
胸、肩の筋力をアップする効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 肘を90度に固定すること
  2. 肩をすくめず、背筋を伸ばしたまま行うこと


【回数】
8回×2セットを目安に行いましょう。

「二の腕」のペットボトル体操|立位編


続いてのペットボトル体操は、二の腕のエクササイズです。女性の方は特に、加齢とともに垂れやすいのが二の腕です。いつまでも若々しくいたい、そんなご高齢者の介護予防体操としてオススメです。

【期待する効果】
二の腕のたるみを予防する効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 肘を固定すること
  2. 肘をしっかりと伸ばしこと

【回数】
8回×2セットを目安に行いましょう。

「腹筋」のペットボトル体操|立位編


次にご紹介するペットボトル体操は、脇腹のエクササイズです。
一般的にはサイドベントと呼ばれるこちらの体操は、腹斜筋や腰方形筋といわれる腹筋〜腰に付着する筋肉を鍛えることができます。これらの筋肉は、体の軸となる体幹の安定性を高め、転倒しにくい安定した歩行をするために重要となります。体のふらつきなどの予防にお勧めのエクササイズです。

【期待する効果】
腹斜筋や腰方形筋の筋力をアップし、体幹の安定性を高める効果が期待できます。
たるんだお腹を引き締める効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 腕の力を抜き、背筋を伸ばすこと
  2. 横腹を意識し、身体を起こします


【回数】
8回×2セットを目安に行いましょう。

姿勢別でできる腰方形筋のトレーニングについて知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。 ▶︎腰方形筋トレーニング 全8種|姿勢別でできる運動方法とは

「背中」のペットボトル体操|立位編


こちらのペットボトル体操は、背中のエクササイズです。前ならえの姿勢から両肘を後方に引くことで広背筋や大円筋といわれる背中の筋肉を鍛えることができます。これらの部位は、円背姿勢などのご高齢者特有の姿勢の改善・予防にお勧めです。

【期待する効果】
広背筋の筋力をアップする効果が期待できます。
円背などの姿勢改善に効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 胸を張り、背筋を伸ばすこと
  2. できる限り、両肘を後方に引き寄せること

【回数】
8回×2セットを目安に行いましょう。

「太もも」のペットボトル体操|立位編


こちらのペットボトル体操は太もものエクササイズです。
こちらの体操は膝を曲げるスクワット運動です。膝を軽く曲げる場合は、「ハーフスクワット」と呼ばれ、膝を深く曲げる場合は「デッドリフト」と呼ばれています。スクワットは、太ももやお尻の筋肉だけでなく、全身運動としても効果が期待できるのでご高齢者の介護予防体操としてお勧めです。但し、膝に負担がかかりやすいので関節痛をお持ちの方は運動を控えるようにしてください。

【期待する効果】
太ももやお尻の筋力をアップする効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 胸を張り、背筋を伸ばすこと
  2. 膝を伸ばすタイミングと腕を広げるタイミングを合わせるようにすること

【回数】
8回×2セットを目安に行いましょう。

「バランス」のペットボトル体操|立位編


こちらのペットボトル体操は、バランス能力を高めるエクササイズです。
バランス能力には姿勢を保持するために必要な体幹筋力が求められます。ご高齢者の場合、このバランス能力や体幹筋力の低下が原因で転倒をしてしまうことがあります。ご高齢者の転倒予防体操として取り組んでみてはいかがでしょうか。

但し、転倒リスクには十分に注意して実施してください。

【期待する効果】
体幹筋力をアップする効果が期待できます。
バランス能力を鍛え、転倒予防の効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 両足は肩幅に立つこと
  2. できる限り、腕を遠くまで伸ばすこと
  3. 腕は床と水平を意識すること

【回数】
5回を目安に行いましょう。

「体幹」のペットボトル体操|立位編

立ってできるペットボトル体操の応用編として体幹のひねり運動をご紹介します。
体幹のひねり運動は、腹斜筋などのお腹の筋肉を鍛えることができます。また、上半身を前方に倒すことで背中や太ももにも効果的なダイナミックな介護予防体操になります。難易度がグッと高くなりますので応用編として取り組むことをお勧めします。
但し、腰痛をお持ちのご高齢者の場合は、運動を控えるようにしてください。

