通所介護計画書の作り方とは?手順や記入例・様式・更新期間などを解説

介護保険法

基本報酬

更新日:2024/04/15

【令和3年報酬改定対応】通所介護計画書とは、デイサービスがどのようなサービスを提供するのかを記載した、利用者ごとの計画書のことです。管理者が中心となり、ケアプランを参考にしながら利用者の心身の状況や家族の希望・要望などを評価して作成します。この記事で、作成手順や様式、記入例などをご紹介します。  

通所介護計画書とは、利用者に通所介護のサービスを提供するときに必要となる書類です。ケアプランを参考にしつつ、利用者の心身の状態や本人・家族のニーズなどをもとに、どのようなサービスを実施するのかを記載します。

その他にも長期・短期的な目標の設定に加えて、サービス提供後の変化を見るために、定期的に評価をして内容を更新することも大切です。計画書はデイサービスを提供するすべての利用者に作成し、説明した上で同意を得なければいけません。

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通所介護計画書を作成する目的とは

通所介護計画書は、デイサービスを実施するときに内容を本人・家族に説明し、同意をもらうために作成するのが目的です。そして、その後どのような変化があったのか経過を報告するときにも活用する、大切な書類でもあります。

通所介護計画書の主な目的

  1. 基本報酬の算定のため
    小規模・通常規模・大規模など、デイサービスの規模によって基本報酬が異なります。この基本報酬を算定するためには、人員基準のほかに通所介護計画書の作成が必須です
    また、通所介護の運営基準の中で、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえ、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容などを記載した通所介護計画を作成しなければならないことが示されています。
  2. 利用者・家族に安心感を与えるため
    通所介護計画書で立案したサービス提供後の変化を本人・家族へ説明することにより、どのようなケア・サービスを実施しているのか明確になります。デイサービスを運営する側には、説明責任があります。計画書によってその責任を果たし、より安心感を持ってサービスを利用していただきましょう。
  3. ケアマネジャーからの信頼を得るため
    通所介護計画書は、担当のケアマネジャーと情報交換ができるツールです。ケアマネジャーが作成するケアプランは、本人・家族の希望が明確に立案されています。そのケアプランに沿った通所介護計画書を作成することで、デイサービスは「個々の利用者に合わせた対応ができるデイサービスだ」という評価と信頼感をケアマネジャーから得ることができます。
  4. スタッフのケア・サービスの質を向上させるため
    通所介護計画書は、一人ひとりの希望・要望に沿ってプランを立てます。デイサービスのスタッフ全員がこの計画を把握することで、サービスとしてするべきことが明確になります。スタッフによって「言っていること、やっていることが違う」というクレームがなくなれば、利用者も希望通りのサービスを安心して受けられます。

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通所介護計画書の様式と作成手順と4つのポイント

通所介護計画書は特定の決まった書式がなく、デイサービスによって書式がバラバラです。そこで今回は、厚生労働省が提示している様式を参考に、通所介護計画書の作成方法を4つのポイントに分けて紹介していきます。

【通所介護計画書を作成する4つのポイント】

  1. 基本情報
  2. サービス計画(目標)
  3. サービス提供内容
  4. 特記事項・実施後の変化

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通所介護計画書の記入例

この章では、4つのポイントに合わせて記入例と記入方法をご紹介します。

基本情報

基本情報では、「ケアプランからの情報収集」と「本人・ご家族からの情報収集」で知り得た情報をもとに記載していきます。

【通所介護計画書の基本情報の書き方】

作成日 通所介護計画書を作成した日にちを記載します。
※初回作成の場合は、作成日には初回ご利用日より前の日付を記載します。
計画作成者  2回目以降の作成の場合は、初回で作成した日にちを記載します。
初回作成日 2回目以降の作成の場合は、初回で作成した日にちを記載します。
計画作成者 主に事業所の生活相談員の名前を記載します。
運営基準上は、指定通所介護事業所の管理者が作成することと示されています。
また、解釈通知では介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましいと示されています。
氏名・生年月日 サービス利用者様のお名前をフルネームで記載します。
要介護度 利用者様の認定を受けている要介護度を記載します。
※介護保険被保険者証を確認し、記載します。
障害高齢者の日常生活自立度 障害高齢者の日常生活自立度のランクを記載します。
※ランクは自立度に応じて「J1、J2、A1、A2、B1、B2、C1、C2」の8段階に分かれます。
※介助によって外出することがあり、日中は基本的に起きて生活している場合は「ランクA1」と記載します。原則、事業所では判定できない項目となります。
認知症高齢者の日常生活自立度 認知症高齢者の日常生活自立度のランクを記載します。
※ランクは「Ⅰ、Ⅱ(a・b)、Ⅲ(a・b)、Ⅳ、M」の7段階に分かれます。
※買い物や金銭管理などにミスがあるが、誰かが注意すれば自立できる場合は「ランクⅡa」と記載します。原則、事業所では判定できない項目となります。
通所介護利用までの経緯(活動歴や病歴) サービス利用までの経緯(入院から退院、サービス利用までの流れ)を記載します。
※ほどんどの場合ケアプラン(居宅サービス計画書)に記載されています。
本人の希望・家族の希望 サービス利用開始までに、本人・ご家族に希望・要望を聴取します。
※厚生労働省から推奨されている「興味関心チェックシート」を活用するのもオススメです。
利用者本人の社会参加の状況 利用者の性格や家庭での役割、交流関係について記載します。
利用者の居宅の環境 利用者の性格や家庭での役割、交流関係について記載します。
健康状態(病名、合併症(心疾患、呼吸疾患等)、服薬状況等) 病名、合併症(心疾患、呼吸器疾患等)服薬状況など
利用者の健康状態を記載します。
ケアの上での医学的リスク(血圧、転倒嚥下障害等)・留意事項 通所介護サービスを行う上での注意点を記載します。
※情報がない場合は主治医等に具体的な血圧の制限などの指示をいただきましょう。

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サービス計画(長期目標・短期目標)

この目標は、基本的にケアマネから頂く「居宅サービス計画書(ケアプラン)」の中で通所介護を利用する目的や目標に沿って設定します。さらに、ご本人・ご家族から知り得た情報を記載することでより具体性のある内容を立案できます。

  設定日 達成予定日 注意点 記載例
長期目標 長期目標を立てた日にちを記載します。主にサービス開始日を記載します。 ケアプランを加味して利用者と相談して決定 ケアプランの目標とズレがないように注意しましょう。 ・自宅での生活を継続する
・近所のスーパーで買い物ができるようになる
短期目標 短期目標を立てた日にちを記載します。主にサービス開始日を記載します。 ケアプランを加味して利用者と相談して決定 長期目標で立案した内容を達成するために必要な具体的な目標を記載するようにしましょう。 ・ほかの利用者とのコミュニケーションを図る
・スーパーで買い物ができるようになるために心身機能を回復する

サービス提供内容

続いて、通所介護計画書の中でも「サービス提供内容」の書き方について解説します。

サービスの提供内容では、まず通所介護を「利用する目的やケアの提供内容・方針」について記載し「1日のプログラムの流れ」を記載します。

目的とケアの提供方針・内容 通所介護を利用する目的とケアの提供内容について記載します。
記載例)清潔保持のための入浴ケア・身体機能維持のための定期的な運動の提供など
評価(実施・達成度) 提案したサービス提供内容が期間内に「どの程度実施できているか」「どの程度達成しているか」をチェックします。
記載例)初回のためなし・未達成・一部達成・達成など
評価(効果・満足度) 提案したサービスによる効果や利用者の満足度を記載します。
記載例)入浴サービスで清潔保持ができている、機能訓練で身体機能の維持ができているなど
プログラム(1日の流れ) サービス内容は、食事・集団体操など通所介護の利用の流れを記載します。
記載例)
9:00〜9:30:送迎    
9:30〜9:45:うがい・手洗い    
9:45〜10:00:バイタル測定    
10:00〜10:15:リハビリ    
10:15〜10:40:入浴・水分摂取    
10:40〜11:40:レクリエーション    
11:40〜11:45:嚥下体操    
12:00〜13:00:食事 など
迎え 有り・無しを記載します。
送り 有り・無しを記載します。

特記事項・実施後の変化

続いて、通所介護計画書の最後の項目である「特記事項」と「実施後の変化(総括)」の書き方について解説します。

特記事項 本人の趣味・嗜好、注意事項などを具体的に記載します。特にない場合は「特になし」「特記事項なし」などと記載します。
記載例)頻尿のため声かけが必要    
食事の際にむせが多いためトロミ(有)注意が必要    
集団でのレクリエーションは苦手 
実施後の変化(総括) サービス実施後の変化を記載します。本人やその家族にもわかりやすいように専門用語は使用しないようにしましょう。
記載例)前回に比べ、集団体操などの運動メニューに積極的に参加されるようになりました。その甲斐あって施設内を杖を使って歩けるようになっています。

よくある疑問

通所介護計画書を更新するタイミングについて

通所介護計画書は、利用者の容態が著しく変化する、あるいは介護保険の内容が変わるタイミングで更新をします。また、定期的なケアマネジャーとの連携や利用者の状態確認のために、3ヵ月ごとに計画書を更新している事業所も多いです。個別機能訓練加算を算定する場合に使用する個別機能訓練計画書については、3ヵ月に1回以上の更新が必要です。

個別機能訓練計画書とは|記入例・目標の立て方・評価と更新のサイクル

説明後の日付と利用者のサインについて

厚生労働省が規定している様式では、サインを行う欄はありません。しかし、通所介護計画の内容を利用者または家族に説明を行い同意を得ることが必要なので、同意を得られている証拠としてサインをいただいたほうが望ましいといえます。「説明日・同意日」は、計画書の説明を行った上で、同意を得られた日にちを記載しましょう。

通所介護計画書は利用者の理解に欠かせない書類

通所介護計画書はサービスの提供時に必要となるだけでなく、利用者の具体的な心身の状態を把握するために、なくてはならない書類です。

また、計画書を作成するにはケアマネジャーや家族との協力が欠かせません。普段からコミュニケーションを取り合って、何か変化が起きた際にはすぐに対応することが大切です。利用者のより良いサービスの提供をしつつ、スムーズに連携をとれる体制を整えるためにも、計画書をうまく活用しましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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