【期待する効果】
腹筋群、背筋群、太ももの筋力をアップする効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 両足は肩幅に立つこと
  2. 腰を約90度に倒すこと
  3. 胸を張り、背筋を伸ばすこと

【回数】
10回を目安に行いましょう。

「手首」のペットボトル体操|座位編


ここからは椅子に座ってできるペットボトル体操のご紹介です。

こちらのペットボトル体操は、手首の筋力トレーニングです。手首を内側から外側に回す動きは、日常生活ではドアノブを回すなど、ドアを開ける場合に必要な要素となります。最近握力が落ちたなど、ご高齢者の握力アップにオススメの体操です。日常生活では鍛えにくい部位ですので、介護予防体操として忘れずに取り組んでいきましょう。

【期待する効果】
手首を回す筋力をアップする効果が期待できます。
握力をアップする効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 肘を90度に固定し、脇を締めたまま行うように意識します
  2. できる限り手首を内側から外側に回します

【回数】
左右共に10回程度を目安に行いましょう

「力こぶ」のペットボトル体操|座位編

こちらのペットボトル体操は、椅子に座ってできる力こぶを鍛えるトレーニングです。
力こぶは物を引き寄せたり、運ぶ場合に重要な部位ですので意識的にトレーニングしていきましょう。ご高齢者の方で片麻痺がある方や片側の手が動きにくい方は、手を添えて両手で包み込むように持ちながら体操に取り組みましょう。

【期待する効果】
二の腕の筋力をアップする効果が期待できます。
両手運動を促す効果が期待できます。

【意識するポイント】

  1. 脇を締めて行います
  2. 対象の方に応じて水量を調節し、負荷を設定しましょう


【回数】
10回を目安に行いましょう

「二の腕」のペットボトル体操|座位編

こちらのペットボトル体操は、二の腕の筋力トレーニングです。
上半身を45度前方に倒すことで背面筋のトレーニングにも効果が期待できます。二の腕のたるみが気になるご高齢者の介護予防体操としてオススメです。但し、上半身を前方に倒すので、転倒には十分注意して行いましょう。

【期待する効果】
二の腕、背筋の筋力アップの効果が期待できます。
二の腕のたるみを改善する効果が期待できます。

【意識するポイント】
脇を締め、肘の位置を固定して行いましょう

【推奨回数】
8〜12回を目安に行いましょう

「肩」のペットボトル体操|座位編


こちらのペットボトル体操は肩のトレーニングです。肩に付着する三角筋は、重たいものを持ち上げる役割があります。最近、布団や鍋を持ち上げるのがつらくなったと感じるご高齢者の方に取り組んでいただきたい介護予防体操です。

【期待する効果】
肩の筋力をアップする効果が期待できます。

【意識するポイント】
肘は軽く曲げて行いましょう。
肩をすくめないように意識しましょう。

【回数】
10回を目安に行いましょう

「体幹」のペットボトル体操|座位編


こちらのペットボトル体操は、体幹のひねりのトレーニングです。
体を捻ることが苦手なパーキンソニズムを認めるご高齢者の方にオススメの運動です。また、体幹筋は姿勢保持やバランスを保つ上でも重要な部位です。介護予防として取り組んでいきましょう!

【運動の注意点】

  1. 腰や胸に痛みがある方は無理をしないようにしましょう。
  2. ダイナミックな運動ですので転落には十分に注意して行いましょう。

【期待する効果】
体幹の安定性やパーキンソンの予防としての効果が期待できます。

【回数】
左右共に10回を目安に行いましょう。

ペットボトル体操のまとめ

ご高齢者は、病気だけでなく「加齢による心身機能の衰え」とも戦っていかなければなりません。そこでご紹介した「ペットボトル体操」を提案することで上半身の筋肉アップやバランス能力アップを目指すことができます。


このようにご高齢者の介護予防に取り組んだり、生活を豊かにする活動は、個別機能訓練加算として算定することが認められています。この個別機能訓練加算は、ご高齢者の身体や生活を応援する加算です。デイサービスでお勤めの方は是非一度ご覧いただければと思います。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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